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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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D戦本戦決勝戦試合 第2戦目  龍牙優 VS DM 後編

 煙の中から起き上がり、赤いオーラをまとった男に観客のわめき。

 その当の男である俺にしたらうっとうしい限りだ。


「高々意識を失っていなかっただけで騒がしいっての」


「ムキズ?」


 まるで、機械のように初めて言語らしい言語を一言彼女の口から漏れた。

 その一言に優は思わず失笑を浮かべ上がらない左腕を少しだけ掲げた。


「無傷? 無傷ではねえよ。骨は折れちまって左腕は動かねえしな」


 DMの目線は優の左腕に向けられた。

 だらんと下がるその腕に目を向けて自分が腕一本のみしか持っていけなかったとばかりに悔しい表情を見せた。


「ヨソクフノウ」


「こちらとしては腕一本分は結構な痛手だったんだがそれだけで予測を不能って言うとあんたにとっては切り札だったわけか。残念だったな」


 DMはその言葉を聞いた直後に後ろへ吹っ飛んだ。

 試合場の壁際に体が埋もれ土ぼこりが舞う。

 観客たちも一瞬何が起こったのかといった表情。視界ではとらえきれない攻撃が繰り出されたのだと数秒後に理解を示しざわっと声高らかにわきあがった。


「やっば、こっちの吸血鬼化はちとやりすぎか」


 あまりにも力の加減を学生相手に対するのは難しい。

 とくにこの吸血鬼化は優の本来の力を引き出す。

 しかし、その本来の力で与えるダメージは強大で通常の人ならば一発でノックダウンしてしまう。

 だからこそ、優は本気をこんな試合では出したくなかった。

 今までの流れでも自分の力を半分程度出してそこそこ学生試合で戦って問題なさげだと判断した。

 今までそれで勝ち越しをしてきた。

 しかし、ここにきてそれでは無理だと理解した。

 相手は催眠状態にある学生であっても実力は操られている分に実戦経験者の動きである。

 先ほどの攻撃により確かに意識を失いかけたのがその証拠――


(相手には悪いが吸血鬼化によって治癒を施すというチートな真似をしてしまったしな。この先勝ってもあまりうれしくねえな)


 でも、相手はもっと悲しいだろう。

 第3者が優の思ってることを聞いたらうぬぼれすぎナルシストだなんて思うだろう。

 けど、うぬぼれなんてことはないのだ。


「がっはっ‥‥‥‥‥うぐっ」


 腹部を抑え、壁からはって出てくるDM。口からは盛大に血を吐いたと思われる血の筋が見える。

 困惑した表情が優をとらえている。

 いつもそうであった。

 優の相手をした者はこの開放した力の一発をくらうと困惑し化物を見るかのような目線を向ける。

 テロ組織の野郎なんかじゃあこういうのは通用はしないが。


「よくわかりませんが、でも、ここで私は負けるわけにはいかないんです! 未来のためにも!」


 DMは右手を掲げ地面に手をつく。

 辺りが一瞬に電流が弾け飛び始め、雷の力場が優の周りに突如として現れ四方を電流が固めた。

 身動きが取れなくなった直後頭上にとんでもない魔力を感じを見上げる。


「サウザンドラゴ!」


 雷の龍牙が天から舞い降りて地面を砕き優を襲い巻き込んで振り降りた。

 激しい電流の突風が一瞬で舞い、すざまじい爆音が響く。

 確実に生きてるはずはない攻撃だった。

 しかし――


「――――悪いな。あんたは強いよ。でも、一般の学生を操ってる程度では俺には勝てない。業を喰らえ――――刃龍砲炎牙はりゅうほうえんが!」


 雷気を刀の一閃が打ち消した直後、DMに一直線でアギトを開き口腔内に大きな刀を突き出させた炎の龍が襲いかかる。

 魔力を使い果たし、もはや身動きが取れない。


「バカナ――っ!」


 最後にDMが目にしたのは刀を正眼に構えた炎をまとった男の姿だった。

 炎の龍に食われたDMは――何かが事切れたようにして瞳に光が戻りフィールドに倒れた。

 そして、審判のコールがとどろいた。


『D戦本戦決勝戦試合 第2戦目 勝者 龍牙優!』


 何度目かの観客のざわめきは今までとは比べ物にならないくらいすごいわきあがりようだった。


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