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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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覇者決定戦  第2戦目 北坂雪菜VSユリア・シャーテルベルグ 後編

 優は絶望を抱き、その光景を見られず思わず目をつぶった。

 これで計画は破綻する。

 優が考えた計画は引き分け。

 両チームが1勝1敗1分けの戦績を作り上げることだった。

 モールス信号で彼女に勝利してくれと通達したのもそのためである。

(くそっ)

 雪菜の負けが確定した今、これでこちらの勝ちが決まった。

 そう思われた時だった。

 会場が大きく湧き上がる歓声を聞いた。

 優はゆっくりとまぶたを開きその光景に唖然とした――


 ****


 腹部を貫かれた雪菜は氷のように砕け散る。

 散らばる氷の破片。

「人形?」

 ユリアは岩壁から抜け出していた。

 勝利を確信し、抜け出してみて見た光景は氷の人形を貫いた岩の槍。

 雪菜の形度ってた氷細工が砕け散る。

 散らばった氷。

 ならば、彼女は一体どこに行ったのかという疑問が頭をかすめる。殺気が背後から感じユリアは防壁をすぐに展開した。

 しかし、間に合わなかった。

 斬撃の吹雪によって吹き飛ばされ地面を転がる。

「うぐぅ‥‥」

 頭上から追い打ちをかけるように刀を振り上げた雪菜の姿。

 身を転がし回避する。

 すぐに飛び起き右手に握り締めた鞭をふるい雪菜に殺到させる。

 鞭の斬撃は刀によって受け流された。

「ちっ! いつから、あの人形仕組んでたのですですか?」

「刀を分解させた時に」

「あのときですですか。冷気に交えて刀を分解させると同時に自らの擬態も生成していたってわけですですか」

「あなたの攻撃は予測不能。だから後の対策を打っておいた。実戦においては当たりまえに考えること」

「なるほど、私がこれを遊びでやってるのに対してあなたは真面目に実戦を考え戦いをしていたということですですか」

 不覚を取ったことをユリアは悔しく思い、魔力を膨大に放出させ自らの体に変調をきたし始めた。

「大会において変化は禁止されておりませませんし本気の本気でその首もらいますますっ!」

 ユリアが自らの影に鞭打ち、影が歪み蠢きなかから黒い人形が出現する。

 ユリアの体も次第に黒のローブを羽織角を生やした妖麗な美女の姿へと変わる。

「ネクロマンシーっ!?」

「よくご存知ですですね。そう、私の正体はネクロマンシー。死者を操りし異形の存在。さぁ、行きなさい死者どもっ!」

 黒い人形の群れが雪菜へ襲い掛かる。

 腕を大きく広げ、異臭放つその腕で捕縛するように雪菜に絡みつく。

 頭部らしき場所がうにょうにょと軟体動物のように蠢き青白く病弱そうで目が充血したまるで死人の顔が現れた。

「だず‥‥げでぇ‥‥」

「ひっ!」

 声が引き攣り刀で人形を切り払う。

 氷結し砕け散る黒の人形たち。

 それは亡霊の群れだ。

「そういうこと。情報だとあなたたち『テロ組織』は仲間の死体を回収してる。それはネクロマンシーであるアナタがいるから」

「ふふっ、それは半分ちがいますます」

「半分?」

「正確には『私たち』です」

 複数人のネクロマンシーの存在。

 ネクロマンシーはそれは貴重な人種であり、亜人の中でも100人程度しかいない種族である。

 なぜ、その程度の人数かといえば過去にネクロマンシーという存在は死者を冒涜する存在だといわれ破滅まで追い込まれた種族であるからだ。

 そんな少数種族がたくさん『オオスズメバチの巣』にいるのか。

(いや、違う。『オオスズメバチの巣』を含む大きなテロ組織全体)

 切り払いながら頭の中でその考えに至る。

 その時、油断を付いて足を取られる。

「きゃっ」

 その場に転倒し体中を押さえつけられる。

「闇に飲まれてくださいさいなっ!」

「そう簡単に飲まれたりしない! 氷結界!」

 雪菜の呼応で刀が共鳴し震え上がり雪菜の体から膨大な氷属性の魔力が噴き出し雪菜を中心として凍結化が進んでいく。

 亡霊たちはたちまち氷づけにされた。

 ユリアは憎たらしくも岩壁の防壁で身をふせいでいた。

「くくっ、あははははっ」

 ユリアが防壁から姿を現すと不気味に笑いだし、鞭を闇に包まし消滅させる。

「どういうつもり?」

「もう、こんなふざけたせめぎあいはやめにしませんせん?」

 ユリアは大仰に手を広げなにかの技の詠唱を始めだした。

 背後で優の声が聞こえるがそれは突然広がった闇の空間が遮断した。

「なにこれっ!?」

 彼女の詠唱の声だけが聞こえる。

 この暗黒世界は彼女の詠唱が生み出し何かの技の序調だと悟る。

 前方のユリアを見れば次第にその魔力は雪菜の所有する全魔力以上の質が感じられるほどまでに。

「これが彼女の力?」

 このまま何かわからない技を放たれれば雪菜は負けるだろうことを感じてすぐに居合の構えに移行する。

「アリスさんから教わったあの技くらいしか対抗できない。やるしかない」

 思いついた秘策。

 その技のために雪菜も目を閉じる。

 足場が凍りつき始め体に氷の鎧のように防壁が成型されていく。

「さぁ、これでショーは終わりにしますますよっ! アビスインザウォール!」

 強烈な地震と魔力の接近を感じたとき雪菜は叫ぶ。

氷桜一閃ひょうおういっせん

 刀を閃光のように素早く一閃に振るった。

 放たれた一閃は猛吹雪の斬撃波。

 氷の礫を含むその斬撃は桜吹雪のように膨大な闇の岩壁――否、岩壁と融合した闇の大球体の波と衝突する。

 闇の空間が猛烈な爆発と地響きを起こした。

 その瞬間――フィールド全域に張り巡らした保護防壁を粉砕した―― 


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