表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~  作者: 白い彗星
死に戻り勇者、第二の人生を歩む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/262

かつての仲間たち。リリーの想い



 王女としての地位に納まることとなったリリーは、独自にロアの事件の真相を探っていた。


 とはいえ、兵士のほとんどは国王である、ザーラの息がかかったものだ。父に悟られることなく、ロアの動向を探るのは、決して楽ではなかった。


 どうして、内密に調べているのか。父は、ロアを罪人として決めてかかっているからだ。どうにも、リリーには引っかかるところがある。


 だから、真実が……知りたいのだ。



「! どうぞ」



 自室で、考え事に頭を巡らせていた時。扉を叩く者があった。寝巻であるが、リリーは来訪者を、招き入れる。


 「失礼します」と女性の声があり、入ってくるのは……



「メラ。どうかしました?」



 リリー専属の給仕である、メラ・カーマンだ。給仕服に身を包んだ彼女は、軽くお辞儀をして、歩みを進める。


 彼女は、リリーの世話役と同時に、リリーの姉のような存在でもある。小さい頃から、かわいがってもらった思い出は多い。



「リリー様、ご夕食の用意ができましたので、お呼びに」


「そうですか、ありがとう」



 どうやら、夕食に呼びに来てくれたらしい。


 だが、最近リリーはあまり、食事の時間が好きではない。旅から帰ってきたばかりの頃は、よく父と一緒に食事をしたものだが……


 今では、父は仕事に追われ、共に食卓にはつかない。給仕や兵士は当然王族と一緒に食事をするなんてこともなく、リリーは一人で食事をすることが多い。



「はぁ……」



 そう思えばこそ、自然とため息が漏れてしまうのも、仕方のないことだと言えるだろう。



「ダメですよ、リリー様。そのようなため息なんて」


「誰も居ないんだから、いいじゃないですか」


「私がいます」


「……それに、二人きりの時はそんな堅苦しい言い方じゃなくても……」


「なら、リリー様も私のことをお姉ちゃん、と昔のように呼んでいただいてもいいのですよ」


「むぅ」



 ああ言えばこう言う。リリーは、昔から口でメラに勝てたことがない。


 せめてもの抵抗として頬を膨らませるが……次第に、なんだかおかしくなって吹き出してしまった。



「リリー様?」


「あはは、ごめんごめん。なんだか、おかしくて」


「……ようやく、笑われましたね」



 言われて、気づく。そうか、今自分は、笑っているのか。


 自然と、頬を触った。



「……私、そんなに最近笑ってなかった?」


「笑っていても、ほとんどが作り笑いみたいなもの。旅から帰って……いえ、ロア様の事件を知ってから、あまり笑わなくなったわ」


「……そっか」



 メラに指摘されて、確かにそうかもしれないと思う。ロアの件を知って、調べていくうちに……余裕が、失われていた。


 しかし、平時には王女としての役目もある。自分一人の時間など限られている。余裕も時間もなくなり、いつしか本当の意味で笑うことがなくなっていた。



「……やはり、気になる? ロア様のこと」


「当たり前だよ! ……お父様は、ロア兄ちゃんが犯罪者だって聞かなくて。少し前にドーマスおじちゃんやミランシェ姉ちゃんと話したんだけど、信じられないだけで証拠がないから動けないって」


「ドーマス様には家庭もありますし、そう派手には動けません。シャリーディア様は?」


「実は、旅から帰ってから会ってないんだ。いろいろ、忙しいみたい」



 教会の大神官だ、王女であるリリーとは、また違った忙しさがあるのだろう。


 リリーの見た手では、シャリーディアはロアに好意を寄せていたはずだ。自分がロアに寄せるのとは、また違った好意


 だから、ロアのことならばお互い、力を合わせられると思っていたのだが。



「シャリーディア様も、独自に調べているのかもしれません」


「かもね」



 彼女の考えは、リリーにはわからない。一見、話しやすい雰囲気はミランシェよりも全然あるのだが……


 なんだか、心の奥底になにかを隠しているような。本当の自分は、誰にも見せていない……そんな風に、感じられた。



「って、夕食だったね。行こうかお姉ちゃん。今日はなんだろ」


「献立は、リリーの好きなものよ」


「わぁ、なんだろう。お肉かな、お魚かな」


「……そういえば、ゲルド様とはお会いになったの?」


「……ゲルド兄ちゃんは、私のこと子供扱いするからあんまり好きじゃない」



 体は大人っぽくなっても、やはり中身は変わっていない。


 そう、笑みを浮かべながら……メラは、部屋を出たリリーを、エスコートした。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えるとテンション上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ