わかりやすい性格
踊り子様リーズレッテの話でひとしきり盛り上がった後、俺たちは宿にお世話になることに。
俺とヨルガは同室だったが、ちゃんと広さは二人分のものであり、そこまで窮屈さを感じることはなかった。
「はぁー、今日はなんか疲れたな」
「そりゃ、何時間もかけて移動してきた後に町中を見て回ったらそうなるだろ」
ベッドに飛び込み、うんと手足を伸ばす。エフィとヨルガの連れということで、宿代は安くしてもらった。ありがたいことだ。
俺も、とりあえずエフィの店で働かせてもらっている給料はいくらかもらっているため、それなりに余裕はある。
「ご飯もおいしかったし、いい店だここは」
「そうだな。ダガさんたちもいい人たちだし」
ヨルガも、ダガさんたちの人の良さはわかっているらしい。ぶっきらぼうに見えるが、そう見えるだけで実際には優しい子なのだ。
そんなヨルガだが、なんだか俺には少し当たりが強い気もする。
「ところでアーロ……お前、エフィとは仲良いみたいだな」
「んー?」
とはいえ、その理由はわかっている。今本人が言ったとおり、エフィに関してのことだからだ。
エフィが、俺と仲良くしているのが気になって仕方がない……というわけだ。もっとも、本人にそう問いただしても認めないだろう。
なんなら、自覚なしに俺とエフィの関係を勘繰っている可能性すらある。
「そりゃ、初めに会った村人で、いろいろ良くしてもらってるしな」
「ふーん……」
思い返せば、エフィにはお世話になっているどころではない。
ラーダ村を訪れて、初めて出会った村人。彼女の紹介でヤタラさんにも受け入れられ、そしてヤタラさんのおかげで村人たちにも受け入れられた。
さらには、働き場所まで提供してもらえたし。ファルマー王国を出て、ここに住もうと決めた村で最初にエフィのような人と会えたのは、運がいい。
「エフィも、ずいぶんとお前を信用してるみたいだな」
「そうなのか? なら、嬉しいが……」
自分のことは、案外自分ではわからないものだ。俺は、エフィに信用されるような人間になろうと心がけてはいる。
その結果として、ヨルガさえ俺をそう見てくれているのなら、それはとてもありがたい。いや自信が持てる。
エフィの信用を得ようと、もちろん下心はない。むしろえの信用に報いようと、しているだけにすぎない。
「……そんなに、俺とエフィのことが気になる?」
試しに、俺の方から仕掛けてみる。
「! べ、別にそういうわけじゃねぇ!」
案の定、と言うべきか……少し顔を赤らめたヨルガは、顔を背けてしまった。
わかりやすい……こりゃ、交流が少ないはずのラニーさんに気取られるのも、仕方ないとも言えるな。
多分、ラニーさんに気持ちを気づかれていることを、ヨルガは気づいていないのだろうが。
「ま、勘繰るのは勝手だけど。俺とエフィは、ただの従業員仲間だ」
「だ、だから違うっての」
そう言いながらも、ヨルガはどこかほっとした様子を見せている。やはりわかりやすすぎる……
むしろ、これでなんでエフィ本人にはバレていないんだ。鈍感なのかな、あの子。
「まったく。明日は早いんだ、さっさと寝るぞ」
「へいへい」
明日は、朝イチからこの町を出ることにしている。俺としてはもう少し滞在していたい気もするが、ここへは遊びに来たわけじゃあない。
仕事の一環として、来たんだ。なので、存分に楽しむには今度、プライベートで来たときに取っておこう。
「じゃ、おやすみー」
「……あぁ」
俺とヨルガは、眠りにつく。まさかこうして、ヨルガと一緒の部屋で寝ることになるとは、思わなかったな……
この町では、いろいろな収穫があった。思わぬ再会や、エフィやヨルガの新たな一面を間知ることができた。来てよかったと、思う。
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