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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
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任務内容

 90階へ着いて優はアリスの後に続いて降りた。

   至って質素なホールの雰囲気。

 先ほどの階と変わらないエレベーターから出てすぐのホール。

 少し違うとすれば降りて直前に扉が一つあった。


「おい、アリスあんな冷たい態度とる必要はなかったんじゃないか?」


 優は声をアリスにかけるがアリスは振り向きもせず答えた。

 アリスは無言で扉を開けた。

 部屋の中は広くそこには机とリクライニングチェアという形で机の上には書類の山が高く積み上げられている。

 それ以外にも周りには本棚やハンガーラックなどがある。

 ここは『掃除屋』のアリス専用部屋。

 けれど、部屋はここだけではなく部屋の左側と右側の壁にそれぞれ一つ扉があった。

 左側は応接室になっていて右は『掃除屋』のトレーニングルーム。

 右はさらに奥の部屋がありロッカールームの男女別の部屋があったりする。

 実際『掃除屋』の部屋はここだけではなく、もう一つ上の階層にもトレーニングルームや武器保管室があるが現状は話を聞くだけであるのであとで利用する予定である優。

 アリスは今の優の質問にさらりととんでもないことを言う。


「冷たくないわよ、あんな奴らと話す価値がないだけ」


「話す価値って‥‥‥‥」


「それよりも、私のことはボスと呼びなさいと何度言えばわかるの? 優」


「いいだろう、幼馴染なんだし」


 親同士のから見からの付き合いの幼馴染。

 だからこそ、昔馴染みというのもあってアリスの親父が死に、アリスが『掃除屋』のボスという役職を引き継ぎ、俺は呼ばれ『掃除屋』の右腕となったあの頃から優には上下関係という気がしない状態である。


「それでもここは会社だし私はあなたの上司で年齢だって上よ。昔からあなたは目上の人に対して敬う心がないったらないわ」


「目上って誰がだよ?」


「私よ!」


「はぁ?」


 優はわけのわからんというかのように首をかしげる。

 その態度が逆にうざくもありバカらしくも感じられたらしくアリスは盛大にため息を吐いた。


「はぁー、あなたに何を言っても無駄よねぇ。素行に関しては」


「? まぁよくわからんがそうだぞ」


 その返事によりアリスは肩を落とし頭を抱えてしまった。

 この子だいじょうぶかしらとでもいうような振る舞い。


「そんなことよりも、早く仕事の話し聞きたいしさっさと話を頼む」


 アリスは自らの座席に座り、書類を数枚優へ手渡した。


「それを読んでちょうだい」


 それは例の学園の記載事項が書かれたもの。

 都立共生学園。

 亜人と人間が唯一共同で生活を送ってる学校。

 妙な話だ。

 人間と亜人ってのは今でも相容れないものであるのに。

 だからこそ、年々犯罪は増加し、俺らのような奴が出はらなわなくてはいけない。


「ふぅー、まず、率直に言うわね」


「おう」


「ここは女子高よ」


「おう! ‥‥‥‥って、え?」


 優の思考はフリーズした。

 自分の聞き間違いではないのかとさえ思うような言語を聞いた気がした。

 場所の間違いではないのか、男子の間違いではなどとさまざまな疑問が頭の中を飛び交いだす。


「そして、そこにあなたは学園側からきっての指定された水準として組織内で選ばれ潜入調査員として向かう。学園では特待生として扱われる手筈となってるわ」


「ちょ、ちょ、ちょっとまてよ! 女子高? 特待生? はぁあああああっ!?

 バカ言うな! 女装して潜入調査しろってのか!?」


「ちゃんと最後まで聞きなさい」


「最後までって‥‥‥‥聞く必要もねえだろ! そんなの無理だ――」


「いいから!」


「うぐ」


 アリスの真剣なまでの気拍には逆らえず黙って言うことを聞く。

 場所が場所だけにそれなりの理由もあると考えよう。


「まず、都立共生学園は3年後に新たな改変をするの。それが男子の導入。簡単に言ってしまうと共学になるって話。だから、男子と共存をする生活を与えても平気かどうか現学園の理事長は考えたの。それにこれは去年から決まってたことよ。これは人間も亜人の男子も関係なく入学を許可するつもりみたいだしね」


「それで、15歳の男子ってことか」


 先の会議の内容を思い出し発言をする。

 源蔵正一が指定した、推定。15歳の男子。それが今回の任務対象者。


「そうよ。特待生入学としてでもやはり1年からの方があちらとしては都合がいいみたい。1年生からが一番かかわり合うしね男子と。この3年という単位はあくまで今ではでなく1年はもう満了してあるから正しくは2年後ね」


 なるほど。

 ちょうど、2年後となれば現在の1年生は3年生としてまだ学園に在籍してる形となってる。

 今のうちに彼女らの反応を確かめたいというわけか。

 まぁ、それでも2年後に学園から消える先輩らともかかわり合う必要性もあるな。

 しかし、話はこれだけではないと優は踏む。

 依頼内容がこんなたやすいわけはない。


「で、それと生徒らの問題解決依頼か」


「そうよ、あと学園ではいろんな生徒同士の抗争もあるみたいなのやはり」


「種族が違う場だからな」


「ええ。それで、学園の中では戦争みたいな抗争が絶えないらしいわ。そして、生徒内で起こる行事もあったりするとか。学園自体は今は生徒が仕切ってるそうなの」


「はぁ? 依頼は学園の理事長から連絡来たんだろ?」


「ええ、そうよ」


「それで、どうして学園は生徒が仕切ってる話になる? そもそも、仕切ってたら依頼が来ないんじゃあ‥‥」


 そう、権利とかそういうのも支配されるわけだから、依頼の許可だっているのである。

 よくわからないことが怒ってる予感が優にはしてしまう。


「まさか‥‥隠密依頼か」


「そういうことよ」


 隠密依頼――――非正規的に送られてきた依頼。報酬はない依頼で政府に手紙として送られてきたりする。

 それを政府は独自に判断してその依頼を受けるか否かを判断し、案件が現政界に大きくかかわる案件と判断されると『掃除屋』にこのような形で回されるのだ。


「報酬なしの依頼なんて久しぶりだな」


「依頼者からはないけれど、政府からの報酬は出るそうよ」


 そう、別に隠密依頼は報酬はないというのは依頼者側からという意味で政府からはあったりなかったりする。今回はある方らしい。


「まぁ、金なんてどうでもいいか。で、それ以外にも問題ありそうだと俺は踏むんだが」


 話を戻して問いかけた発言にアリスは頬笑みを浮かべて――


「そのあたりはあいからわず鋭いわね。そうよ。今回は2年後に共学した時に起こりえる問題で心配ごともあるのよ。たとえば、不純異性交遊問題」


「なるほど」


 亜人の中には性欲がすざまじいものも多くいて強姦被害が絶えない。

 現在の日本では強姦罪は死刑となっている。


「あとは派閥争い」


「派閥争い?」


「生徒のいろんな種族同士が固まって、学園の敷地を巡った争いのことよ。現在も激化してるそうなのだけれどより強くなりそうだそうよ」


「おいおい、同じ生徒なんだから学校の敷地の取り合いなんてすんなよ」


「まぁ、それは潜入調査の時に彼女たちに言ってあげなさい」


「言ってあげなさいって‥‥‥なんちゅう身勝手な」


「身勝手なっていうけれど、これはあなたの仕事だから身勝手にもなるもの。私は手助けくらいしかできないんだから」


「はぁー。まぁ、いいけれどよぉ。そもそも、俺を調査に出して逆に不純異性問題に発展するとは思わないのかよ?」


「あら? あなたは何かする気なの?」


 急に肌寒くなってきた感覚がくる。アリスの笑みが般若のような様相を思わせるぞ。

 背から奇妙なオーラの幻覚を見て優は尻込みしながら否定する。

 優は理解しているアリスの力は尋常ではない。

(氷漬けは勘弁だ)

 弁明をするように机に手を置いて――


「俺はしねえよ! 相手さんの話だ!」


「あら? あなた顔に自信があるなんてナルシストねぇ」


「誰が自信あるなんて言ったよぉ! わかんねえだろ! 女にだって性欲はあるだろうし俺が襲われる可能性はって?」


「ないわね、第一あなたを襲える人材が一般人にいるの?」


「‥‥‥‥あ、そうだな。でも、まてよ、現在よぉそもそも俺が調査しなくても

 男子教師がいたら意味ないんじゃねえか?」


 優はふと思った疑問を飛ばす。


「あなたそのこといまさらよ。それはこっちでもあちらさんと問い合わせ済み。そしたら、あちらさんの方には男性教師がいるらしいわ」


「へぇー、だったら、俺は行く意味がないんじゃあ―――」


「で、男性教師はガチホモでオカマらしいの」


「ちょいまて! さっきの不純異性ではないが性的問題が起こりえそうじゃねえかよ! 俺の貞操ピンチになりそうじゃねえかよ!」


「まぁ、大丈夫でしょあなたなら」


 にこっと明るいアイドルスマイル。

 そのスマイルいらないね。


「大丈夫じゃねえぇええ!」


「まぁ、頑張りなさい。はい、この話は終わり。仕事は明日からがんばって。これ地図ねぇ」


「ちょっとぉおおおおお!」


 優の絶叫を無視で話は終わりを迎えて――次の日、潜入調査で共生学園へやってきた優だった。

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