因縁の再会
「てめえ……なんで、ここにいる」
「……」
今ここで、いやこの国で、一番聞きたくない声……会いたくない人物に、真っ先に声をかけられてしまった。
もはや知らぬふりなどできず……その人物を確認するために、俺は振り返る。
「……ゲルド」
「よぉ、久しぶりじゃねぇか」
そこには……ゲルドが、いた。
俺を、一度は殺して……二度目も、殺そうとした男。ディアのおかげで逃げることはできたが……
その後も、ゲルドが俺を殺そうと狙っていたことに、変わりはない。
「おいおい、なんだそのツラァ。久しぶりの再会だぜ、もっと嬉しそうな顔をしろや」
ゲルドはその言葉通り、嬉しそうな表情を浮かべてはいるが……どちらかというとそれは、獲物を前にしたハンターの、それだ。
ゲルドはやはり、俺をまだ殺そうとしている。以前再会したときもそうだった。
「ゲルド……俺たち、再会するのはこれが初めてだよな?」
「あん? なにわけ分かんねえこと言ってやがる。当たり前だろう」
やっぱり……ゲルドは、ラーダ村で俺と再会したことを覚えていない。
それというのも、ヤタラさんが『スキル』で、ゲルドの記憶を弄ってくれたおかげだ。【記憶操作】により、ゲルドはラーダ村で俺と再会した記憶を操作されている。
なので、ここがゲルドにとって、俺との初再会地点。
「ゲルド、お前なんでここに……」
「おいおい、最初に質問したのは俺だぜ? 俺ぁこの国に住んでんだ、不思議はねえだろ? お前がここにいるよりはよぉ」
ゲルドは丸腰……だが、体のどこに武器を隠しているか、わからない。
警戒を怠るな。
「だいたい……なんだよ、シャリーディアに、あのガキの世話係まで一緒じゃねぇか。さては、お前らがロアを手引したな?」
「っ……」
くそ、よりによって二人の姿を、ゲルドに見られた。こいつ、無駄に頭の回転が早いんだよな。
互いに、ディアは言わずもがなメラさんはリリー関係で、俺と関係のある人物。そんな二人と俺が一緒にいる場面を見られては、どう言い繕っても関係性を疑われる。
「ゲルドさん……リリーちゃんが、負傷した話はご存知ですか?」
返答に迷う俺に並ぶように、ディアが一歩前に出る。
それは、俺の前で見せるディアの顔ではなく……シャリーディアとしての、顔だった。
「あぁ……誰かに、刺されたんだってな。心配なこった」
「私は、リリーちゃんをそんな目に合わせた犯人を、許せません。それは、ここにいるロアさんも同じこと……やましい理由でここにいるわけではありません」
「……つまり、ロアは王族共が"うまく国民共には隠してる"情報をどっかで知って、駆けつけたわけだ」
「!」
ディアの言葉から、またもその内容以上の中身を取り出す。ディアも、口が滑ってしまったと言わんばかりに、口をふさぐが……もう遅い。
俺がここにいる理由も、割れてしまったわけだ。
「ロア、ごめん……」
「いや、気にするな」
どうせ、遅かれ早かれバレていたことだ。ディアが謝ることじゃない。
それにしても、人通りの少ない朝方に、人の通らない教会裏で……よりによって、ゲルドに見つかってしまうなんて。
「ゲルド、ここで俺と会ったことは、秘密にしておいてくれないか」
「……ほぉ? どうして」
「お前の言うとおり、俺はリリーが心配でここに来ただけだ。他に、余計なことをするつもりはない。犯人を探したら、すぐに帰る。だから……」
「ははは……」
ゲルドが話を聞いてくれるかは、わからない。そう思いつつ、話しかけるが……俺の話を最後まで聞くことなく、ゲルドは笑う。
なんだ、今なにか俺面白いことを言ったか?
「ったくお前は……相変わらず甘ぇというか、周りが見えてないというか」
「……どういう」
「簡単な話よ。……あのガキをヤッたのが、俺だとは思わねぇのか?」
凶悪な、笑みを浮かべて……ゲルドは、信じがたい一言を、言い放った。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えるとテンション上がります!




