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1 ネットの探偵友達

 結局、その後俺は、空音かのんを自宅に連れてきた。ブレザーを羽織らせているとはいえ、下着姿の若い女の子をあちこち連れ歩く勇気はない。てっとり早く適当な店で彼女の服を買おうかと思ったが持ち合わせがなく、それも叶わなかった。


「とりあえず上がって?」

「ふむ。お邪魔するぞ」


 初対面の男の家に上がるというのにこの落ち着きよう。空音はやっぱり、普通の人とはだいぶ違う。将来大物になる人というのは、そういうオーラがあるのかもしれない。


 自分は神。本当のところ、空音の話す彼女の身分は信じるのが難しいけど、そんな思考を表に出したらまた空音を涙目にしてしまいそうなので、俺は頑張って彼女の言葉を信じているフリをした。


「ここは俺の家。もうすぐ父さんと母さんも帰ってくる。二人とも仕事だから、普段の夕食は俺と碧音あおとが交互に作るようにしてるんだ。碧音ってのは俺の弟なんだけど、アイツは別の高校だから帰宅時間がいつもズレる。そろそろ帰ってくると思うけど。あ、これ着てくれる?目のやり場に困るから」

「ほう。面倒だが、世話になる以上仕方ないな」


 空音の露出度を下げるべく適当な服を貸すと、俺はさっそく冷蔵庫を開けた。


 ……またか。俺の苦手分野を見抜いた食材のチョイス。これは昨日、碧音が買ってきたんだろうな……。


「弟の碧音とやらは別の高校に通っておるのか。ふむ……。それは分かったが、おぬしは高校生になったばかりだと言ったな。もしや留年経験者かえ?」


 なんだそのあわれんだ顔は!必要以上にヘコむわ!


「中にはそういう人もいるかもしれないけど、俺はいたって普通の流れで入学した身だ!弟は同い年。俺逹双子なんだ」

「ほう!美少年の双子男子か。想像するとなかなか絵になるのう」


 空音の萌えポイントを刺激してしまったのか、自称神はニヤッと怪しい笑みを浮かべて俺を見る。この子、本当に記憶喪失なのか?疑わしい……。


「なんじゃ、猜疑心さいぎしんに満ちたその視線は」

「いや、なんていうか……。空音ってさ、神だった時の記憶やその能力を失ってるって設定だよね?そのわりに、好みや性格がハッキリしてるというか…」

「設定という言い回しがやや気になるがまあいい。おぬしが違和感を覚えるのも仕方ないだろう。わらわだって、自分の現状には首を傾げてしまうのだからな。以前の自分なのに、記憶を失っているから実感が伴わないのじゃ」

「大切な記憶は失っても、記憶を失う前の性格や思考は変わらないってこと?」

「そういうことじゃ」


 「ところで」と、俺は質問を重ねた。空音から目をそらして。


「どうして公園にいたの?しかもあんな格好で……。ギャラリーの言ってた通り男を物色してたわけではないんだろ?」

「さあて、わらわにもそれは分からぬよ。気が付いたらあそこにいたとしか……」


 ふわあっと気の抜けたあくびをし、空音は伸びをする。


「わらわは極めて腹ペコじゃ。悪いが、なるべく早く何か食べさせてほしい。でないと、話もまともにできぬ」

「分かったよ。お腹が減っては何とやら、だしね」


 冷蔵庫の中にある豚肉や野菜を適当に切りフライパンで炒め、俺はサクッと焼きそばを作った。ついでに、賞味期限間近のちくわも輪切りにして混ぜといた。ソース付きの麺を使ったので簡単だし早く仕上がる。俺は、碧音みたいに料理に凝らない方だし……。


「おお!うまそうないい香りじゃ!食べても良いか?」

「うん、冷めないうちにどうぞ」


 俺の低意欲とは裏腹に、空音は焼きそばを見るなりこれでもかと言うほど目を輝かせる。よほど腹が減っていたんだな。


 父さん達の分の盛り付けを済ませ、俺も空音の向かいで自分の焼きそばを口にする。いつもと変わらない無難な味。


 主婦をはじめ一人暮らしの男性にも定評のあるお手軽焼きそば。市販品だから一定水準はクリアしているのでまずくはないが、特別おいしくもない。そのはずなのに、今日この瞬間に食べた焼きそばはここ最近自分が作った物の中でいちばんおいしいと感じた。


「うまいぞ!わらわは今モーレツに感動しておる!」

「そんな……。いつもと作り方一緒なのに」

「心を込めて作ってくれたからじゃないのか?」


 心を?ポカンとする俺に目もくれず、空音は焼きそばに夢中だ。


「地上にはこんなに美味な食べ物があるのじゃな!人間はすごいなぁ」

「おおげさだよ、空音。こんなの、どこにでも売ってる大量生産の麺だし、ダシ入れるといいみたいだけど俺はそんな凝った味付けもしないし。プロの料理人が作った焼きそばには絶対負ける」

「そうか?プロのことはよく分からんが、わらわはこれが好きだぞ。特に、中に入っているこれ!歯ごたえがあるのに柔らかく、それでいて、むほどに奥深い旨味を感じる!」

「それはちくわだよ。空音はそういうのが好きなんだ?」

「そうじゃの、わらわは明日もこれを食べたいぞ!」

「さすがに毎日はちょっと……。栄養偏るんじゃないかな」


 そこまで喜んでくれるなら、不器用なりにもっと手の込んだ物を作ってあげれば良かったな。完全手抜き料理をもてなしてしまったことをちょっと後悔する。


「まだ少し残ってるけど、おかわり食べる?」

「もちろんじゃ!ありがたくいただくぞっ」


 満面の笑みでおかわりを受け取る空音はとても可愛く、いやされる。ずっと眺めていたいくらいだ。



慈輝いつき、ありがとう。これで当分は身が持ちそうじゃ」

「こんなんでいいなら、また作るよ」


 焼きそばを食べ終え満足した空音は、少し真面目な目つきになった。


「おぬしの作ってくれた食事を口にした瞬間、わらわは思い出したんじゃ」

「もしかして、失った記憶のこと?」

「そうじゃ。わらわはな、人を探すために、天界から地上に降りてきたのじゃ」


 天界から降りてきた、かーー。空音の話にはアレコレ疑問を感じてしまうが、つっこまない方がいいよな。


「空音の探してるのってどんな人なの?何か手がかりはない?その人の特徴とか性別、だいたいの年齢も分かるといいかも!」

「うーん……。残念ながらそこまでは思い出せん。すまんの。ただ……」


 空音は珍しく腕組みをし、難しい顔をする。


「とても重要な人物だったことは覚えておる。わらわはその者にどうしても会わなくてはならない。それだけは分かる…!」


 じつに曖昧あいまいな答えだった。その人に会いたいという熱意は伝わってくるが、肝心な特徴が全く分からないので俺では何も協力できない。


 ん?待てよ?俺には無理だけど、あの人なら……!


「見つけられるかどうか分からないけど、空音の人探しに協力してくれそうな人なら心当たりがあるよ!」


 食器の片付けもそこそこに、俺は空音を自室に案内した。一階のダイニングを出て、二階に駆け上る。


「階段など、自分の足で上ったのは初めてじゃ……。しんどいぞ……。神の力があればこんな労力使わずにすむのに」

「ごめんよ。あいにく我が家はエレベーターなんてハイテクな物は設置してないから、我慢して上ってな」


 数段しか上がってないのにグッタリした顔で立ち止まる空音。見た目はチャキチャキ動き回りそうな中学生女子なのに、中身は完全におばあちゃんだ。


 神というのも、あながちウソではないのか?実年齢は何億歳とかなのかも。俺は空音の自己紹介を少しだけ信じる気になった。



 空音の手を引き、なんとか自室にたどり着く。こんなに時間をかけて階段を上ったのは初めてだ。


「人探しに詳しそうな人に心当たりがあるんだ」


 毎日のように愛用しているパソコン。電源を入れ、いつもログインしている交流用のSNSサイトに接続した。


 俺がパソコンに向かい合うと、空音も横でかがみ同じように画面を覗き込む。サラリと揺れた長い銀髪から甘い香りがして、俺は不覚にもドキッとしてしまった。


 さっきまで年配感全開だったクセに、こんな風に突然女子力を漂わされるとどうしたらいいか分からないっ(本人はそんな気一切ないんだろうけど)!


「ほら、ここ。いつも、この人と色んな話をしてるんだ。話って言っても、直接会うわけじゃなく、サイト上でチャットするだけの関係なんだけどね」


 ドキドキしてることに気付かれないよう、俺は何でもない顔でマウスやキーボードを操作した。ポーカーフェイスって意識してやるとけっこう疲れるな。


「ほう。この者が慈輝のチャット友達とやらか」


 空音は前のめりの姿勢でパソコン画面を見つめる。



 心許せる友達なんて俺にはいなかったけど、この人だけは違った。ハンドルネーム・メイ。女性みたいな名前だがプロフィールには男性とある。しかもタメ。今年で16歳になる人だ。


 顔も、本名も分からない。分かるのは、プロフィールとハンドルネーム、そして、ユーザーが好きに設定出来るデフォルトのアバターだけ。しょせんネットだから、プロフィールも全てデタラメかもしれない。でも、それでもいい。


 俺は、最初からメイさんに親近感を持ったし、チャットをするたび好感を持った。


 メイさんとのやり取りを楽しみ、時に励まされ、リアルでも相談出来ないようなことを聞いてもらっているうちに、SNSサイトでのチャットは俺の毎晩の習慣となった。


 寝る前には必ずメイさんと話している。どんなに忙しい日でも、おはようとおやすみの挨拶はお互いに欠かさない。


 うぬぼれかもしれないけど、メイさんも同じように俺を好きでいてくれている。そんな気持ちもあって、もしかしたらこの人なら空音の話も真剣に受け止めてくれるのではないかと思った。


「メイさんって人なんだけど、その人の家は探偵をしてるらしいから、もしかしたら空音の話を聞いてくれるかもしれない」

「そうか……。それはありがたい話だな」


 前向きなそのセリフとは逆に、空音はあまり気乗りしない面持ちだった。


「しかし、わらわは、自分が信じた者以外に正体を話さぬ。いや、話したらいけない。そんな気がするのじゃ」

「俺にはあんなにアッサリ神だと名乗ったのに?」

「おぬしは悪い人間ではないと、わらわの直感が教えてくれたからじゃ。初めて手を引いてくれたおぬしに、運命的なものを感じた」


 まただ。静かな口調に反しこっちの心全部持っていくみたいな瞳。


「運命的なんて、おおげさな。あんな状況の中においとけなかったから、あれは流れで……」

「分かっておるよ。ただなぁ、やはり、わらわはむやみやたらに他人を頼ったりはせぬ」

「そっか……。空音がそう言うなら無理は言えないよな」


 空音が警戒するのも分かる(あんなダイタンな格好で公園のベンチに立っていたことについては、この際つっこまないでおこう……)。


 でも、俺は、空音のことをいい加減に考えてメイさんを紹介しようとしたわけではない。


「空音の言ってることも分かる。メイさんに正体を明かすかどうかは今後の様子を見て考えよう。一度、メイさんに空音のこと相談したらダメ?」

「おぬしはずいぶん、そのメイとやらを信用しておるのだな」

「うん。メイさんは、3年以上も俺なんかと友達でいてくれた貴重な人だから……」



 小6最後の卒業式の日、俺は初恋の女子ゆずきちゃんに告白した。ゆずきちゃんはクラスでも目立たないタイプの子。時々友達と話しながら笑っている彼女の顔を見ると1日幸せな気分になる、そんな相手だった。


 付き合いたいだなんて考えは一切なくて、当時はただ、純粋に彼女への想いを伝えたいだけだった。


 中学生になったら、私服の小学生とは違い制服を着て学校に通わなきゃならない。そんな目に見える変化を想像したせいか、俺は、卒業と同時にゆずきちゃんに告白しなきゃならない!と、無性に焦っていた。


 毎日当たり前のように見れるゆずきちゃんの顔も、中学生になったら見る機会が減ってどんどん離れ離れになる。物理的にも、心理的にも。


「ゆずきちゃんのこと、ずっと好きでした…!」


 この想いは届かなくてもいい。ただ、こんな男がいたってことを記憶の片隅に残してくれたらそれで……。そんなはかなく淡い想いは、ゆずきちゃんのリアルな反応で粉々に砕けることとなる。


「……ごめんね」


 気持ち悪い虫が腕にくっついた時のように心底嫌そうな顔をし、ゆずきちゃんは謝ってきた。


「慈輝君って軽そうで苦手だなってずっと思ってたから、好かれても全然嬉しくない。私のことは忘れてくれる?」


 その後、俺は何と言ってゆずきちゃんの元を去ったのだろう?全く覚えてない。


 ショックという表現ではとても足りない、人生にこれほどつらいことがあるのかと自分の体験を疑った。ゆずきちゃんのセリフ全部、夢だったらいいのに……。


 好かれても嬉しくない、か。それはそうかもしれない。ゆずきちゃんにも好きな男子がいたのかもしれない。俺なんて眼中になかっただろう。それは仕方ない。


 理解はできても、心がついていかないとはこのことだった。


 ゆずきちゃんにフラれて自己否定の意識が膨らんだ俺は、すがるようにネットの世界に飛び込んだ。時々触るだけだったパソコンの電源をつけ、必死にこのショックを消そうともがく。


《好きな子にフラれた。死にたい。》


 悩み相談系の掲示板に感情任せに打ち込んだ文章。いや、文章なんて言えないただの殴り書き。感情の掃き溜め。一方的に投げつけたマイナス思考。


 いくら悩み相談を受けるための掲示板とはいえ、見知らぬ人がそんな言葉に反応なんてするわけない。そう思っていたから、俺のそんなコメントに返信がきた時は驚いた。


《命は生きるためにある。甘ったれていい。ダメな人間のままでいい。泣いてウジウジしてもいい。だから、とりあえず今は生きろ。人間、放っておけばいつかは死ぬ。》


 メイさんからもらった最初のメッセージが、それだった。


 本気で死にたかったわけじゃない。ただ、この苦しみや悲しみを同じ重さで誰かに受け止めてほしかっただけ。メイさんは、弱虫な俺の願いをたった数行の文章で叶えてしまった。


 ゆずきちゃんに振られて、自暴自棄になりそうだった俺の心を救ってくれた。分かってくれた。


 その時もらったメッセージはスクリーンショットで保存し、辛い時に何度も読み返している。


 ゆずきちゃんの言っていた通り、俺は学校中から軽い男だというイメージを持たれていたらしい。それをハッキリ知ったのは中学時代のことだった。


 俺にはそんな気なく、軽い男と悪評が流れるようなことをした覚えもない。むしろ、恋愛事に関しては気移りしにくい方だと自分では思う。実際、小学校時代の6年間、心の中はゆずきちゃん一色だった。


「慈輝、楽しそうだな」

「えっ?」

「メイの話をするおぬしの目は、いつにも増して輝きを増しておる」


 見透かすような空音の視線がつやっぽく、俺の胸は派手に音を立ててしまう。


「メイさんは命の恩人だからなっ、別に、恋愛感情とかそんなのは一切!ないからな」

「ほう?わらわはそこまで詮索するつもりはないが、おぬしがウソをついていることだけは分かるぞ」

「なっ、ウソなんて別にっ!」

「『素敵な恋愛に出会うために』。このウェブサイトはおぬしのお気に入りらしいが?」

「なっ……!?」


 空音はいつの間にか、閲覧履歴を表示させている。パソコンの使い方、教えてないのに!


「こらっ!勝手に人のパソコンいじるなっ!今はメイさんとコンタクトを取るために開いてるんだからな?」

「……おぬしがメイなる人間をわらわに会わせたい旨は理解した。が、わらわはいまいちその人物を信用できぬ。なにせ会ったことのない相手だからな、悪く思わないでくれ」

「それもそうだよな。どうしたらメイさんに相談することを許してくれる?」

「……教えてくれ。おぬしがメイに相談したこととは何だったのじゃ?それをキッカケにメイへの信頼を深めたのだろう?そのエピソードを聞けば、わらわも気が変わるかもしれん」


 メイさんと親しくなるに至った経緯。俺が悩んでいたこと。実際には現在進行形の悩みで、俺の中にいくつもの汚い感情を生み出した根源でもある。


 こうして話すのは勇気が必要なことだった。でも、これが空音の人探しの役に立つなら……。どっちみち、空音をこのままにしておくわけにはいかないしな。


「分かった。話すよ。俺がメイさんに相談したのは、自分自身のことについてなんだ」



 俺に慈輝という名前を与えてくれた母方の祖父……。父方の祖父もいい人だったし俺のことを可愛がってくれたけど、俺はどちらかというと母方の祖父になつき、その人の生き方から多くの影響を受けたと思う。


 幼い頃から「おじいちゃん」と呼び、昔は母方の祖父の後をよくついて回っていた。


 おじいちゃんは、一言で言うと心優しい人だった。身内はもちろん、通りすがりの他人が困っているところへもためらわず声をかける、そんな人。


 ありがた迷惑なことは決してしない。相手の求めていることやしてほしいことを瞬時に見抜き適切な手助けをする、おじいちゃんのはそんな親切だった。おじいちゃんは友達も多く、生前はたくさんの人との交流を楽しんでいた。


 ある日、俺はおじいちゃんに尋ねてみたことがある。


「俺もいつかおじいちゃんみたいになれるかな?」

「そうだな。他人に優しく自分にも優しく生きることができたなら、慈輝の人生はきっと幸せなものになる」


 おじいちゃんの生き方を尊敬していた俺は、小学校時代には、無意識に人を助ける性格になっていた。困っている人には声をかけるし、必要なら手を貸す。老若男女問わずに。


 それが悪い方向にばかり働いたのは、皮肉としか言いようがなかった。


 俺にとっては普通のことでも、他の人にとって、俺の言動はおかしいことだったらしい。女子には恋愛感情があると誤解され、男子からは女たらしと言われてしまう始末。


 小〜中学校時代、俺は何人かの女子から告白された。交際を申し込まれたこともある。他校の生徒に校門で待ち伏せされたことも何度かあった。


「慈輝君のこと、好きです」

「ありがとう。でも俺は……」


 ゆずきちゃんに告白する前も振られた後も、他の子に興味が向かなかった俺は、女の子達の告白を断り続けた。すると、


「気を持たせるようなことしといて、それ?何様のつもり?慈輝君ひどい!」


 好感度は下がり、一気に嫌われる。こっちは何もしていないのに……。ただ、自分らしく生きていただけなのに。


 ゆずきちゃんに軽い人扱いされた理由を察すると同時に、俺は男子からひどく敵意を向けられていることにも気付いた。


「アイツといると俺がけなされる……」

「彼女にフラれたー!慈輝にたぶらかされたんだと!」


 俺はどこにいても一人だった。表面的に仲良くしてくれる人すらいない。


 人生でもっとも若く一番のびのびできるはずの青春時代。その大半は、俺にとって灰色の世界でしかなかった。早く大人になりたいと思った。


「メイさんは、何かあるたび弱気になる俺のグチや悩みを自分のことのように真剣に聞いてくれたんだ。3年間も」

「そうか……」


 話し終えた俺を見て、空音は思案する。


 実は、メイさんに出会う前も、チャット友達は何人かいた。でも、どの人とも長続きすることはなく浅い関わりだったから、やり取りの回数はじょじょに減り、どの人とも自然に関わりがなくなっていった。


 最初はメイさんともそうなるだろうなと思っていた。そうなっても仕方ないかなぁ、ネット世界だし。皆それぞれに自分の場所なり役割があって、ネットはその一部でしかないことを分かっていたから。


 実際今も、俺にとってネットは世界の全てみたいになってるけど、世の中の全員がそうだとは思ってない。



 決して話し上手ではない俺などの語りでメイさんの良さが伝えられたのかな……。自信はないけど、空音は前向きにメイさんのことを考えてくれたようだ。


「わかった。慈輝がそこまで言うのなら、そのメイとやらに一度相談してみてもらえるかの?」

「いいの!?」

「他にアテもないしな。もっとも大事な記憶もこの通りじゃし、慈輝が取り持ってくれるのなら、それに甘えるまでじゃ」

「わかった!じゃあ、さっそくメイさんにメールしてみる!」


 よかった!空音は、俺の話を信じてくれたんだ!


 メイさんとは、SNS専用のメールをやり取りしている。これは、特に親しい間柄でしか使われないツールだ。人に見られたくないメッセージを送る時にとても便利(サイトの管理者には見られちゃってるんだろうけど、他のユーザーに公開されるわけじゃないから気にしない)。



「さて、何て送ろうかな……?」


 パソコンに向かいメイさんへのメール内容を考えていると、部屋にノックの音が響いた。父さんか母さんだろうか?にしても、わざわざ俺の部屋にまで来るなんて珍しいな。


「はいはーい。夜飯なら作って下に置いてあるよ〜。俺はもう食べたから」

「……慈輝。俺だけど」


 ノックしたのは、弟の碧音だった。俺は思わず立ち上がり、身をこわばらせてしまう。


「何の用?」

「父さんと母さんが呼んでる。お客さん連れてきてるなら紹介しろって」


 そっか……。夕食の時、空音と俺、二人分の皿を使ったからバレたんだ!


 連れてきた時、空音は裸足で靴を履いてなかったので父さん達にはバレないと思っていたけど、甘かったか。


「わかった。すぐ行くよ」


 女の子のお客さんが来たって知ったら、父さんと母さん、どんな反応するだろ。空音を泊めたいって言ったらやっぱり反対されるかな?昔よく、おじいちゃんが泊まりに来てくれたから客室や備品は充分整ってるはずだけど……。


 今夜空音を泊まらせるには、親に何と話せばいい?考え込む俺を尻目に、空音はなめらかな動きでドアを開け、碧音に向き合った。


「慈輝と同じ声、同じ顔。背丈もほぼ同じ。双子というのは本当だったんじゃな」

「……この子がお客さん?慈輝の彼女?」


 碧音が驚いたように目を丸くするのを見て、俺は何とも言えない気持ちになった。中学卒業まで嫌われ者だった俺に彼女なんて出来るわけないだろ!?嫌味か?


「そんなんじゃない。ワケあってしばらくここにいてもらいたいだけ」


 そっけなく答え碧音の脇を通り過ぎると、俺は空音を呼び階下のリビングに向かった。


「おぬしら、仲が悪いのか?」

「別に……。男兄弟なんてこんなもんだろ」

「ふむ。そうか……」


 空音はそれ以上何も言わなかったが、俺の返答に納得していなさそうだった。俺はそれに気付かないフリをする。


 碧音と俺は一卵性の双子だ。見た目はもちろん、両親も、育った環境も、全く同じ。それなのに、生まれた時から何かが違う。


 しょっちゅう人に嫌われる俺。碧音はその真逆を行く順風満帆じゅんぷうまんぱんっぷり。スポーツ万能、成績優秀。友達の多い人気者。中学時代には生徒会長も務めたし、県内屈指の進学校に合格し、そこで早くも友達を作って充実した毎日を送っているみたいだ。時々部屋に高校の友達を連れてくるから、嫌でも碧音の学校生活を感じてしまう。


 おかしいよな。同じような暮らしをしてきたはずなのに、碧音と俺の間には天地のような差ができ、月とスッポン並みに違う扱いを人から受けている。


 劣等感。いつからだろう、碧音に対しそんな感情を覚えるようになった俺は、次第に碧音と距離を置くようになった。


 昔は仲のいい双子の兄弟として、近所でも有名だった俺達。今は、他人のように…ううん、他人以上に口を利かない。今日こうして俺の部屋に碧音が来たことに驚いたのも、そのせい。きっと、俺達兄弟のよそよそしさに気付いた父さん達が、わざと俺の部屋に碧音を来させたんだろう。


 碧音もそのうち、俺が避けていることに気付き、話しかけてこなくなった。だから、部屋に俺を呼びに来た時、その人のよさそうな穏やかな顔の下に不安を覗かせていた……気がする。


 それでも碧音は、俺のことをさりげなくフォローしているフシがある。冷蔵庫の中身など、いい例だ。不器用な俺の作れそうな物を、碧音は前日に買い置きする。たまに、俺の好物を入れておいたりもする。


 そのたび俺は腹が立った。


 碧音は、俺をバカにしている。自分より下にいる兄貴に情けをかけることで、自分が安心したいんだ。「俺はコイツよりマシだ」「双子だけどこんな風にならなくて良かった」って。「完璧な弟を持って、お前は可哀想だね」そう言いたいんだろう。



 空音を連れてリビングに向かった俺を、父さんと母さんは笑顔で出迎えた。


「慈輝もとうとう女の子を部屋に連れ込む年頃になったかぁ!父さんも若かりし日を思い出すなぁ〜!」

「ちょっとあなた!美化された過去に酔いしれるのは勝手にすればと思うけど、どう見てもこの子は慈輝より年下よ!?親御おやごさん、絶対心配してみえるわよ!」

「母さん、過去に浸る俺にちょっとは妬いてくれてもいいんじゃないか?」


 ガックリ肩を落とす父さんと、現実的なことを口にする母さん。後から下に降りてきた碧音も、さっき俺が作った焼きそばを口にしながら黙って父さん達のやり取りを聞いている。


「あのさ母さん!そのことなんだけど」


 手のひらの動きで空音を示し、俺は言った。


「彼女の名前は神山空音っていうんだ。俺も今日知り合ったばかりなんだけど、ちょっと事情があってウチに呼んだ。俺のイトコってことにして、空音をしばらくここに住まわせてあげてほしい。他に行くとこもないしさ……」


 公園で空音を連れ出す時とっさに出たウソを、ここでも持ち出した。しかし、そんな付け焼き刃的な言葉は、母さんを難しい顔にさせるだけだった。


「イトコだなんて無理があるわよ。それに、彼女まだ未成年じゃない。何かあった時に責任取れないわよ。悪いけど、ウチでは預かれない。警察で保護してもらいましょう?」

「慈輝の母上よ。その心配はいらぬ」


 スッと前に出て、空音は母さんを見つめた。


「わらわは人探しのためこの地へやって来た。親も、住む家もない。だが、ここで厄介やっかいになる以上、わらわの力をもってあらゆる厄災からおぬしらを守ると約束しよう」

「人探し?守る……?あなた、何を言ってるの?」


 困惑する母さん。無理もない。一般的人類として生きてきた人にそんな話をしても、サッパリだろう。


 常識人の母さんを説得するのは困難だ。こうなったら、ガードのユルい父さんから攻めるべきか?俺が考えを巡らせていると、空音はジッと母さんを見つめた。


「頼む。わらわのためにしばしこの地に留まることを許してくれぬか」


 空音がつぶやくと同時に、父さんと母さんの目が青くきらめいた。それは一瞬のことで、まばたきしたら見逃してしまっていたと思う。


「今のは……?」


 碧音も変に思ったらしい。食事の手を止め席を立つと、空音と父さんを交互に見た。


「あのさ、慈輝……」


 言いかけた碧音の言葉をさえぎって、父さんと母さんはニッコリ笑った。


「いいんじゃないの?ウチでよければ、いつまでもここにいなさい。男ばかりの家だから不便な思いさせるかもしれないけど」

「母さんがそう言うならいいんじゃないか。まあ、父さんは初めから反対するつもりはなかったけどな!」

「あなたはホント、昔から子供のすることには甘いものね」

「母さんが厳しいから俺だけは甘やかしてあげないと、ひねくれちゃうだろ?」

「そんな単純な子育てがありますか!」


 いつもの会話だ。母さんがムキになり、父さんが軽く受け流す。


「ありがとう!父さん、母さん!」


 何はともあれ、空音の居候いそうろうを許してもらえて良かった!


「さっそく空音ちゃんの服や寝具を買いましょう!いつまでも慈輝の物使わせるなんてかわいそうだし」

「それなら俺も行く!女の子の物買うの、ひそかに夢だったんだよな〜」

「ウチは二人とも男の子だものね。ま、男でも女でも自分の子が可愛いってことはたしかなんだけどっ!」


 空音の私物について楽しげに話す父さんと母さんを見ながら、俺は小声で空音に尋ねた。


「さっき、父さん達に何したの?」

「あやつらの中に元々ある親切心をあらわにする魔法を使った。眼力に乗せて飛ばすタイプの力じゃ」

「え!?でも、神の力って今は使えないんじゃ……」


 そもそも、彼女が神だなんてあり得ないと、俺は内心決めつけていた。


「わらわもそう思っておったが、記憶同様、神としての力も何らかのはずみで取り戻せるようじゃ。とはいえ、本来わらわの持つ力はこの程度ではないし、どんな原理で記憶や力が戻るのかは定かではないがの……」


 空音自身、力が戻ったことに納得いかないらしく、「どうせ戻るなら元通り完全な形で戻ればよいものを、こんなハンパに……」とボヤいている。


 それまで空音をただの女の子と思っていた俺は、その時初めて、空音の身の上話をまともに信じたのだった。それを確信にするため、俺はこんな頼み事をしてみた。


「ねえ、空音。俺にも、父さん達にかけたのと同じ魔法をかけてくれない?」

「眼力でか?それはかまわんが、どうなっても知らんぞ」

「へっ!?」


 言ってるそばから、空音はじいっと俺の目を見つめた。固く閉ざされたフタが開き、心の内側から濃い感情が溢れてくる。


「っ……!」

「どうじゃ?理性や建前で封印している本当の感情が、おぬしの中に溢れてきたのではないか?」


 空音の魔法は想像以上に強力で、俺は戸惑った。小さく両手が震える。


 むしょうに、今、恋がしたい!!


 元々そういう気持ちはあったし、だからこそ『素敵な恋に出会うために』なるサイトにアクセスしそこから情報を得ようとしていたんだけど、それまでの比ではないくらい、激しい恋愛欲求が俺の意識を支配した。


 空音は、そんな俺の顔を得意げに覗き込む。


「驚くことはない。それはおぬしの中に元々あった感情じゃ。おぬしの父上と母上も同様。あやつら口ではああ言っていたが、弱い者を保護したい欲求が強い人間らしい。わらわの使った魔法はそれを本人に自覚させるだけのもの。自分にとって都合のいいように人間を操ったわけではないから、そこは誤解せぬように。よいな?」

「うん、それは大丈夫!」

「記憶が戻るまで、わらわのこと、よろしく頼む」

「うん!俺にできることなら、何でもする!」


 空音に元気な返事をしたのは、自分の中身に対する動揺を隠したかったから。


 幸せな恋がしたい。彼女がほしい。もっと欲を言えば、自然体で付き合える友達もほしい。



 空音の居候が決まったことで、俺はその日いつもより長く家族と話していた。


「空音ちゃんにも色々あるんだろうし私達もアレコレく気はないけど、困ったことがあれば何でも言いなさいよ?居候と思わないで、今は家族なんだから」

「慈輝の母上、ありがとう。この恩は必ずや返すゆえ」

「いいのよ、そんなこと気にしなくて!空音ちゃん、もっと食べなさいな」


 俺の作った物だけでは足りないと思った母さんは、冷蔵庫の中から食材を取り出し色んな料理を作った。


「ところで、二人は本当に今日知り合ったばかりなのか?そのわりに仲良く見えるからなぁ。慈輝、空音ちゃんの居候をいいことに夜這よばいなんかするなよ〜?」


 鈍そうに見えて妙なところで鋭い父さん。そしてデリカシーに欠けている。俺は声がひっくり返るのをギリギリで我慢し、軽く反発した。


「そんなことするか!俺らだけならともかく、空音の前でそういうこと言わないでくれる??」


 実年齢不明とはいえ、見た目十代前半の女の子の前でそんなこと言われたら、俺は立つ瀬がない。これでもしっかり男のプライドは持っちゃってるからな。はぁ……。


「悪い悪い!でも、そんな怒ると、俺譲りのナイスガイが台無しだぞ〜?」

「『ナイスガイ』っていつの時代の言葉だよ。しかも自分でそういうこと言うってどうなの。ったく……。いちいちツッコむのも疲れる」

「そりゃもう、日替わりで女の子にデート申し込まれるくらいイケイケだったんだぞ〜!」


 碧音との仲がギクシャクしてから、親ともじっくり話すことが減っていた。仲は悪くないけど、ここまで会話が弾んだのも久しぶり。そのことが、何だか不思議だった。


 普段明るくソツのない対応で人を惹きつける碧音は、この時ばかりは静かで、それが、空音の居候を拒否している風にも見えたけど、それは俺の気のせいだったようだ。


「よろしくね。空音ちゃん」

「碧音、こちらこそよろしく頼む」


 碧音は人好きのする笑みを浮かべ空音に握手を求める。空音はそれに快く応えていたが、俺は内心いい気がしなかった。碧音の手なんて触ってほしくない、そう思ってしまって……。



 碧音と空音が握手するところを見ていたら、なぜかおじいちゃんの死に際のことを思い出した。


 心身共に健康で快活で、死とは無縁に思えたおじいちゃんも、俺が小学5年の時、老衰ろうすいで亡くなった。その時、おじいちゃんの友人をはじめ、俺は泣いた。たくさん泣いた。


「おじいちゃん、死んじゃヤダよ!もっと一緒にいたいよ!!」

「……慈輝。兄弟と親友は大切にするんだぞ」

「……え」


 親しい友達のいなかった俺は反応に困った。


 友達がいない俺はどうしたらいいの?碧音には友達いっぱいいるから俺なんかいなくても平気そうだよ。


 喉元まで出かかったそれらの言葉を必死に飲み込む。


 俺の心情を知ってか知らずか、おじいちゃんは最期に俺の手をしっかりにぎり、こう言った。


「恋や親ももちろん大事だし、人生を豊かにしてくれる。ただ、困った時にもっとも支えとなり理解し合えるのは同性の親友と兄弟なんだ。慈輝も大人になればきっと分かる。たくさんじゃなくていい。たった一人、そういう友達が現れたら、生涯付き合うような心持ちで大切にしなさい」

「おじいちゃん……?」


 これまで見たこともないくらい、おじいちゃんは思いつめた顔をした。


「ワシは昔、つまらんことで大事な親友と口げんかし、そのまま別れてしまった。彼は若いうちに事故で亡くなったんだが、最期はワシの名前をつぶやいて息を引き取ったそうだ。誰かに優しくしても、助かったと感謝されても、親友を1人でかせてしまったことの後悔は今も消えない」


 長年のうれいを語ることで安心したのか、おじいちゃんは安らかな顔で事切れた。



 ーーそこまで強く想える親友が、俺なんかに出来るのだろうか?


 高校生になり、本当の性格を隠すようになってからはクラスで一緒に行動する友達が出来たけど、それがおじいちゃんの言っていた親友なのかどうか、ビミョウなところだ。


 もうすぐゴールデンウイークだけど、遊びに誘われたりとかもしてないし。


 碧音とも、今さら仲良くなんてできる気がしない。ネットでメイさんと親しくなる、それにつられるように碧音との距離は開いた。


 昔は俺に甘え何かと話しかけてきた碧音も、パソコンに向き合いチャットに集中する俺に、だんだん何も言わなくなった。




 空音を住まわせる許可をもらった俺は、その後メイさんにメールをした。



「メイさんから返事来てる!」


 翌朝、学校に行く前にパソコンを確認すると、メイさんから昨夜の返事が来ていた。


《僕でよければ話聞くし、ウチの探偵事務所の情報もこっそり見せてあげるよ。ただし、他の人には内緒だよ。信用問題になるから。》


 しかも、好感触な返答!希望が見えてきた!なんて優しい人なんだろう!!メイさんの協力があれば、空音の探し人もすんなり見つかるかもしれない。


 メイさんのメールには続きがあった。


《ただ、ひとつ条件がある。いや、ふたつあるかな。》


 そうだよな。いくら自分ちとはいえ、探偵事務所の情報まで流してくれるんだもんな。俺の貯金で足りればいいけど……。


 お年玉貯金の通帳を片手に、俺は緊張しながらメールの先を読んだ。


《条件1。空音さんに直接会って話を聞きたい。その際には君にもそばにいてほしい。空音さんの事情を知る人に間に立ってもらった方が何かとスムーズだから。幸い、プロフィールを見る限り僕達は近くに住んでいる。調査情報を渡す時も、郵送より直接渡した方が早いと思う。質問もすぐに受け付けられるし、君達にとっても悪い話ではないだろう。》


 少し覚悟はしてたけど、メイさんと直接会わなきゃならないのか。それもそうだよな……。会って嫌われたらって思うとこわいけど、空音のために、ここは頑張るしかないよな。


 でも、何より大切なメイさんだから、やっぱり嫌われるのはこわい。失いたくないから……。直接会わなくてもいい方法がないか、提案してみようかな。身構えながら、次の文章を読む。


《条件2。僕のことを見ても、驚かないでほしい。いや、それは無理かもしれないから驚くなとは言わない。ただ……。僕の素性がどうであれ、僕にとって君は大切な友達だ。直接会ったことはないけれど、その気持ちは会った後も変わらない自信がある。


 ただ……。君の方はどうだろう?そう思うとこわいんだ。君の力になりたいのは本音なのだけれど。》


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