ダークヒーロー初変身シーン
目の前の獣が低く唸り、ニタニタと涎を垂れ流す。
こんな所で死ねる訳がない。
僕は…、約束したんだ。
痛む傷に、震える足に、萎えた心に叱咤し、鍵を手にして立ち上がる。
使い方は知っている。使った代償も知っている。
それでも、これ以外に方法はない。
鍵を握りしめた右拳を、左胸――忌まわしいソレにかざす。
ピッ
《accept ready》
起動したことを短く知らせ、無機質な機械音声がなると同時に、そこに黒い穴が現れる。
更に、右手には半透明で実体のない鍵が出現した。
ここから先に進めば後戻りはできないことを警告するかのように、鍵は赤黒く不気味に光っている。
『――ッ!』
獣が吠え、こちらに飛びかかる。
でも、もう遅い。
「あ゛あ゛あ゛ッ!変身ッ!!」
胸の穴に鍵を突き刺し、痛みに背を丸めて叫びながら、捻った。
《open...recreation》
闇が、溢れ出した。