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2、大丈夫、あたしに任せて!

お昼をのんびり過ごしていると、やがて時間見てジェイクがため息交じりに声をかけてきた。


「レーイル、昼食ったら、さっさと準備しろ。帰り遅くなるぞ。

もう幼稚園じゃねえんだから、迎えなんか行かないからな。」


ジェイクがあたしのプリティーなケツを蹴った。

準備、とは、防弾装備だ。

人間は防弾ジャケットとスーツとヘル。馬は防弾馬着。

それに武装と諸々通信機器と水と非常食。なんでそんな物まで必要なのかわかんないけど、規定なので仕方ない。


「あー面倒くさーい。マックス、馬着着せるの嫌がるんだもん。

そう言えばロンドのちっこい人、着せてないじゃん?このスーツも着てないしぃ、マネしたーい。」


くねくね、ブリッブリしたけど無視された。


「強盗出会って3秒で死にたきゃいいぜ。

まあ、ロンドのサトミはなあ……ありゃあ……人間じゃネエから目指すな。」


「えー、年下っぽいガキんちょじゃん……ま、いいや、準備でき次第行ってきまーす!」


「待てい!準備できたら再度装備点検!ヒヨコのクセに、軽く行くな!」


「……へいへい、いつまでたってもヒヨコなんだから〜」


と、言うわけで、マックスに馬着着せて、水と荷物載せて、そして再度武装チェックする。

ロンドとデリーの間は馬で普通に飛ばしてだいたい2時間〜2時間半くらい。

しかも、一番治安が悪い。

なのに荷物は多い。

だから盗賊が、格好の目標にする。

まあ、成功率はめっちゃ低いだろうけど。


うちは基幹郵便局なので八方にポストアタッカーは走っている。

けど、このロンド便はみんな妙に緊張する。

ついこの間大事件があったとかで、その時はすっごく怖かったらしい。

壁には小さく、死んだポストアタッカーの生前の写真が飾ってある。

それは、そう言う事もあったという教訓らしい。


ただね、あたしはまだ、その詳細を教えて貰えない。

その事件があった頃はまだ、軍にいたから知らないのよね。

教訓なら、教えてくれてもいいのにさ。

知ると行きたくなくなるから、らしい。なにそれ〜。

まあ、おかげで知りたいけど、怖くて聞けない感じ〜


「GPSはONにしたな。いいか、何かあったら、とりあえず先にエマージェンシー入れろ。

先にだ。ボタン押すだけだから、できるな。」


「あーこれね、うん、逃げながら押す。」


「お前は盗賊と、ただ急いでる人の区別付かないから、まだ先に撃つなよ。

いいか、頼むから一般人撃つな。とにかくわからなければ逃げろ。撃ってきたら撃て。」


「わかってるわよぉ、任せて!」


「いい、任せられないから、先に撃つな。

ロンドも今日はお前が行くって知ってるから、何かあったら近い方が行く。

衛星通信機、バッテリーあるか?ベルトにシェルは入れたな。

よーーし、いいか、凄く心配だが、全然頼りにならないが、いつかは子ライオンをワニに食わせる日が来るんだ。

……あれ?子ライオンをどうするんだっけ?石にぶつける?いや、なんだったかなー……」


「子ライオン?なにそれ?」


「ま、いいや、よし、行ってこい。」


まったくジェイクは心配性だ。

もう1人で行くの3度目なんだから大丈夫っての。


ちらっと腕章見て、ニッと笑う。

この郵便マークに電撃の、ポストアタッカーの腕章に憧れてここに就職した。

フフフ、やっぱりカッコイイ!うん!今日もがんばる!


と、言うわけで、あたし!しゅっぱーつ!


マックスも、少し馬着に慣れてご機嫌もいいみたい。

荷物を積んで、青い空の下、気持ちよくゲートを出て道を早足で進む。


ポストアタッカーは、それなりに人気がある。

勇敢な職業って感じで、時々子供が手を振ったりすると嬉しい。

ウフフ、あたしってカッコイイ?

とはいうものの、やっぱり町を出て、荒野を前にすると胸がギュッとする。


「ようし、マックス!今日は荷物多いから、がんばって走ってね!」


マックスの首をポンポン叩く。

ブルブルッと鼻を鳴らして返事くれた。


決めた休憩ポイントまで一直線、マックスも軽快に走って行く。

今日は天気もいいし、気分がいい。


まあ、一気に休み無しで走り抜けることも出来るけど、馬に余力を残す為に1回休憩入れる。

襲われて全速で走ったら、もう一回入れることもある。

アタッカーは人馬一体、馬は人間より大切にするわ。


さて、特に異常も無く、休憩ポイントも終わってロンドももうすぐだ。

道の標識にロンドの文字が見える。


「やったー無事終わりそう〜!」


と、喜んだとこだった。


パンッ!


「いたっ!」


乾いた音がして、左脇に当たった。


タタタンッタタタンッ!


バシバシバシッ!


「ぎえええええ!!死ぬ!死ぬ!」


防弾装備してるとこにめっちゃ当たる。

良かった!マックスにも着せてて良かった!


ヒヒイイイインッ!


マックスのどこかに当たったのか、防弾馬着で吸収しきれなかった衝撃か、マックスが足を止めて思わず跳ね上がった。


「マックス!」


「ひゃははっ!姉ちゃん残念だな!」


左後ろからガラの悪そうなおじさん達が来るのが見える。


「よし!あれは盗賊ね!わかりやすくて助かるわ!」


足踏みするマックスを落ち着け、レミントンを手にした。

M870 のフォアエンドを引く。

銃を向けて撃つと、オッサン達もバカじゃない、左右に散ってこっちにまたAKを向けてきた。

止まっているといいマトだ。

マックスをなだめてなんとか走り出して貰う。


「えーん、どうしよう。なんかおじさん達、しつっこい感じー。

エマージェンシー押しちゃえ!」


腰に付けた、GPSのボタンをポチッと押す。


「くっそ、恥〜〜〜〜、もうこっちが近いからロンドから来るよね〜

あのロンドのちっこいの来たらどうしよう〜〜」


あたしはとりあえず逃げることに専念した。

良くわかってない奴の、「大丈夫!」ほど怖いものは無いのであります。

ジェイクはアタッカーのリーダー的存在です。

コネで就職したレイルの能力テストの折に、こいつは駄目だ、他の奴の手に負えない!

と言う焦りに似た印象から、仕方なく、血を吐く思いで自ら指導係に手を上げたのでした。

可哀想な中間職……w


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