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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
99/123

休息

 風塵が大会全体を覆った。

 観客の叫びがこだまする。

 しばらくして、爆風がやみ、あたりは煙で何も見えなくなる。

 突如、フィールド内が闇に閉ざされ何も見えなくなたかと思いきや爆発が起こって防壁を粉砕した衝撃波が起こる騒動。

 これにはさすがの運営委員会もびっくりだったようで翻弄されていた。

 大会運営員会の一時中止の呼びかけ声と観客への配慮する声が聞こえる。

「落ち着いてください! 怪我をした方は直ちにこちらへ避難をしてください!」

 けが人とけが人ではない人を分け、二つの出入り口から徐々に観客を出し誘導していた。

 優たちもしばらくしてから待機室の出入り口から運営委員会の職員が入ってきて誘導を受けた。

 そのまま、選手控え室ホールに集めさせられる。

 無論、相手側チームで唯一残ったリーアもやってくる。

 フィールドが今どうなってるのか異様に気になって優はそわそわとした。

(雪菜、無事でいてくれよ)

 放送用のコールがかかり、全員が緊張の糸を走らせ耳を傾けた。

『覇者決定戦、第2戦において勝利選手の発表をいたします』


 *******


 フィールドの爆風の中で雪菜はわずかに相手の攻撃を受けていた。

 しかし、それはユリアも同様であった。

 互いに互の攻撃が相殺し、その残骸の衝撃波が二人に襲いかかっていたのだ。

 致命的に受けた両者は魔力もほぼ消費し立っていられず膝立ち状態で息切れ気味に呼吸を乱す。

 前方を伺いながら相手の方を向き気づいた。

 この後一歩が勝利の鍵だと――

 勝利の鍵だと分かっていながらユリアは動けなかった。

 足が凍傷し、凍りついたように固定されていた。

 意識は薄れて行く中で雪菜は立ち上がった。

「まけですです‥‥」

 フィールド内に駆けつけてくる人の影。

 それが審判ではないことを両者は気づいて周りを見た。

 すごい損害を被らせてしまった。

「やりすぎた」

 雪菜は罪悪感で渋った表情をしてから職員に声をかけられた。

「雪菜選手、おめでとうございます。さあ、こちらへ」

 その言葉を聞いて雪菜は気が抜けたようなほほ笑みを浮かべ囁いた。

「お兄ちゃんやったよ」


 ******


 優は雪菜の勝利を聞いてからというもの高揚感が満ちたりてる一方でこの後の戦いにおいて世界の命運が左右するというプレッシャーに緊張と恐怖がないまぜとなった感情の波が襲って体が震えていた。

(このあとの試合は引き分けにしなくちゃな。あいては自分らの力量を最強であることを示し暗殺をすることで世界に恐怖を押し付ける策だ。ならば、ひきわけならばその恐怖の植え付けは無理だ。引き分けとすれば対等の存在がいる理由ができ恐怖の植え付けは半減する。なにより、そうなれば壇上に上がるのも自ずと俺らも一緒となるケースが高い)

 などと再度改めて考えを整理した。

 職員がしばらくして戻ってきた様子であなにやら申し訳なさげな顔で告げる。

「すみません。大会全体に損傷がひどく一度防護壁を貼り直す作業に移りますので午後からということでお願い致します。第3戦目の選手の方々にはあらかじめ再度放送でお呼び立ていたしますのでそのこともよろしくお願いいたします」

 結果的には大会まで余裕が出来た。

 時間は11時半。そろそろひるどきだった。

 この試合自体が夕刻まで終了するはずだったが長引くこととなったが優は緊張を研ぎほぐすのによかったと感じた。

 そして、再度アリスにその考えを伝えようとエリスと雪菜がいる病室へ向かったのだった。

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