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死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~  作者: 白い彗星
死に戻り勇者、因縁の地へと戻る

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それは告げられた未来



「……なんだと?」



 ポツリと、小さな声が……しかし、不思議と耳に届いた、ザーラ国王の言葉。


 今、この男はなんと言った……?



『あぁ……もうおしまいだ……私は、"殺される"のか……』



 と……確かに、言った。


 どういう意味だ? もうおしまいだ、というのは、まあわかる。わかるが……後半の、殺されるとはどういう意味だ?


 殺される? 誰かに……誰に? なぜ? というかどうしてそんなことがわかる?


 いやいや、そもそも……



「なに言ってやがるんだ、てめぇ」



 俺と同じく、その言葉が聞こえたらしいゲルドが……不可解なものを見る目で、ザーラ国王を見る。この状況で言うにはおかしな言葉だ。


 命乞いのようなもの、でもない。なぜなら、ザーラ国王の表情は無……諦めが満ちたものだからだ。


 あんな顔をして、しかも虚空を見つめて……まるで、恐ろしい未来が、待っているかのように。



「どういうことだ。殺される? 誰にだ……まさか、てめえが死にたくないから、俺を異空間なんぞに閉じ込めやがったってのか?」



 目の前にゲルドが来ても、ザーラ国王は動かない……そんな彼の胸ぐらを、ゲルドは掴み、むりやり立ち上がらせる。


 そんなことをされているのに、ザーラ国王は、ぶつぶつとなにかを呟いているのみで。



「ちっ。殺されるだの終わりだだの、抜け殻みてえになってやがる」



 舌を打ち、ゲルドはザーラ国王を投げ飛ばした。



「ゲルド、これはどういうことだと思う」


「なんでてめえを殺そうとした奴と、のんきにお喋りができるんだよお前は。……このおっさんは、誰かに俺たちを始末しろと命じられ、それができなきゃてめえを殺すと脅された。そんなところだろ」



 冷たく、ザーラ国王を見下ろすゲルドは、なんだかんだ言いながらも自分の考えを述べた。俺も、似たような考えだ。


 自分が殺されると誰かに唆され、殺されないために俺たちを手に掛けようとした。


 そのために、娘のリリーまで手に掛けようとしたのは、絶対に許すことはできないが。



「てこたぁ、誰かが俺たちの命を狙ってるってこった。わざわざ国王をけしかけてんだからな」


「あぁ。けど、誰が……」


「違う。違う違う違う……」



 国王以外に、まだ誰か俺を殺そうとしているのか……そう考えだしたとき、不意に、国王がぶつぶつとなにかを、先ほどよりも大きな声で言い始めた。


 ゆっくりと立ち上がるその姿は、まるで亡霊でもあるかのよう。



「私は……"見た"んだ……お前が、私を殺す……その景色を……!」


「俺……が? 見たって……」


「未来を!」



 叫ぶ……それと同時に、国王は俺に飛びかかってくる。その表情は、まるで獣だ。人とは追い詰められたら、こんな表情をするのか。


 俺はそれをとっさに避け、足払いをして、国王を押し倒して……床に、押さえつける。



「ぐ、ぅ……!」


「っは、おっさんが勇者様に勝てるわけねぇだろ、なぁ?」


「嫌味かよ……」



 今のゲルドに勇者だなんだと言われるのは、複雑どころの騒ぎじゃないな。


 とはいえ……いくら勇者から遠ざかった身とはいえ、戦いから離れたはずの環境でもなぜか戦ったりしていたんだ。王座にふんぞり返っているおっさんには、正面切って負けるつもりはない。


 さて、一応押さえたが……



「どうしたもんかな」



 未だにうわ言をぶつぶつ言っているし、正気とは思えない。


 まあ正気じゃないからって、許すわけじゃないけど。



「未来がどうのと言ってたが……とうとう頭でもイカれたか?」


「もしかして、なんらかの『スキル』とか? いやでも、すでに【収納】って『スキル』を持ってるのか」


「一人で『スキル』の二つ持ちなんざ、聞いたことねぇからなぁ」



 国王の言葉をそのまま受け取り解釈するならば、国王は未来予知系の『スキル』を使える、ということになる。だが、すでに【収納】の『スキル』を持っている国王に、二つ目の『スキル』など……


 …………あれ?



「あれ?」


「あん?」



 待てよ……待て待て待て。ちょっと待て。なにか、引っかかる。【収納】? 二つ目の『スキル』? 未来予知?


 ……違う。



「なあゲルド、俺たちが国王……前国王に初めて会ったときのこと、覚えてるか?」


「なんだ当然」


「あの時さ……ザラドーラ前国王は、六人目の仲間として、リリーを連れてきた。その時、こう言ってたんだ」



 そう、なんで忘れていたんだ……リリーを連れてきた国王は、こう言っていた。



『わしの『スキル』は、【未来視】。未来、起こることが映像となって頭の中に浮かぶという、ものじゃ』



「……そういや、そんなことも言ってたな」



 ぼんやりと、ゲルドは話す。俺も、なんとか思い出せた……同じ経験を、二回繰り返していたからだろうか。


 【未来視】とは王族に与えられる『スキル』だと。さらに、続けてこうも言っていた。



『ちなみに男なら【未来視】、女なら【神託】と名前は変わる』



 でも……これが本当なら……



「この話が本当なら、王族は未来予知系の『スキル』を持ってることになる。けど、前国王の孫のリリーの『スキル』は【絶対防御】だ」


「あー、言われてみればな。……じゃあ、あのおっさんの『スキル』は……」


「ザラドーラ国王……というか、王族は、二つの『スキル』を使える?」



 リリーが【絶対防御】しか持っていないことを考えると、ある程度成長してからでないと発現しない『スキル』なのかもしれない。


 前国王の言葉を信じるなら、王族は【未来視】あるいは【神託】の『スキル』を得る。けれど、王族のリリーは【絶対防御】のみ……つまり、今後【神託】の『スキル』も得る?


 ただ、この予想が正しければ……【収納】も【未来視】も現国王の『スキル』で……【未来視】によって、俺に殺される未来を見た?

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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