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フリーター、魂を刈る。  作者: なつかし
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第7話 ローブと鎌は使いよう

バトル描写難しい……

 さっきまで病室にいたはずなのに、カルディナに投げ飛ばされ、あっという間に病院の外。

 周りを見ると、車が何台か停めてある……大きな病院に相応しい広めの駐車場だ。

 そして、俺は今、カルディナに大鎌を向けられている。


「こんなことやめよう、俺はキミと戦いたくない……!」

「ふざけないで、ユミルの姿をしたどこの死神かも分からないヤツを見逃すわけにはいかないわ」


 戦ったこともないのに、いきなりトップクラスの死神と対峙することになるなんて……。

 できることなら争いは避けたい。

 しかし、この状況では、話し合いで解決など不可能だろう。


 やむを得ず、魂の詰まった袋を地面に置き、短い棒状態の鎌を手に取る。

 鎌を伸ばし、スイッチを入れると青白く光る刃が現れる。


 ――もう、後には引けない。


「やっと、ヤル気になったみたいね……」

 カルディナは地面を勢いよく蹴ると、一瞬で俺の目の前まで距離を詰めた。


「はや――」

 俺に、赤く光る刃が襲い掛かる。

 咄嗟に自分の鎌を振るうが、光る刃と刃がぶつかり、凄まじい衝撃となる。

 まるで、ライトセーバーのぶつかり合いのようにも見える。

 赤と靑白い光は、闇の中で映え、激しくも美しい。


 カルディナは、攻撃の手を緩めない。

 次から次へと、赤く光る刃が襲い掛かってくる。

 一撃一撃が凄まじい衝撃で、防ぐだけでも精一杯で腕が折れそうになる。


「これでどうかしら!」

 カルディナは力を込め、鎌を大きく振るう。

 防ごうとするが、刃と刃がぶつかった時の凄まじい衝撃に耐えられず、大きく仰け反る。

 鎌を持つ手はビリビリと痺れ、踏ん張ると靴と地面が擦れ、煙が上がった。


「本気を出していないとはいえ、私の攻撃を受け止めるとは……。さすがユミルのチカラね」

 俺が、カルディナほどの死神の攻撃を耐えられるのは、このローブと鎌のおかげだという。

 確かに普通なら、戦闘経験皆無の俺なんかは、一瞬で木っ端微塵だろう。

「ハァ、ハァ……」と俺の息切れが目立ってきた。


「でも、『スノードロップ』のチカラをこれっぽっちも引き出せてないじゃない」

「……スノードロップ?」

「あんた、自分の鎌のことも分かってないの!?」


 どうやら、俺が持っている鎌は『スノードロップ』という名前らしい。

 メフィストから、白いローブと鎌を買ったが、簡単な説明しかされていない。


「死神って魂を刈るのが仕事なはず、それ以上のチカラが必要なのか?」

「何を言ってるの。人間だって自分を、国を守るために武装するじゃない? それと同じよ」


 確かに、自衛するチカラは必要だと思った。それに下手をしたら、この界隈の争いは人間同士の争いより物騒なのかもしれない。


「持っている鎌もチカラも分からない、これをユミルが聞いたらなんて思うかしら……」

「……ユミルは俺なんだけど」

「あんたは、ユミルの皮を被った犯罪者よ!」

「皮じゃなくてローブで――」

「うるさい!」


 余計なことを言ってさらに怒らせてしまったようだ……。

「私の愛鎌、『リインカーネーション』の餌食になりなさい!」

 カルディナが左手を前にかざすと、巨大な火球が現れる。

 こんなのまともに食らったら、黒コゲどころか灰になるんじゃないか。


 ――逃げないと。しかし、目の前の光景に圧倒され、身体が思うように動かない。


『メギドフレイム』

 カルディナは巨大な火球を横、縦と斬り付ける。

 火球は、轟音を周囲に響き渡らせながら迫ってくる。

 その姿は正しく、地獄の業火と呼ぶに相応しい。……見たことないけど。


「安心しなさい、焼けるのはあなただけよ」


 自分の無力さを実感し、絶望する。


「あ、死ぬ」


 そう思った次の瞬間、凄まじい衝撃に耐えられず吹き飛び、身体は何度も地面に叩き付けられた。

 不思議と熱さはあまり感じなかった。ローブのおかげだろうか……。


 ……起き上がることができず、そのまま意識を失った。


 カルディナは、煙で視界が悪くなった周囲を鎌で薙ぎ払った。

 仕留めたはずのユミルの姿を少し離れた場所から確認する。


「……さすがに起き上がれないみたいだけど、灰どころか黒コゲにもなってないじゃない。ユミルのローブだし当たり前か……」

 カルディナは、ゆっくりとフブキの元へ近づく。

「ユミルのローブと、スノードロップを返してもらうわ」


 ――次の瞬間、カルディナとフブキの間に小規模の爆発が起き、黒煙が発生し、視界を遮る。

「何!?」

 カルディナは、すぐに鎌で黒煙を薙ぎ払う。

 そこにいたのは、背と鼻の高い男…・・メフィストだ。

 メフィストは、フブキを担ぎ、魂が大量に詰まった黒い袋を握っている。

「少し遅かったデスね……。嫌な予感がしたので来てみれば」


「あなたは何者なの!?」

「このコの保護者デス、まったく……随分と世話になったようデスね」

「ッ、待ちなさい!」

「では、良い夜を」

 メフィストは、後ろに数歩下がると、そのまま闇の中へ消えた。


 カルディナは、追いかけようとしたが間に合わない。

「逃げられた……、次に会うときは絶対……!」

 しかし、これで邪魔ものはカルディナの前から消えたことになる。

 カルディナは病室へ戻り、ベッドで寝ているお婆さんの側に立つ。


「お母さん、今までお世話になったね……って言っても、私が高校2年の時までだね。

今は、死神として生きているから安心してよね。まぁ、半分死んでるんだけど……」

 カルディナは、涙をこらえながらお婆さんに向かって鎌を縦に振るうと、身体から魂が浮き上がる。


「……ありがとう」


 鎌を横に振るうと、無事に魂が身体から切り離された。

鎌の名前の由来

リインカーネーション…転生や輪廻の意味と、赤いカーネーションの花言葉で「母への愛」

スノードロップ…白い花で、花言葉は「逆境の中の希望」、贈り物にすると「あなたの死を望む」

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