表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺し屋兎と灰色の鷹  作者: 如月雪人
任務1:女性を殺せ
9/36

女性を殺せ

 作戦決行の日。橘は椿に電話をかけた。

「……もしもし、椿?」

『朝っぱらから何の用だ』

相変わらず、不機嫌そうだ。

でも電話に出るあたり、まだ嫌われてはいないのだと橘は思う。

「今日、休みかい?」

『あ?そんな事の為に電話したのか。切るぞ。俺は眠い』

「あ、待ってくれ!」

『まだ何かあんのか』

「椿は今、三浦咲の行動に困っている。違うかい?」

『……』

黙り込む椿に、そうなのだと橘は確信した。

「やはりそうか。あの時、引っかかってたんだ』

『お前には、関係ないだろ』

「彼女について、言いたいことがある」


 数秒の沈黙の後、椿が口を開いた。

『……わかった、行けばいいんだな。どこに行けばいい』

「私の行きつけの居酒屋がある。警察署前で合流しよう」


 警察署前。

約束時間より少し早めに行くと、すでに椿が来ていた。

「やぁ。椿」

「……ああ」

私服姿の椿は、いつもより子供っぽく見える。

「背、縮んだかい?」

「うっせ。お前の身長縮ませてやろうか」

「ふふっ。それは嫌だなぁ」

そんな冗談を交えながら、2人は店へと向かった。


 いらっしゃいませ、と挨拶する店員。

店内をキョロキョロと見回す椿に、くすりと笑う橘。

「ここ、静かで落ち着く」

「だろう?気に入ってるんだ」


 案内された席に座り、ビールと料理を頼む。

頼んだものを待つ間、三浦咲のことについて椿に話した。

「彼女は、過去に犯罪を犯している。それも数回」

「あいつが?そんなの嘘だろう」

 彼女はどうやら、真面目な印象で通っているらしい。

「うまく隠していたようだ。ただ、うちの会社の社員から、妻と娘が殺された、と話を聞いた」

「その情報は、確かなのか」

「信憑性は高いだろうね。本人から話を聞いてみるといい」

「……じゃあ、後で聞きに行く」

 料理などが運ばれ、2人は無言で食べ始めた。


 * * *


 一方その頃、大和は。

「まさか本当に来るとは……」

丁度、ターゲットを殺し終わったところだった。

橘の言った通り、咲は椿の事を尾行していた。

「女性ってのは、怖いな」

ぶるりと体を震わせ、咲の持ち物を調べ始めた。


「……ん?」

鞄の中に一枚の折り畳まれたメモ用紙。

開いてみると、中には「椿さんは私のもの。誰にも渡さない」と書かれていた。

「すごい執着心だな。これは怖い」

元通りに折りたたみ、メモを鞄に戻す。

 橘に連絡をして、仕事は終わりだ。


 ——任務、完了。


 * * *


「なぁ、こーよー。お前は、俺を恨んでるか?」

「どうしてだい?」

「……気に入らないだろ。こんなたいど取ってるんだから」

 いつもより口数が多くなり、酔っている様子の椿。

そんな椿に橘は、酔ったらこんなに素直になるのにな、と思うばかりだ。

「恨んでなんか、ないさ。私はただ、椿とお話ししたかっただけだよ。昔みたいに、さ」

「おれ、お前と一緒にけーさつかんになりたかったんだよ……なのに……」

そう。本当は、自分も警察官になるはずだった。

しかし、選んだ道は営業会社の社長。


「こう、よ……」

「……ごめんね。椿」

 罪悪感に押しつぶされそうになりながら、甘えてくる椿の頭を撫でる。

椿の髪の毛はサラサラだな、自分はあの時、どうすればよかったんだろう。

色んな事をぐるぐると考えていた、そんな時。

 スマートフォンの着信音が鳴り、メールを確認する。

大和からの任務終了の連絡だった。

一安心し、了解、と返信した。


 2人分の会計を済ませ、酔ってしまった椿を連れて、橘は自宅へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ