D戦本戦決勝戦試合 第2戦目 龍牙優 VS DM 前編
DMと名乗る選手が優の対戦相手となった。
彼女はこの試合を無敗で勝ち進んできた謎の人物である。
そこからおおよそ、『オオスズメバチの巣』の構成員なのはわかっている。
黒いコートで全体を覆って、フードを目部下にかぶっておりその下をまた仮面で素顔を隠している。
彼女の情報は少なくただ一点、この『魔法競技ランク戦大会』が彼女も初参加だという事実。
――去年、この大会があって2割の参加者がいなかった。
その理由としては、今回のように犯行声明があったから教師絵参加になったとかいうルールがない状態であったからだ。
前回までに行われてきた大会はすべてが自由参加型。
今回に限ってはいろんな特別ルールがされたことで参加者は相当な数になっている。
特別ルールのせいもあり外部から大会参加者の半数近くは『オオスズメバチの巣』の構成員と見て間違いはなかった。
―――――今、優は会場のスタジアムで観客者たちから好奇のまなざしを向けられながら地を踏みしめ心を研ぎ澄まし魔力の循環を良くしていく。
目の前にたつ相手にだけ集中だ。
『さぁ、やってまいりました! 注目の第2試合目です!!! 無敗の女王DM選手! とこの学園で唯一の男子生徒であり優秀な特待生! 龍牙優選手のバトルです!!』
実況の叫びに続け審判が『両者、前へ』その言葉で3歩足を進める。
『では、始め!』
俺とDMは互いに武装魔法を展開する。
俺は炎の剣、DMは水と雷の双刀。
互いに武器を構え突攻をしかけた。
早速優は袈裟上に切りさかれた。
相手のスピードが尋常ではない。
でも、優もタダでやられたわけではなかった。
優の手にも確かな手応えがある。
けど、DMは不思議なことにこちらの攻撃が当たってるはずなのに一切当たってる感じはしない。それどころか、無傷だった。
「なんで、攻撃がヒットしてる感触はあるはずだ」
「‥‥‥‥‥」
DMは何も答えはしない。仮面の下では笑ってるのか怒ってるのか感情が伺えない。
奴は今何を思ってるのだろうか。
DMは動きだしもう一度剣を振りかざしてくる。
縦横無尽の攻撃に対抗し俺もうまくその攻撃に対抗し反撃を加えるも相手も実力も相当だからこそこの反撃に即対応してくる。
剣同士が激しくぶつかり合い時に体へ切り傷を加える。
剣戟の攻防戦。たまにはフェイントを加えたりもするがそんなのあったところで無意味にすぎなかった。
すぐに、それを相手が見破る。DMも時たまフェイントがあるが優自身そのくらい見破れた。
しかし、先ほどの技に至っては防げなかった。
「ッ! この感じ――」
左の剣速突きの攻撃と右の横凪の攻撃。先ほどの攻撃と同一で左がフェイントだった攻撃だ。
だが、またしても同じとは限らない。
後方へ飛び退き、左手から火炎魔球を放つ。
しかし――
「はっ?」
火炎の魔級が被弾した直後だった。そのDMの体がぶれ陽炎の様に消え去った。
そう、分身だ。
擬態と表現すべきか。術による自らの人形を作りだしていた。
「一体どこに!?」
優は頭上に気配を感じ剣を掲げる。
重くのしかかる攻撃。
地面に足が埋まり始め手に限界が近づいてくる。
まずい。
「うぉ!」
思い切り力任せに押し返し相手を弾き飛ばす。
DMは空中宙返りをし、地面へ着地し何事もなかったかのように剣を振り払う。
表情が読み取れない分こちらはやりにくさを感じる。
「バインド」
「くっ」
初めて発した声に優は苦悶の声を上げた。
その瞬間足を謎のツタに囚われバランスを崩し倒れる。
「しまっ――」
無言のまま頭上からDMが剣を振りかざし優の背へ剣をつき立てにかかった。
「アースクエイク」
体全体に重圧の重みがのしかかって優の体に雷剣を突き刺し雷が落ちたように地面を穿った。
頭が痛みで一瞬で真っ白になった。




