隠された真実
メラは、正直な気持ちを話す。リリーが、ロアを本気で心配していたことを。
「……そう、ですか」
リリーは、ロアを……いや共に旅をした仲間を、慕っていた。兄と、姉と。そんな彼女だからこそ、ロアの無実を信じ、今日に至るまで調べていたのだ。
そして、今日、メラが、リリーの頼みを聞いてここに来た。
「リリーちゃんには、今日私の所へ来ることを?」
「言ってません。とりあえず、情報を集めてから報告をと思っていましたから」
「そうですか」
メラがシャリーディアの下に訪れたのは、最初からそう決めていたわけではない。一番確実な情報を求めて、思い至ったのがここだったのだ。
「あの、リリー様は、シャリーディア様とは会っていないと申していました」
「……えぇ。あんまり、私とは会わないほうがいいと思って」
どこか、悲しげにシャリーディアは言う。その反応に、メラは首を傾げた。
会わないほうがいい……とは、どういうことであろうか。その意味するところを聞く前に、続けてシャリーディアは口を開いた。
「私はロア……さんを、逃がしたと疑われているから」
「! 逃がしたと、疑われてる?」
シャリーディアがロアを、逃がした……それは、メラにとって初耳の話である。
そもそも、これまでにロアのことを調べてこようとはしなかったし、リリーからロアのことに関して話を聞いたことも、ない。
だから、こうしてシャリーディア本人の口から聞くことに、なんだか不思議な気持ちがあった。
「メラさん、あなたはリリーちゃんを、本気で大切に思ってますか?」
「もちろんです!」
即答だ。リリーを大切に思っているか……そんなの、当たり前だ。
彼女は王女で、自分が仕えるべき人だが……同時に、妹のようにも、思っているのだから。
「……そう、ですか。なら、私もあなたを信頼しましょう」
「! と、いうことは……」
「私の知ってることを、話します」
これは、シャリーディアにとっては一種の賭けのようなものでもあるはずだ。もしも、メラの口から国王の耳に入れば、きっと無理やり権力を使って、シャリーディアに調べが入る。
もしも、人に真実を話させる『スキル』持ちなどがいたとしたら……
本来ならば、シャリーディアは誰かに話す必要すらない。胸の内にしまっておくのが確実なのだ。
でも、そうはしない。だって、自分以外にも、ロアのことを想ってくれている人が、いるのだから。
「私は、私が知っている真実を話します」
「はい」
「けれど……それを、あなたがどうリリーちゃんに伝えるかは、あなた次第です」
念を、押す。この情報は決して、得ても後悔しないと言い切れるものでは、ないのだから。
なにせ、今の国王に……彼の人間性に、関わることなのだから。
「まず……ロアさんは、命を、狙われています」
「はい……え……はい」
いきなりの情報に、早速メラの頭はパンクしそうになる。だが、なんとかこらえた。
これは、想定内だ。そう、自分に言い聞かせるようにして。
「彼の命を狙ったのは、今の国王……ザーラ王です」
「は……っ!?」
次に、ロアの命を狙った者の存在。それは、まさかの人物の名前……なんせ、国王だ。この国のトップであり、なによりリリーの父親だ。
さっきシャリーディアが言っていたのは、このことだ。この事実を、リリーにどう伝えるのか。
「そして、国王と共謀……いや、国王の命令を受けて、実際にロアさんの命を奪おうとしたのが、ゲルドさんです」
「…………勇者一行の?」
「残念ながら」
さらなる真実。つまりは、ロア殺害を国王が指示し、ゲルドが実行に移したということだ。
そんなこと、簡単に信じられない……が、シャリーディアが嘘をついているとも、思えない。シャリーディアは、メラを信頼すると、言ったのだ。
殺人犯ロア……そう、巷で広がっている話に。まさか、そのような真実が隠されているなんて。思いもよらなかった。
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