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フリーター、魂を刈る。  作者: なつかし
12/38

外伝 小さきカラダ

キャラ補足&休憩回

 死神『ユミル=ブリザード』になってから少し、このカラダにも慣れてきた。

 カラダは小さく、不便なことも多い。何より性別が変わってしまったことが一番大変なのだ。

 できれば元の姿に戻りたい……と思う反面、少しだけラッキーなんて思ったり。


 この姿になってから妹のコユキと暮らすのだが、バレないようにするのは容易ではない。

 元の姿の時に着ていた服は大きすぎるし、妹のお下がりを着るのもおかしい。

 つまり、今着れるものは白いローブだけ。それどころか下着は何もない。

 新しい服を買えばいいのだが、自分の服にお金を使うのは勿体ないと思ってしまう。


 寝る時はコユキと同じ布団、前と変わらない。

 俺はローブだけ着て寝るのだが、この姿になってから寝相が悪く、朝方にはローブが脱げていることがある。コユキがそれに気づいてくれれば、上にかけてくれるのだ。

 この姿から戻れなくなった理由は、ローブを長い時間着ていたからなのだから、寝ている時ぐらい脱げばいいとも思う。さすがに裸で妹と寝るのは……まぁ、寝相のせいで結果変わらないんだが。


 ――ある日の休日。コユキは俺がいつもローブしか着ていないことを気遣ってくれる。

 服がないことは適当に言い訳をし、それを誤魔化すように、俺とコユキは一緒に服を買いに行くことにした。

 父親の借金はあるが、死神のバイトによる報酬が高額なため、生活が極端に厳しいわけではない。折角だから、妹にも新しい服を買ってやろう。

 そして、服を買いに行くための服がないという状況に陥っていることに気づく。普段は仕事以外で外に出ることがほとんどない。だからローブだけでも問題なかったのだ。仕方なく、妹のお下がりを拝借することにした。


 そして、滅多に来ない隣町のデパートに足を運んだ。近場の安い服屋でも良かったのだが、若い女の子が着るような可愛い服は置いていない。

 デパートの外観はほとんど変わっていなかったが、何年も前に父さんと来た時と並んでいる店はガラッと変わってしまっている。

 デパートの中は広くて、迷ってしまいそうになる。歩いているだけでもコユキはとても嬉しそうにしている。少し寄り道を挟みながらも、女の子の服を売っている店に着いた。


 そこには、女の子の好きそうなフリフリの服や、スポーツをするときにも着れそうなものまである。

 そして、バリエーション豊かな下着もある……目のやり場に困る。

 妹の服だけじゃなくて、俺の服もここで買うんだよなぁ、と改めて自覚する。

 正直、今の女の子がどういう服を好むのかよく分からない。今の女の子どころか、女性の服についての知識が全くと言っていいほど無い。

 俺がどうしていいか分からずモタモタしていると、コユキが進んで自分と俺の服を選んでくれる。


「ユミルちゃんは、普段大人しいからシンプルな服がいいかなぁ。でも、このピンクのフリフリも可愛くて似合いそう!」

 俺は、着せ替え人形のように次々と服を替えられる。俺が困惑していると店員が声を掛けてきた。

「仲が良いですねー。妹さんですか?」

 はい、と俺が答えそうになったが、おそらくコユキに聞いていて俺が妹だと思われているのだろう。

 それに、この姿じゃコユキと血も繋がっていない。

「お兄ちゃんの彼女さんです!」

 コユキが答えると、店員はポカーンと口を開けてしまった。当たり前だ、小学生であるコユキより年下に見える幼女が兄の彼女って意味不明だろ。俺が咄嗟に誤魔化した。コユキは素直でいい子なんです……。


 最初は二~三着ぐらい買えばいいかと思っていたが、結局倍以上買ってしまった……それに加えて下着もある。

 コユキが選んでくれるものすべてが良く見えてしまった。そこから絞ることができなかった。

 コユキも悩んでいた自分の服を二着とも買ってあげた。仕事を頑張れば何の問題もない。


 デパートの帰りに銭湯の文字が目に入る。折角だし、久しぶりに広い風呂もいいな。

 コユキも乗り気だったので寄ることにした。お金を払って、俺は何気なく男湯に向かう。


「ユミルちゃん、女の子でしょ?こっちだよー」


 コユキは俺の手を引っ張り、女湯に向かう。俺は一瞬理解できなかったが、今の俺は幼女。

 女湯に入らなければいけないのだが、無意識に男湯に向かっていたのだ。

 見た目の年齢的に男湯に入ってしまっても問題は無いかもしれないが、父親もいないのに入るのはおかしいし危険だ。

 女湯に入ると、当たり前だが裸の女性ばかりで目のやり場に困る。見慣れているコユキのカラダだけ見るようにしよう……。

 コユキと背中を流し合う。いつ以来だろうか……。

 背中を流しながら、なんてことない会話をする。これがすごく幸せに感じた。


 ――こうして久しぶりの休日は終わった。

 この姿での暮らしも悪くないかもしれない……でも、コユキは兄の帰りを待っているはず。


 死神としての生活はまだ始まったばかり。

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