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老人とジャンケン(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
2/5

2.

 一人は、おかっぱ頭の女の子。二人は、坊主頭の男の子。身長から五、六歳といったところだ。


 石段の下に集まった三人が、何やら掛け声を上げて、互いに腕をリズミカルに振って突き出している。


「おや、ジャンケンでもしとるようじゃのう」


 一人が2段上る。


 またジャンケンをする。他の一人が2段上る。


 またジャンケンをする。今度は二人が2段上がる。


「はて……」


 ルールがわからない老人は、子どもたちを見つめながら近づき、動きをじっくりと観察した。


 すると、どうやら、ジャンケンに勝った者が、何を出して勝ったかによって「グー」「チー」「パー」と言いながら2段ずつ石段を上がっていることがわかった。


「なるほど。勝ったものが2段ずつのぼっていく。そんな遊びが()()っておるのか」


 謎が解けた老人は、ある疑問が湧いてきた。


「……ん? ということは、何を出しても勝ったら2段進むことになる」


 三人のジャンケンの出し方は27通り。


 自分がグーを出して勝つ組み合わせは3通り。パーもチョキも同じ3通りだから、勝つ組み合わせは全部で9通り。9/27=1/3。


 つまり、何を出しても1/3の確率で勝利するジャンケンなので、何を出しても2段ずつ上るなら均等に上っていく。よっぽど相手が偏った出し方をしない限り、勝負が付く確率は誰もが同じ。


 これでは差が付く感じがしないから、駆け引きもなくてあまり面白くない。差を付ける駆け引きがあるから面白いのだ。


 しばし考えた老人は、頭の中でアイデアが光るとニコリと笑って、さらに三人へ近づいていき「おーい」と声をかけた。

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