イラク派遣
2006年4月2日
株式会社「ホワイト・ウォーター」
東京本社 直接警備保安課
「前回も言ったように、イラクでの新政府発足のため、アメリカ軍の護衛、
陸自(陸上自衛隊)の護衛、そして、新政府軍の教育にあたる。」
陸自・・・1年前の自分が所属していた部隊。
今回の任務は、陸自を護衛しなくてはならない。
情け無い・・・それなりの装備を持つ彼らを、日本を守る彼らを、私達、会社員が守るとは・・・
「実行、君には陸自護衛チームのリーダーとなってもらう。」
福永隊長の命令だった。
「わッ私ですか!?」
いきなりの命令に驚いた。
「特殊作戦の経験を活かし、彼らの任務を支援しろ。」
特殊作戦群の特別演習の後、私は福永さんを訪ねた。
「ああ、君か。決心はついたかね。」
私の心は決まっていた。
「ええ、まあ。」
「そうか・・・きついぞ?」
福永さん・・いや・・
福永隊長の目は哀しい・・悲惨な真実をみた目だった。
「何事も<実行>しなければわかりません。母親がそう言ってました。」
「よし、死ぬ覚悟をして、改めて東京の本社に来なさい。」
「イラク出発は四月二十日だ。それまでは皆、各自で生活しろ。解散!」
福永隊長の解散命令で、私はチーム編成表を確認しに行った。
陸上自衛隊護衛チーム 藤永隊
部隊長 藤永実行
副隊長 山本圭輔
援護1 佐々木道長
援護2 鎌田勝行
無線手 米山隆志
衛生士 木村貴義
以上6名
任務内容
陸上自衛隊第3師団の復興支援活動の護衛。
(銃撃された場合は応射し撃退する。)
行軍中のアメリカ軍への物資支援。