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死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~  作者: 白い彗星
死に戻り勇者、軌跡を辿る

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人間の戦い方



 魔族は、空を飛んでいる。いくら【勇者】の力でも、空を飛ぶことまではできない。ジャンプすればあの位置まで届くが、やはり自在に飛んでいる相手には分が悪い。


 となると、空を飛んでいる相手にはミランシェの力が発揮される。だが、四体もの魔族相手に、簡単にはいかない。



「さっきの奴みたいに、降りてきてくれればいいんだけど……」


「なら、落とすまでよ」


「え、ど、ドーマスさん?」



 さてどう攻略するか。考えているとふと、ドーマスさんが口を開く。なにをするつもりかと視線を向けると……


 地面に落ちていた岩を、手に取っていた。



「さっきの攻撃は、私たちにも好都合だったな。武器が山程ある」


「ぶ、武器って……」



 魔物の大群を消し去るほどの、大規模の攻撃。それにより、地面には穴が空き、割れた岩などがゴロゴロ転がっていた。


 それを、武器と言って……



「ぬぅ……えぇええい!」



 岩を、上空の魔族に向けて思い切り、ぶん投げた。



「!?」


「なに……っく!」



 俺も、魔族も、突然のことに目を見張る。投げられた岩は、狙い通りなのか魔族の……翼へと、命中した。


 翼は体ほど固くはないのか、岩が貫通し、翼に穴が開く。それにより、その魔族はバランスを崩し、飛んでいられなくなり落下する。



「さぁて……一体ずつ、翼をもげば飛んでいられなくなるだろ」


「な、なんつー脳筋ぶりだよおっさん」


「けど、これなら効果的でもあるよ」



 現に、魔族たちは警戒した様子で、ゆっくりと降りてくる。避けながら戦うには、リスクが大きいと判断したのだろうか。


 同じ地上での戦いならば、負けはない。



「いいだろう人間。そんなに降りてきてほしかったのなら、これで存分にたたかへぶら!」


「ぇい!」



 魔族が降り立った瞬間、俺はその場から一直線に魔族の懐へと潜り込む。なにか喋っているようだったが、気にせずに顔面を殴り飛ばした。


 他の三体の反撃が来るより先に、俺は両手でそれぞれ魔族を、そして右足で魔族に打撃を与え、吹っ飛ばす。



「な……おまっ、いきなりかよ!」


「なんでゲルドが驚いてるのさ」



 何事も、先手必勝。魔族は強力な敵だ、隙があればそのうちに攻撃しておいた方がいい。


 さすがに今の一撃で倒せはしないが、【勇者】の力は強大だ。相応のダメージは与えられたはずだ。



「くっ、おのれ……不意打ちとは、卑怯な……」


「これは決闘じゃないからな。それに、人間だからって見下してるお前らが悪い!」


「ぐふ!」



 一足先に立ち上がろうとする魔族の、顎を蹴り上げる。さらに、無防備になった頬に回し蹴り。魔族の体勢が崩れたところで、剣を抜き背中を斬り裂く。


 武器の性能は、極限まで上げられている……魔族の背中を深く刻み、その魔族は消滅した。



「なっ……ダミヤ!」


「バカな、こんなあっさりと……がっ……」



 驚愕に口を開く魔族たち……のうち一体の言葉が、止まる。なぜなら、その魔族の口に、短剣が刺さっていたからだ。


 狙いは正確、短剣を投げたのはゲルドだ。



「ったく、ロア。一人で楽しんでんじゃねぇよ」


「別に楽しんでないし。さっきゲルド、一体倒したじゃんか」



 別に殺生を楽しんではいない。たとえ相手が魔族でもだ。


 口に短剣の刺さった魔族は、次いで額に短剣が突き刺さる。弱所を突かれた魔族は、その場で消滅する。


 ……早くも、三体の魔族が消滅した。



「なん、だと……我々は、魔族だぞ! それが、こんな、人間に……一方的に……」


「かははっ、失敗したなぁお前ら。こんなことなら、さっきの魔物の大群のがまだ手強かったぜ?」



 唇を舐め、ゲルドは凶悪な笑顔を浮かべる。


 対して、魔族は怒りの表情を浮かべていた。



「なに……我らが、魔物なんぞに劣るとでも?」


「人間だ魔物だ、見下してるうちにはわからねぇだろうな。魔物の大群消してくれたカミなんとかって魔族に、本格的に礼しときゃよかったぜ」



 ゲルドの言うとおり、確かに魔族五体よりも、魔物の大群のほうが厳しかった。


 純粋な数の問題だ。少ない魔族相手なら、俺たちは協力して立ち向かえる。分断された魔物の大群とは、勝手が違うからだ。


 協力して戦える。これが、人間の戦い方だ。



「では……残り二体も、さっさと片付けようか。逃げられると思うな? まあ一体は、翼は使い物にならんだろうがな」


「ぁ……」



 ドーマスさんの気迫……それは、魔族でさえも震えるほどの、迫力を持っていた。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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