再会と謎と
謎の、仮面を被った人物……結局そいつの目的は、わからずじまい。
俺をからかうため、とか言っていたが……そのためだけにディアたちを気絶され、【幻影】の『スキル』であんな凄惨な部屋を作り出したと、いうのか?
それに……だ。俺に見せつけるためだとして。まずこの疑問が浮かぶ。
……俺がこの部屋に来ることを、知っていたのか……と。
「ディア、ディア!」
だが、考えることは後だ。まずは、気を失っている三人を、起こさなければ。
見たところ、【幻影】で見せられたようにどこからか血が流れている、というわけではなさそうだ。だが、それは外見の話。
目に見えないところは、どうなっているかわからない。現にこうして、気絶させられているのだ。
何度か、声をかける。すると……
「う……ん……」
小さく、しかし確かな声が、漏れた。
「ディア!?」
「ん……ロ、ア……?」
「あぁ、そうだ。俺のことはわかるみたいだな」
ディアは目覚め、見たところ異常がないのを確認する。
気絶してしまっていたせいかぼんやりはしているが、痛みなどは感じていないらしい。
「次は……」
続いて、メラさん、リリーと起こしていく。二人共、ディアと同じように目立った外傷もない。
リリーは、そもそもの刺された傷が手当てされた状態で、残されてはいたが。
「……ロア、お兄ちゃん……?」
「あぁ、そうだ」
「え……なんで……夢、夢……?」
「ははは、本物だっての」
目が覚めたディアは。俺がここにいることにわかりやすく驚いている。
それはそうだ……俺が帰ってくることを聞いていたならともかく、その間はほとんど治療のために寝ていたのだから。
だから、これを夢だと思って……自分で、頬をつねったりしている。少し面白い光景だ。
「ほ、本物だ……お兄ちゃん……! 帰って来てくれたの!?」
「おぉ、まあ、帰ってくるのとは少し違うけど……リリーが刺されたって聞いたんでな。心配になって」
本物だと確かめるように、俺の頬をぺたぺたと触っているリリー。うーん、見た目大人っぽくなったと思っていたが、こういうところは子供だな。
「そっか、帰ってきたわけじゃ……」
「あー……リリー、傷の具合は?」
「あ、うん、大丈夫だよ。ほら」
「!?」
しんみりした雰囲気になりそうだったので、話題をそらす。
傷の具合を聞いてみたが、リリーは大丈夫だと答えた……なんの躊躇もなく、服を捲って。
「り、リリー様!?」
「ちょっ……み、見るなー!」
「へぶ!?」
突然のことに、俺もディアもメラさんも呆気にとられる。が、すぐに正気に戻ったディアに、ぶん殴られてしまう。俺が。
理不尽だ……!
「リリー様、なんてはしたない! そのようなこと、おやめください!」
「えー、お腹見せただけだよ? それにロアお兄ちゃんだし……」
「ロアでもダメなの!」
俺に腹を見せたリリーは、怒られていた。
とはいえ、ちらっと見えただけだが……包帯こそ巻いてあったが、リリーの様子からも元気そうな印象は、受けた。
「と、とにかく、元気そうならよかった……」
「ありがとうね、わざわざ来てくれて!」
余程嬉しかったのか、リリーはニコニコと、笑顔を浮かべたままだ。
ただ、それはそれとして、俺はリリーに……いや三人に聞いておかなければならないことがある。
「三人共、聞きたいことがある。俺が部屋に入ったときのことだ」
「あー……ロアに起こされたんだっけ。よく覚えてないのよね」
「はい、前後の記憶があいまいで……」
俺が部屋に入った段階で、あの仮面の人物は準備を終えていた。俺を【幻影】でからかうための準備を。
なので、それよりも前にディアたちが、あの人物に襲われたことになるのだが……
「ごめんね、よく覚えてなくて」
「いや、無事でよかったよ」
覚えてない……か。不意を突かれたってことだろうか。
不意を突いたとはいえ、ディアやメラさんの意識を奪うほどとは、相当の実力者に違いないが。
「その仮面なのかな……リリーを、刺したのって」
「んん……」
わからない……だが、友好的な人物でないのは、確かだ。
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