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老人とジャンケン(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
4/5

4.

「勝ってあの石段をズンズン上に行く。負けても、次に勝てば近づける。追い越せるかも知れない。どうじゃ。差が付いたり近づいたりの競争があった方が面白いじゃろう?」


 老人の言葉に、三人はわかったようなわからないような顔をする。言葉だけでは実感がわかないらしい。


「チーズは……そう、チョコレートでどうじゃ? チヨコレイトにして6段進む。グリコよりも倍進む」


 反対側に首を傾げた女の子が「グリコやめようかな」とつぶやいたが、老人は聞こえない振りをする。


 元々、老人のアイデアは、グーチョキパーの一つを他と大きな差を付けて弱く見せて、その実弱くはないという形にしたかったため、「グリコ」を残したかったのだ。


 一人の男の子が「なら、パインはパイナップル」と提案する。


「それじゃ5段じゃ。パイナップルはパイナツプルで6段進めばいい」


「なぜパイナップルじゃダメなの?」


「チョキを出したら6段、パーを出したら5段、グーを出したら3段なら、一番進むのはチョキになる。それじゃと、みんながチョキしか出さなくなるじゃろう?」


 子供たちは顔を見合わせた。


「6段進むのが2つ、3段進むのが1つで、どれで勝つかの競争になるから面白いのじゃ」


 その時、女の子が「えー!? それじゃ、グリコが3段だから負けちゃう!」と不満げな顔をして体をひねる。


「大丈夫、グリコでも勝てるのじゃ」


「ホント?」


「やってみればわかる。信じなさい」


 老人は、目を糸のように細めて笑った。

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