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不思議の国の林檎と梨

さて…またほかの作品放ったらかしてやっちゃいましたてへ☆

いや、ヒロインの座?もちゃんと更新しますよ!?(ネタが思いついたら)

こっちは息抜き程度ですけど…

ま、まあ楽しんでくれたら幸いです!

玄関に置いてあったあのりんご。

それが最初の始まりだった。






ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

ねーちゃん!!!ねーちゃんでてきなよ!いつまで引きこもるつもり!!?ねーちゃん!!!!!!!

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


そんな音が響くこの部屋に。

あたしは、閉じこもっていた。

暗いこの部屋は、あたしの全てだった。

人形、ベッド、机、本棚。

そしてりんご。

そんなものがあたしの全て。

外の世界はあたしの敵だ。

敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ

そう信じてた…



バンッ!!


「もう…ねーちゃん!入るよ!!!!」

「……」


そう言って入ってきたのはあたしの弟、ほの

あたしをどうしても部屋から出したいらしく、毎日懲りずに説得をはじめる。

…無駄なのに……


「ねーちゃん!まだパジャマなの!?」

「何さ……まだ寝たいんだけど……」

「眠いとかそんな問題知らない!!ほら起きて!!!」


あたしは布団を頭までかぶる。それを剥ぐ仄の綺麗な茶色の髪の毛が揺れる。

あぁ…眩しい…


「ねーちゃん!ご飯食べて!!支度する!!!」

「…」

「パジャマ脱げ!!」

「勝手に脱がせばいいよ…」

「…あっそう…じゃあそうするわ」


こんなやりとりももう慣れ始めてしまった。

仄は言った通りにあたしの服を脱がせ始める。

顔はバッチリ赤いが気にしない。だって身内だし、弟だし、あの仄だし…

仄は、ホモらしい。

これまで告白を数え切れないほどされてきた仄だが、全員に

ごめん…好きな人がいるから…

と断ってきている。告白してきたほとんどの女子が仄と仲がいい。なのに断わる=ホモ。

らしい。あたしはそんなことないと思う…だってあのあたしの体で顔赤くするのだから、ちゃんとおんなのこが好きなのだと思う…

ま、どうでもいいんだけど…

そんなことを考えているうちに服を脱がせ終わったらしい。あたしのクローゼットをあさりはじめる仄を見ながら机の上にあるりんごを見つめる。

赤い赤い熟したりんごはつやつやと光る。


「あっ、ねーちゃん!これなんかどう??」


そう言って仄が出してきたのは黒いふりふりとしたミニスカと、黒い七分丈レギンス。袖は黒いがほかは白いフードつきのトップス。

…そんな服は似合わないと思うよ…

そんな言葉を飲み込む。


「ほら、着て!!」


無理やり着せられるその服はあたしのような黒い長い髪の毛には合わないと…


「あと髪の毛、ツインテールにしてみよ!こんなに長いんだから、いじってみよ!」


ははーなすがままにぃー……

仄は言った通りに髪の毛をツインテールにし、さっきの服を着せる。


「うんっ、可愛い!」

「仄の方が可愛いよ…」


それは事実。くりっくりの茶色が入った目、さらさらの同じ色の髪。身長は高いけど可愛い。

そんな子なんだ、仄は。

あたしは黒い長い髪の毛に真っ黒な目。外に出ていないから色白というよりもはや蝋人形。死人。


「まぁねーちゃんのネガティブは今に始まったことじゃないしねっ!!今日は僕の誕生日だよ!?ねーちゃんどっか行こ!」

「あぁ…そういえば今日仄の誕生日だったね……。……仕方ないか…うん、今日はどこか行こう」


できる限りの笑顔で話す。

それを見た仄は目をキラキラさせ、携帯をあたしにずいっと差し出す。それを見ると画面には遊園地と

書かれていた。


「遊園地…行きたいの…?」

「そう!!」

「お友達といっぱいいってたじゃない…」

「違うの!ねーちゃんと行きたいの!!」

「……そっか…じゃあ、遊園地行こう…」


可愛いんだから…


「やったぁ!!じゃあ早速、れっつごー!!」


そう言って仄はあたしの腕を引き、遊園地に向かった。


家から自転車40分、そんなところに遊園地がある。

今そこに向かっているらしい…けど、

なんで周りが木でいっぱいなのかな?

まさか迷ったなんてことは……あるらしい。

あたしの隣にいる仄の顔が真っ青だ。

携帯を見るが圏外。


「どうしよう…」

「……いっかい、ここで待ってよう…?誰か来るかも…」

「そんなわけっっ!!……そうだね、待ってよう…」


二人で仲良く木の下に座る。仄の方に頭を乗せるあたしの髪の毛は、何年ぶりかのツインテール。


「ねーちゃん、やっぱその髪の毛可愛い…」

「うん、ありがとう…でも仄の方が可愛いよ?」

「お、男に可愛いなんて言っちゃダメっ!!」


可愛いなぁ…


空を見上げると、もう夕方。

さっきはまだ2時前だったのに、もうこんな時間か…おなか、減ったなぁ…

あたしは不意に、木の向こうに気配を感じた。

仄も何か感じたようで。

二人で向こうを見ているとがさがざと葉っぱが揺れる。


「なんだろ…うさぎ…?」

「こんな時まで可愛いっ」


それは、ぴょんっと跳ねた。

白いうさぎだった。


「やっぱうさぎだ…こんにちは?こんばんは?」


うさぎはぴょんっとはねる。

仄はあたしの腕を引き、抱き寄せる。


「…お前は、リリアか?」

「…仄……知ってるうさぎなの…?」

「うん…昔ちょっとね…」


昔って、いつの話……

うさぎと仄が、睨み合う。


【そう、リリアだよ】


喋った……うさぎが……

仄は驚きもせずに納得したような顔でうさぎを見つめる。

まず、リリアって誰…?このうさぎ……?

あたしもうさぎをじーっと見つめる。

うさぎはあたしが見ていることに気づき、あたしを見る。舐め回すように、見る。


芽瑠める…】

「っ、なんで…」


うさぎが呟いた名前はあたしの名前。なんでうさぎが知っている?なんでうさぎはここにいる?なんであたし達はここにいる?

…まるで、誘導されているみたい。

いや、誘導されていた。

あたしが外に出ようなんてなかなか言わない…のに…あぁ…でなければ良かった…っ!!


【あ…もう時間だ行かなきゃ…芽瑠、仄、君たちはどうする?僕とくる?】


あたしはそれに、迷った。なんて答えよう。なんて、答えよう。あたしの本能は行きたいと答える。理性は行かない。…どうすればいい…?

あたしは仄を縋るようにみる。

…その時の仄は、無表情だった。


【…そっか。じゃあ僕は、一時間だけ待つよ。その間に考えておいて、仄。】


やっぱり仄とうさぎは知り合いなんだ…あたしだけ知らないんだよね…うさぎのこと、知りたいな…

仄はあたしのほうを見る。あたしのことは見ていない。あたしの方向を向いているだけ。

その顔はやはり、無表情だった。

仄…考え事かな…

うさぎははっと気づいたような表情で、あたしを見る。


【自己紹介が遅れたね?

僕は、白ウサギのハクっていうんだ。

ずっとアリスを探してるんだ…まぁ、そんなのはいないんだけどね…

芽瑠、君の弟、仄とは古くからの付き合いで…なんて言ったら仄がおじいさんのように、聞こえるけど、古くからの付き合いだからね…

芽瑠のことは知ってるよ、あっちからよく見ていた。】


なんのことだろ…後なんでこんないきなりファンタジーなことになったのか…アリス?白ウサギ??

そんなのまるで、不思議の国のアリスみたいじゃない。

白ウサギの目は赤く、林檎を思い出す。

白ウサギはポケットから時計を出すと、あぁ、遅刻だと呟いた。まるで元から用意されていたセリフのように。


【また、明日会おう、仄。芽瑠。】


その言葉を残し、白ウサギのハクは木の向こうに消えていった。

取り残されたのは、あたしと、無表情の仄と、葉っぱをかき分ける音だった。

後半ファンタジーすぎた。

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