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速達配達人 ポストアタッカー 2 〜LOVE LOVE ダーリン 策略だらけの一夜〜(表紙絵付き)  作者: LLX


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18/21

17、最悪の目覚め

馬屋の中で、馬2頭とサトミの寝息が静かに響く。

サトミは毛布にくるまり、小さくなって時々寝言をつぶやく。

ベンがなんとなく目を覚まし、ちらと彼の寝顔を見て目を閉じた。



「  お〜〜い  」



突然、女の声が母屋から響いた。



「ここ〜〜何処よ〜、ねえ、トイレどこ〜??」



レイルが起きて、家をうろうろしはじめたようだ。

頭がまだはっきりしないのか、大声で叫び、それが馬屋まで聞こえる。


「5時のあいつか……」


ベンが、サトミをじっと見る。

熟睡しているのか、起きる気配が無い。



「     トイレ〜〜    」



声が近づいて、サトミの手がピクリと刀に伸びる。

ベンが鼻先で、そうっと刀を遠ざけた。


これ以上騒がれて、こいつが寝ぼけて刀振り回すのも迷惑だ。

起きて立ち上がると、ベンには柵がないのでそのまま馬屋を出る。

中のドアを器用に口で開け、母屋に入ると廊下に顔を出した。


「トイレ〜、もれちゃうよ〜」


女が裸同然でふらふらしてる。


「おい」


声をかけると、振り向いた。


「え〜だれ〜」


「人間のトイレって奴はここだ」


突き当たりのドアを鼻先でドンと指す。

レイルはキャッキャと笑い、そのドアを開けた。


「あった〜ここだ〜。ねーあんたさ〜、馬に似てるわ〜、馬そっくり、やだあ〜」


「馬だ」


「馬が喋るわけないじゃん!ヒャハハハ、あーもれるう…」


フラフラしながらトイレを済ませ、廊下に出るとバタンとひっくり返り、そのまままたイビキを上げる。

ベンがゆっくり首を振り、バックして馬屋に戻った。


「確かに、メスの中でも6時だ」


6時は、つまり最低って事だ。

隣にいるレイルの馬マックスが、どこかすまなそうにぺこりと頭を下げる。


「お前、大変、だな」


ブ、フーッとため息付くように、吐息が漏れる。

それを横目に、ベンがサトミの所に戻り、ブルブルッと首を振り、また横になった。








酷い、酷いわ、なによこの揺れ……


えっ??なんで?ここ袋の中?誘拐???


うう、身動き出来ない、胃が圧迫される〜〜〜


気分悪い………


頭が割れそうに痛い………


目が回るうう……


おえっ


おえっ


おええええええええ!!!





「吐くう〜〜〜死ぬ〜出してえええ!!!」



「うるせえな〜、ずっと寝てろ!」


ジタバタ、暴れてると揺れが止まってロープが緩められ、地面にどさんと降ろされる感覚。


「起きたら起きたで、めんどくせえ奴だなー。中で吐くなよ、臭えから。」


いきなり袋ひっくり返されて麻袋から放り出され、その瞬間あたいは口から綺麗なゲロを出した。


「おえっ、うぇっ、何よおお……ここ何処よおおお…

な、何?これ、なんであたしパンツ一枚で真っ黒なのおお??

ひっど、ひっどおお〜〜〜い〜〜

おええええええええ………!!!」





「ぎぼぢわるい〜〜」


ようやく、地面に張り付いたまま周囲を見回して、ここが何処か把握はあく出来た。

荒野のど真ん中、デリーとロンドの間の道だ。


綺麗なゲロに土かけて顔を上げると、ダーリンがイヤそうに水のボトルを差し出す。


「飲めよ、胃液で喉が荒れるぞ。」


「ううう、座れない〜目が回る〜気持ち悪い〜帰りたい〜」


「だから帰ってるだろうが。あと半分ガマンしろ。」


「なんで麻袋なのよう、なんでパンツ一枚よう。

普通さ〜抱っこして乗せるじゃん?

ダーリンの胸の中で爽やかな目覚め〜〜〜」


「ねえよ、バーカ。俺よりお前の方がデカい。

前が見えない、臭え女はイヤだ、お前が俺の前に乗るなんて許せねえ。」


「ひっど、ダーリン、ひっど、素敵な一夜が〜〜夢に終わった〜〜」


水のボトルを開けると、口をすすいで一口飲んだ。


「おえ〜〜、何これ、なんか甘しょっぱい、何かマズい〜〜〜」


「てめえのような脱水状態にはそれが良いんだ、黙って飲め。吐いても飲め。

脱水状態でな、ただの水飲んで死んだ奴何人も見たんだ。

黙って飲め。」


「もー、わかったわよぉ、あたしの服……ブラ……


……はっ!グフフフフフ、ダーリン、あたしの胸揉んだわね!

いいのよ、いいのよ〜、無問題!いいのよ〜」


なんだか、ウンザリした目で見られてるけど、きっとこれは知られたくなかったんだわ!

ゴメンね!ダーリン、あたしの胸の感想聞くのはやめるわ!

ハッ!もしかして、寝てる間にエッチまでやったのかしら!

やだっ、あたしぜんっぜん覚えてないし、寝てる間に無双したのね!


キャーーーーーーーー!!ヤダーーーーー!!!!


………は……だめ……尽きた………


クラッと来て、バタッと倒れた。


気分悪い、頭痛い……



「お前さ、心の声デカすぎ。まるっと聞こえるじゃん。

悪いけど、あんたレイプする気もねえし。

だいたいさ、この世界、普通ってのはあんたが俺襲っても犯罪になるんじゃねえの?

俺、まだ15だし。」




え?




「 じゅうご? だれが? 」



「俺が」


………………………


「えええええええええええええええええ!!!!」


ちっこい大人じゃ無くて、ちっこい普通に子供だった……


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― 新着の感想 ―
[良い点] 基本物騒なのに、ちょこちょこ可愛いサトミさーん!!(ノ≧∀≦)ノ ビック・ベンとの信頼が感じられる。 [一言] あんなに長い一夜だったのに新聞を読んで貰えなかった!
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