D戦本戦決勝戦試合 第3戦目 開幕
優は試合終了後すぐに救護班に肩をかされる形で医療室に向かうように試合会場の出入り口まで運ばれていく。
その途中、選手の待機室に残る、俺のチームで最後の選手、ウィンナは笑みを浮かべ――近づいた。
「おどろいたぜぇ、あんたってやつはやっぱしそこがしれねぇ。まぁ、おかげで助かったぜぇこれでこっちの作戦もうまくいく」
ウィンナの瞳は明らかに勘づいていた。
こちらがウィンナたちを疑い『オオスズメバチの巣』であろうことを確信してるのに。
認めたような言い方だ。
「お前らの作戦がなんであれ止めてやるさ」
「ケッ! 無理だな」
『続いての試合の方、前へ!』
沈黙の空気と殺気を打ち破るかのように審判の声が続きの3戦目を促した。
「じゃあ、な。俺はぜってぇ負けねぇから観とけよなぁ、治療室のモニターでも」
ウィンナのウザったい言葉を聞き流しながら優はそのまま医療室に運ばれていった。
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すぐに治療室でX線検査や能力変動検査を行われた。
医者は薬膳だった。
「こりゃぁーきひひ、おれちゃってるねぇ」
「どうにかならないか?」
折ていれた腕へ治癒魔法を施されギプスによる固定が行われ腕をぶら下げる形で首に包帯がくくりつけられた。
「体質上君は他者の光魔法をあまり受け付けないからねぇ。どうにか応急処置程度には施したけどといってもそれ以前にぃ骨っていうのはぁ魔法でもどうにもならん傷だからねぇん、きひひ」
「薬膳院長、観客者でけが人が出たそうで見てもらえますか?」
薬膳はナースの一人に呼ばれ椅子から立ち上がった。
そして、最後に「あ、そうそう」と付け足すように口を開く。
「さっき、伊豪に君に能力値結果報告書を送ったらこんな報告がされたよ」
面白おかしく弱に満ちた笑みで告げた。
「それ以上能力を解放し続ければいずれ君は死ぬと言ってたねぇん、きひひ。命知らずだよねぇ君も呪いがまだ感知してないのにあんなに力も使っちゃうんだしねぇ。じゃあ、半日は個人の入院部屋で安静にねぇ」
「呪いってなんの話だ?」
そういいながらナースを連れ、治療室から消え去っていく。
意味のわからない感じだけが残った。
後にその場に残された優はすぐに代役として駆けつけた看護師に入院室に案内され、その場でおとなしくベットに腰を下ろした。
男ということもあって個人の部屋を設けられた。
今日は半日の過ごすようにという言いわたしは悲痛な思いだった。
大会が今日は終わったのだから『掃除屋』として情報操作くらいしたいものだったがそれを許されない。
治療室に運ばれた直後に聞いた話だと相手側のDMに至っては全治2週間のけがらしく、しばらくはベットで過ごすとのこと。
なお、やはり彼女の検査結果には催眠ああんじ能力の痕跡結果が有り、現在アリスたちが調査してる模様だった。
しかし、悪いことをしたという気分にもなる。
でも、これは試合だし、催眠をとく一番の方法は気絶させることだったので荒っぽいやり方ではあったが仕方ないと割り切るしかない。
モニターのチャンネルを手に取り映像を映す。
『さぁ、ここまでで1勝1敗という、同店の両チームです。この試合の勝者が本決勝戦に進めます! さて、どちらが勝つのか! とくに本試合で初登場の選手SDです。彼女も本試合では実力に関する情報は謎の一点です! たいして、ウィンナ選手はここまでの試合を圧勝で勝ち進んでいます! 戦闘スタイルは火属性を生かし手甲と合わせる魔法による破砕のある攻撃です!』
そんな実況の声が流れ出て試合の会場がカメラワークで流れていく。
二人の真剣な顔つき。
それぞれが相手の戦力を確かめてるような目線。
『両者、準備を!』
緊張が場を包むのが映像のを見てもわかる。
緊張に喉を鳴らす。
『始め!』
審判の掛け声で、今までの試合と同様に、審判による掛け声で戦闘の始まりを開始し、両者が踏み込んでいった。
「ウィンナ・グローズ。実力を見せてみろよ」
映像に映ったウィンナの手にはーージャングリングナイフ。
「え」
記憶から蘇るあの襲撃の光景。
その時、心臓が痛み出し優はその場にくずおれすぐにナースコールのボタンに手を伸ばしたが――目が霞だし意識を失うのだった。




