小さい繋がり
遠足の最中に迷子になったボクは、1人寂しく膝を折る。
数分前までは、先生がボクの手を握っていてくれたのに。
周囲のからかいが恥ずかしくて、つい先生を遠ざけてしまった。
さきほどまで感じていた先生の人肌は、完全に冷めている。
心模様は下り坂。
いまにも涙が降り出しそうだ。
もうお家に帰れないのではないか。
もう先生に会えないのではないか。
考えれば考えるほど不安は増す。
しかし、その不安を払拭する温かさを小さい手に感じる。
先生の手が包み込んでくれたのだ。
ぎゅっ
繋がれた手と手。
曇り空だった心を癒してくれる心地いい温かさ。
お母さんのお腹の中にいるような安心感がある。
ずっとずっと握っていたい。
ボクは、先生の手を絶対離さない。
だから、先生もボクの小さい手を離さないでいて。