表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
速達配達人 ポストアタッカー 2 〜LOVE LOVE ダーリン 策略だらけの一夜〜(表紙絵付き)  作者: LLX


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/21

10、酒飲む大人は始末に悪い

その頃、サトミは帰ってこないレイルに、しびれを切らして町に出てきた。


まったく不愉快、極まりない。

レイルには、新聞の難しい記事を読んでもらおうと思ったのに、ストックを積んで待っててもいつまでも帰ってこない。

サトミは喋るのはいいが、読むのが苦手だ。

学校に11までしか行ってない上に、目が見えてから文字を見たので、今ひとつ国語力に欠ける。

今までは部下に読んでもらっていたのに、これだけは困った問題だ。


「あああああ、マジむかつく!明日早いから早く寝なきゃならねえのに!」


町をぐるっと見回すと、彼女の気配はすぐわかる。

人間レーダーは、こういう時便利だ。


夕刻の人の多い中、町の奥にあるその場所を目指して、するすると人を縫って歩く。

カジノの前に、若い男が一人立っている。

サトミに気がつくと、ずいっと前に出た。


「何だぁ?ガキ〜」


「おい、ここにバカっぽい女が来てるだろう。」


「はあ?ここは、てめえみたいなお子様の来るところじゃねえよ、帰りな!」


「女返せば帰る、いいから通せ。」


「しつこいガキだなあ、帰れって言ってるだろうが!」


サトミが、ラチがあかないと、ため息交じりに首を振る。

隙だらけの男の脇をすり抜け、ドアノブに手をかけると、男が慌ててサトミの肩に手を置いた。


「この!ま………て!ぁわあああぁぁ!!」


その手がいきなり片手で捕まれ、腕を返されると身体がクルリと舞って地面に転がされる。

次の瞬間、サトミはまるでボールのように向かいの飲み屋に蹴り飛ばした。


「ぐえぇっ!」    バーーン!


道を飛び越え、飲み屋のドアに激しく叩きつけられ、男はドアを押さえる形で失神する。

その店は、レイルが先ほどまで食事をしていた店だ。

この店とカジノは、町でも有名なマフィアもどきがやってる店だ。

この町の人間は誰も近づかない、いわく付きの店だった。


「てめえら、うるせえから出てくるな。と言っても裏口があるか。ははっ!」


ハッと笑ってドアノブを回す。

が、中から鍵がかかっているのか開かない。


「ちぇっ!めんどくせえな〜」


ナイフベルトの小さなナイフを一本取り、ドアのスキマに向けて一気に振り下ろす。


ガッ!!軽い衝撃が来て、サトミが渋い顔でナイフをクルリと手の中で回し、刃を見る。


「やれやれ、何だよボルト切ったくらいで今の衝撃は。つか、このナイフ切れ味落ちたか、今度クレーム入れよう。」


と、言っても『ナイフは金属や石とか切るように出来てません』と返されるのがいつものオチだ。

ため息ついて、ベルトにナイフを戻す。

ドアは、傷一つ無く薄いスキマから鍵のデッドボルトが切られ、ドアがすっと浮いて切られた端がゴトンと落ちる。


ドアノブを引くと、防音処理かドアが分厚い。

中に入ると、ビリヤード台に立つブラとスキャンティ姿のレイルが、真っ赤な顔でサトミに手を上げた。


「やっだ〜〜〜、ダ〜リ〜ン!キターーーーー!!」


周囲は3人の男が悶絶し、1人の男が泡吹いて倒れている。

他の男達は、震え上がって声も出ずに、突然入ってきた少年を呆然と見つめた。


「あー……、やっちまったか……まあ、やったもんは仕方ねえ。帰るぞ、クソ女!」


「やーーだーーー、ぜーーんぶ!ポッキーしてくーーー!!」


台にストンと座ってあぐらをかき、大きく股を広げる。

小さなスキャンティから、見えそうで見えないきわどさに、サトミがげんなりして首を振った。


「男がみんな見せりゃ立つと思うな、クソ女。服着ろ、帰るぞ。」


「なんで〜、ダーリンもポッキーするのにぃ!」


「クソが、誰だ?この女に酒飲ませたのは。酒飲む大人はまったく始末に悪い。」


レイルが、いやんいやんとクネクネして、眠そうに大あくびする。


「ふあああああぁぁ………ダーリン〜、ダーリン〜、あたい〜……そろそろ寝る〜〜

なんか〜〜、眠くなった……なあって……感じぃ〜〜〜……」


そう言って、銃を構える男達の前でこてんと横になって寝た。

さすがにサトミが驚き、呆れてお手上げ状態だ。


「おいおい、マジか!寝やがった。あー、もう!知らねえ。」


クルリとドアに向かうと、男達が驚いて噛みつく。

まさか、女を残して帰るとは思わなかった。


「ちょ、ちょ、ちょっと待てやぁッ!!はぁ?何だぁ?てめえ!女連れて行かんかい!

えぇ〜?こいつらの落とし前どうしやがるんだぁ?!クソが、その首よこせや!」


オールバックのアニキが、ビリヤードのキューを振り回してサトミを牽制する。


「知るかよ、てめえらが引き起こしたことに、俺が何を落とし前付けるってんだ。

大人なら自分で責任持て。その女売るなりバラすなり好きにすればいいさ。じゃあな。」


「ガキいぃ!!舐めんじゃねえぞ!こるぁ!!」


パンッ!


背中を見せたサトミに、威嚇で一発撃って男達が詰め寄る。

裸同然の女に男4人も倒されて、もうすぐボスが来るとなると現状立つ瀬が無い。

しかし、予定が大きく狂って、いい加減に機嫌が最悪のサトミがゆらりと振り向いた。


「……へえ……そうか、そんなに死にたいか。ああ……丁度いい、俺も虫の居所が悪い。」


ニイッと笑うサトミは、異様にプレッシャーがある。

詰め寄っていた男達が、今度はじりじり下がっていった。

ふと下っ端の一人が、気がついて声を上げる。


「あいつ!!」


「どうした?」


「あ、アニキ、あの背中の長いナイフ! まずいですぜ。……こ、こいつ!……半殺し野郎だ!!!」


バッと男達の視線がサトミに集中した。


「まさか……、こんなにちっこかったか?」


ヒクリとサトミの眉が動く。


「まずい!ちっこいは禁句ですアニキ!ちっこいって言ったら奴の顔色変わりましたぜ、アニキ!」


ひいっと男達が思わず引いた。


「逃げやしょう!ちっこいなんてアニキが言うから!」


「頼む!切らないでくれえっ!ちっこい言って悪かった!」


カジノの中が、絶望感に変わり男達が部屋の角に追い詰められる。

サトミが苦々しい顔でチッと吐き捨て男達を向いた。


「ちっこいちっこい爆撃しやがって、俺はこれから育つんだ、クソ野郎が。

てめえら俺をそう呼ぶと言うことは、強盗にも手ぇ出してるカスかよ。

まったく、ワルが何でもしやがるな〜。丁度いい、腕一本もらっとくか。」


すうっとサトミの手が背に伸びる。



「「「  ひいいいいいぃぃぃぃぃ!!  」」」



「 何の騒ぎだ! 」



怒号が響き、一人の金髪の老人が、派手なスーツにでっかい葉巻くわえて、杖を突きながら部下に囲まれ現れた。


彼らは副業で強盗もやってるから、アタッカーの服見て痛い目見せようとか思ったわけです。

痛い目遭うのは、どっちかわからなくなったんですがw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] そうか、今までは部下に読み聞かせしてもらってたんだぁ。 ほのぼのしてるイメージしか浮かばないです。( *´艸`) [一言] まさか悪い人に、女連れてけと言われるとはw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ