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速達配達人 ポストアタッカー 2 〜LOVE LOVE ダーリン 策略だらけの一夜〜(表紙絵付き)  作者: LLX


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18、ちっこくて、でっかい奴

「お前の性衝動は病気だと思うけどな。

俺は今んとこ、セックスより戦ってる方がスカッとするわ。」


「な〜に、スレてるう!」


「セックスって、子作りだろ……

うーん、あれ、一般の時の誘拐案件だったっけ……

救出した女が急に産気づいて、出産に居合わせてなあ……

あん時はマジひでえ目に遭ったわ。

人間、何でも徐々に知った方がいい。


人間があんなとこから出てくるって知らなかったし、首になんかヒモが巻き付いてよ、首つって出てきやがった。

生まれた赤ん坊の顔は真っ青だし、一緒にいたババアはもうダメだ言いやがるし、大人は諦めるの早すぎる。

人間、生まれた時からバクチみたいなもんだなあってよ。

ギャアと泣いて、ようやく一人前だ。」


ダーリンがげんなりした顔で、携帯食食べて水を飲む。


「はぁ?マジ信じらんない。で、子供助かったの?戦時中?」


「あ?ああ、入隊してしばらく経った頃だったな。

クククッ…ほんっとさ、状況最悪、すげえの。


面白……じゃねえ、ひでえもんだぜ。

子供泣く上に産後の女までいて、部隊の奴ら次々やられて子供殺そうとか言いやがるし、無能な大人ばかりでイヤになっちまう。

子供がギャアギャア泣くのは当たり前だ。

それでも助けてやる、心配するなというのが男だろ?出来るか出来ないか、わからなくてもよ。

俺にそう言う大人の姿見せてくれよ。あれだけ最新の武装して、なんでそう言えねえんだ?


結局よ、俺が子供引き受けて、敵ほとんど殺しちまった。

ははっ!

子供一人の命重すぎだろ。容赦ねえ大人がバカすぎる。


ああ、まったく……


あーーーー!!俺ってよぉっ!!人生経験ありすぎだろーーーー!!! 」


ダーリンが、背中見せて広がる荒野に大声で叫ぶ。

確かにねえ、いくら戦時でも色々経験しすぎだわ。


「その後さ〜、子供と会った?」


「会ったぜ、軍の幹部の奥さんだったからな。お礼に色々もらったぜ。

あのココアは最高だったな〜。うん、俺としても美味しい仕事だった。」


笑って空見て伸びをする。

変な奴。



「ヒヒヒ、変な奴〜」


ん?今の声どこから??


キョロキョロするけど、ダーリン以外誰もいない。気のせいかしら。


「でも、だいたいさ〜、あんたなんで15?その前?なんで子供で軍にいたわけ??

なんで郵便局で働いてんの?首になったの?」


ダーリン無言、話す気ないらしい。


ちぇっ!!ちぇっ!!ケチ!!


でもまあ、なんとなくこいつが大人より大人びてるの、よくわかった。


「あー、もう、やだ。15って!ダーリン打ち止めだわ。

ちょ、胸隠すの、なんもないじゃん。」


ため息ついて水を飲み干し、四つん這いで服を探す。

あたしが入ってた袋に、ブラとツナギが丸めて入れてあったのか、辺りに転がっているので拾ってきた。


「きったな〜い。」


ブラは真っ黒、グチャグチャできちゃなくて付ける気がしないので、とりあえずツナギ着る。


「あ〜もう最悪だわ、ガキだったなんてさ〜」


「ガキで悪かったな。大人ならガキの手ぇ煩わせんじゃねえよ。」


「うっさいわねえ、あんたガキのくせ、年寄りくっさ!」


立ち上がって、馬に積んでた水のパックを取り、ごくごく飲み干すと、やっと少し元気出た。


「そろそろ出るぞ、さっさと馬に乗れ。」


「きっつぅい、ねえねえ、前に乗せてよお〜。

落馬しちゃうわ、きっとあたし、落ちて死ぬのよ。ううっ、可哀想なあたし〜」


泣き真似したけど無視された。さっさと馬に乗ってプイッとあさって向いてる。

仕方ない、だいたいこいつ小さすぎ。

あたしの王子になれそうもないじゃん?


マジキツでマックスに寄りかかる。

乗れる気がしない。

つーか、乗れるの?これ〜

鞍持って、マックスに乗ろうとするけど、全然力が出ない。

グズグズしてると元ダーリンがため息ついて馬を寄せ、あたしの首根っこ掴み、ひょいと持ち上げて乗せた。


「え?え?え〜〜〜〜

あたしって痩せた?? めっちゃ腕力有りすぎぃ!」


「てめえぐらい軽いもんだ。行くぞ、落ちたら叫べ、死んだら置いていく。」


「ひっど、ダーリン、ひっど!ま、いいけどさ。

その腕力、しびれるからダーリンに昇格してあげるわ!」


ダーリンが、ハハッと笑う。

なんだか、笑顔が爽やかじゃん?

ちょっとキュンときた。


「女って変な生き物だな、ダーリンだの王子だの、勝手に人に名前付けやがって。

俺はサトミだ、バカ女。」


「ま、クソ女からバカ女に昇格したじゃない?グフフ、そう言えば、頼みあるって言ってたのに、約束守れなかったわね、今度泊まりに行ってあげる!」


「却下だ。俺の家には二度と近づくな。貴様のイビキには辟易した。

行くぞ。」



「 いびきいいいいい!!!! あたしがぁぁぁぁぁぁっっ???????!!!!!!!!」



「最悪だ、貴様は口呼吸止めろ。ぼけっと口開けてると魂抜けるぞ。」



ひいいいいいいいいぃぃぃぃ……はずかしいぃぃぃ〜〜〜〜


こっ…このあたしを赤面させるとは、やるじゃないダーリン!



「これはね!恋を語ってるのよ!!恋!!ぼけーーーっと口開けてんじゃ無いの!

乙女には乙女の都合があんのよ!


ちょ、ちょっと待ちなさーーーい!!」


ダーリン、ちっこいのにデカい奴。

こいつが大人になったら、カッコいいんだろうなあって……


「ダーリンの未来にチョー期待って感じ〜!」


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