勤務日誌<1>
アメリカではイラク戦争などにも使われたPMC。
彼らは戦死者として表記されず、讃えもされず、死んでいくのです。
民間人の虐殺にも関わったとされるPMC。
孤独な戦いの中で、悲惨な現状・・・
そんなことをこの小説で知ってもらいたいです。
文才ありませんが、よろしくお願いします。
砂塵舞い、男達はむせ込んでいた。
コンクリートとは呼べないほど朽ち果てた壁は、銃弾をよける盾にはならなかった。
「山田ァ!!早く投げろオ!!!」
悲鳴に近い声を上げながらスタン・グレネードを投げた。
パッキィィィィン!!
キーン・・・
何も聞こえない。
目を開けて一気に壁から躍り出て、Mk.17を撃ち込んだ。
「ぐぎぃ!」
「かっ!」
どさどさと人が倒れたのを目で確認した。
・・・・・・・・・・
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・・・・・・
・・・・
・・
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「・・・じっ・・だ・・」
声が聞こえた。
「実行!大丈夫か!?」
ん・・?福永隊長の声・・?
「実行、大丈夫です!」
私は自分で答えた。
ここは、パキスタンの寂れた村で、首都のイスラマバードから南に何キロも行った場所にある、サルゴダである。
とりあえず、私達の現状を報告しよう。
日本初の軍事請負企業が発足して以来、日本政府は、自衛隊には危険すぎる仕事などを我が会社である<ホワイト・ウオーター>に頼み込んできた。
兵士では無い私たちは敵に殺されても「戦死」とはならない。単なる「事故死」。
私達は、国が雇った派遣会社の従業員なのだ。
政府は、汚れ仕事の一切を私達にまかせた。
それに対し、マスコミは「戦争の犬たち」、「外道集団」などと書いていた。
どれだけ国のために(実際は会社のためだが)働いても、国は勲章ひとつよこさなかった。
だが、給料がいいから辞める者はあまりいない。
第一、私達のほとんどが元軍人だからだ。
覚悟はできている。
私、藤永実行も陸上自衛隊の特殊作戦群に居た。
ヘッドハンティングと言えば聞こえがいいが・・・
ようは金欲しさの為と、戦場を経験してみたかったからだ。
自衛隊のようなところにいても実戦なんてやらない。
私は米軍の兵士達に認められるような軍人になりたかった。
PMCはそんな私をよく理解してくれた。
「ホワイト・ウォーター」は日本最大の軍事企業だった。