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9/21

8、あーあ、飲んじゃったよ、あーあ

ブラブラと、小さな町を端から端まで見て回る。


とりあえず下着の店は先に見つけて、ランジェリーセットとアンダーシャツ確保。

おそろいのランジェリーセットは意外と可愛いのがあったけど、今夜ダーリンに襲われたときのことを考えると、やっぱ大人の雰囲気は大事にしたいので、可愛い花柄はガマンしてちょっと高いレースにフリルが入った奴にした。

これで90ドル飛んでったけど、まあ、勝負下着は必要だしいいんじゃない?


さて、次はご飯かな。

夕方の食事時、食堂は何処も忙しそうだ。


ふとガラスに映った自分の姿に、真っ黒なジャケットがオシャレじゃない。

なんでジャケットと、強盗が生活してるのがカンケーするのかわかんないじゃない?

結局脱いで、表に返して腰に袖を結んだ。

フフフ、やっぱ身につけるモノは気を配らなきゃね。


「さあて、どこでたっべよっかな!あー、いつもどこ利用するか聞けば良かったなあ。」


とりあえず、ふと目にした暗いけどおしゃれっぽい店が客が少ない。

ちょっと高そうかなーと思うけど、まあ後110ドルあるからいいやと気軽に入った。

店は飲み屋の雰囲気でカウンターに酒瓶が並んでる。

でも、食事のメニューはあるみたい。


「あのう、ご飯はありますか?」


50代くらいのマスターは、怪訝な顔で視線を泳がせてうなずく。

そして、彼女の服をじろじろと見ると驚くほどニッコリしてどうぞと席を指した。


「どうぞどうぞ、そちらのお席に。

お食事でしたらこちらのメニューから。うちはパスタがおすすめです。」


「へー、パスタかぁ」


なんだかメニュー少ないけど、おなか減ってるのでなんでもいいやって感じ。

とりあえず、ハズレがなさそうなカルボナーラ。


「ふう、まあ何でもいいわ、空腹は最高の調味料よ。」


フフッ、大人びたこと言ってしまったわ。

あとは、追加でおすすめのワイン頼んだ。

まあ一杯くらいいいわよね。


窓から通りを見ると、なんだかみんな不思議そうな視線で通り過ぎるけど、なんでかしら。


チンッ


ん???今なんか、厨房の奥でチンって言わなかったっけ?

いや、気のせいよね。


「どうぞ、当店自慢のチーズたっぷりカルボナーラでございます。

こちらはグラスワインです。おかわりも出来ますので。」


「あら!美味しそう。」


早いし思った以上に美味そうな感じ。

綺麗なお皿にくるくる巻いたカルボナーラ、その上にたっぷりのチーズ。


食べると、結構濃厚で美味い。

濃厚すぎて、ワインで流す。

うんうん、いいんじゃない?


ワインもなんかめっちゃ美味しい〜


「お客さん、その服は郵便局にお勤めですか?」


「あら、わかる?あたし、ポストアタッカーなの!凄いでしょ?」


「へえ、そりゃ凄い!でも、強盗に襲われることもあるでしょう。

大変ですね。」


「ええ、そこはね、バンバン容赦なく撃つの。だって、あたしの使命は郵便を無事に運ぶことだし。」


フフフ、カッコ良すぎ?


「カッコいいなあ、容赦なく、か〜………ワイン、もういっぱい奢らせて下さい。」


「まあ!いいの?でもお金〜」


「お金の心配なら、うちはメニューの代金以外取りませんから大丈夫ですよ。

これは私のおごりです、いつも大変なポストアタッカーさんに。」


「きゃーー、うれしい!じゃあ、いっぱいだけね。」


ちょっと辛口、なんか凄いきくわー、アルコール高めっぽい。

気をつけなきゃ、気をつけなきゃ駄目なのに、

グラスのワイン、一気にあおってあけるとまた注いでくれる。

ああ、駄目よ、ダメダメ

でもこんな所であたしのファンに会うとは、運がいいわ〜。


ほくほく顔でぐいぐいワインを飲んで食べる彼女を横目に、カウンターでマスターがもう一人の男にヒソヒソ喋ってうなずいた。

男は裏口から出て、外へ駆け出す。


やがて、食事が済んだ彼女は、酔っ払っていい気持ちでふらふらと席を立った。


「やっだー、なあに?やあねえ、なんか飲み過ぎちゃった。キャハハハハ

お金〜えーっと、35ドル〜やっす。」


え〜と、お金〜いちま〜い、にま〜い、あれ?35ドルって、何枚?

何度数えてもよくわかんない。


「あれ〜?なんでえ〜?なんか良くわかんないやー、もういっや。はーい」


5,6枚適当に10ドル札渡すと、二人のマスターがニッコリ笑う。


「あれ〜?あれ〜?ここどこだっけ?

あたしの家どこ〜??

あれ?あたし酒駄目だった〜、アーハハハハハ!飲んじゃった〜!なんでぇ〜??」


なんだか世の中がグルグル回る。

よろめいたところで、ドスンとおっさんが身体を支えた。


「やあ美しいお嬢さん、近くのカジノで遊んでいかないかい?」


「え〜??かじの〜〜??なあに?」


サッと後ろから来た二人の若い男が彼女の両脇に回る。

両脇支えられ、あたしはよろめきながら立ち上がった。




で、


あたしの記憶はここで終わった。

え?後はどうなったかですって?


そんなことさ、フフッ・・・・


あたしが聞きたいわよおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・・・!!!



遠い目








「さあ、夜は長いよ、一緒に遊んでいこうじゃないか。」


若い男が、レイルの耳元でささやきかけた。

レイルがくすぐったそうに、キャッと笑う。


「行こうぜ、アタッカーの姉ちゃん。一発当てて帰りなよ、ほら、すぐそこだから。」


「いっぱつ?!」


「ああ、一発当てて行きなよ。カジノは面白いぜ。アタッカーの人殺し野郎が、堂々と表歩きやがって。」


「おい、しっ!……さあ、行こうか。」


クックックッと、レイルが赤い顔でニイッと笑う。


「やだあ、一発当ててって、ウフフ…おにーさん、エッチ!ウフフ、一発だって……ククク……

一発?やだあ〜グフフフフ ……いっぱーつ!」


「な、なんだよ、変な女だな。

まあ、すぐに酔いは覚めるぜ。俺たちが覚ましてやるからよ。おい。」


「あー?なんかどっか行くの〜ヒャハハハ!いっぱつ!いっぱ〜つ!」


レイルがふらふらと両側で支えられながら、向かいのカジノへ向かう。

彼女の奇声は町中に響き渡り、通りで買い物帰りのセシリーが、ふと目をやった。


「あれ?………あれ、レイルじゃ無い?あーあ、飲んじゃってるよ。あ〜〜〜あ!

しーらないんだ〜、あーあ、腹減った〜!」


あーあと言いながら、買い物済ませて家に向かう。

何しろ腹が減っている、仕方ない。腹が減っているのだ。一大事だ。

遅くなるとリッターが、また酒ばっかり飲んでメシ食わない。


「今日はでっかいステーキだ!」


ルンルン、ステップ踏んで帰った。


飲んじゃ駄目な奴ほど飲んでしまうこのサガ

駄目より好きが勝ってしまうこの嗜好品は、時に毒になるのです。

あーあ


ちなみにチンは、どの国にもあるのです。

さあ、なんのチンかわからないんですが。

チーズをたっぷり足したカルボナーラは、きっと美味いと思いますw

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