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エピローグ

 時は過ぎ、中学を卒業してから四回目の春を迎えた。

 アタシは大学生になり、今は学校にある食堂で本を読んでいる。

「緑! ごめん、遅くなって」

「大丈夫よ、そんなに待ってないから」

 アタシは走ってくる周良君に微笑みながら答えた。

 アタシも周良君も同じ学校に通っている。それも二人とも現役で。ある意味奇跡に近いけど。

 高校はアタシは地区の中のトップの進学校に通い、周良君は地区最下位と言われる学校に通っていた。

 でも、アタシたちは放課後に図書館で待ち合わせをしてから毎日のように勉強をするようにし、同じ大学を受験した。

 学部は流石に一緒ではないけど、それでも時間のある時はこうして一緒に居るようにしている。

 アタシは医学部に進み、周良君は工学部に進んだ。

 前の時に卒業がアタシの方が遅くなるってぼやいたら、周良君はアタシの頭を撫でながらぶっきら棒に言った。

「俺が先に働いたら少しは経済的な余裕出来るし、緑が卒業してから結婚できるじゃん」

 言葉と行動が違うけど、すごく心の中が温かくなった。

 あっ、そう言えば周良君は中学校では金髪にしていたけど、大学受験と共に黒髪に戻したんだ。

 それでも格好いいから少しムカつく。

 そう言うアタシは、中学校では方に付く位だった髪を伸ばし続け、もう腰のあたりまで伸びている。

 それを梳くように撫でてくれる周良君の手が優しくて好き。

 もう周良君が隣に居てくれる事が当たり前のようになっている。

 それが何となく嬉しくて、凄く幸せ。

 だからそれをもう一人のアタシに届けばいいと思いながら偶に呟く。

「ありがとう、アタシはすごく幸せだよ」

 そっと呟くアタシに周良君は気付くといつも、目を細めてから笑ってくれる。

 ねえ、アタシはすごく幸せだよ。

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