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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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宴会場 前編

「本戦出場を祝してかんぱーい!」

 某、ファミレスをクリーエルの金で貸し切った盛大なパーティー。

 そこには各メンツが呼ばれていた。

 優もその一人であり、プレートの上にある食の山をトングで取り、皿の上に乗っけてると背後から声をかけられた。

「優、少しいいかしら?」

 優の知り合いということでこの宴会場に呼ばれていたアリス。

 彼女が険しい顔つきで声をかけてきた。

「なんだ?」

 アリスの視線の先にはこの場にはいることが危険ではないかとされる要注意人物の存在。

 リーア・メルティシア、ウィンナ・グローズ、ユリア・シャーテルベルグの生徒会のメンツ。

「彼女たち、本当にこの場に呼んで平気なの? わかってるのよね?」

「テロ組織のメンバーという容疑があるのに危険だということだろ? わかってるさ。だが、彼女たちがここで暴れてなにか得があるか?」

「そうだけど、危険なことに変わりはないでしょ?」

「平気だって。何かあればここには特部の奴や俺にエリスもいるんだぞ。それにアリスお前だっている。外には例のごとくテロ対策係が見張りをしてるんだろ?」

「ええ」

 アリスは窓枠を見るようにして視線を向けた。

 外部には一般人に扮したテロ対策係が見張りをし、怪しいものをすぐ対処して捉える手はずとなっていた。

 宴会場でももし、何か起こればすぐに出動してくる手はずにもなっている。

「お兄ちゃーん、こっちで一緒に飲もーう」

 深刻な会話をしてる中で雪菜ののんきな呼び声に振り返る。

 雪菜がなにやら未成年が飲んではいけないような紫色の液体を片手にコップを振りかざす。

「はぁー、のんきなやつめ」

「雪菜さんはあれぐらいがいいわ。逆に敵に警戒心を持たせないことができるわ」

 アリスが意外にも怒らずに高評価を雪菜に与えた。

「意外な評価だな。俺がああしてれば怒るくせに」

「あなたは私の右腕だもの。しっかりしていないと困るわ」

「へいへい」

 優は雪菜のもとへ向かうところを「待って」とアリスに肩を掴まれる。

「なんだ、まだ何かあるのか?」

「ええ、例の組織の名前がわかったわ」

「もうか?」

「テロ対策係が過去に捕まえていた犯罪者の一人が今回の犯行声明を出した組織のメンバーであったみたいなのよ」

「名前は?」

「『蜂』もしくは『オオスズメバチの巣』とか言われてるみたいよ」

「オオスズメバチの巣? なんで、蜂なんだ?」

「さあね。でも、奴ら組織は体のどこかに「オオスズメバチの刺青」を入れてることがあるのよ。これが因果的関係かも知れないわね」

「まあ、どちらにせよ名前がわかったところで対応はできないだろう」

「そうね。けど、覚えておいて損はないわ。どこかでこの名前を耳にした時すぐに対処して頂戴」

「了解」

 優はそう言って雪菜のもとに出向くともう、酔いが回った様子の彼女はだらしない笑みを浮かべる。

「うにゃはは、お兄ちゃんがやっとキター」

 しなだれかかる雪菜。

 完全に出来上がってる。

「お前なぁ、予選突破したくらいでどんだけ喜んで飲んでんだよ。未成年が飲むんじゃねえっての」

「むぅー、毎日仕事帰りお酒飲んでるお兄ちゃんに言われたくないにゃ」

「にゃっていつからお前は猫になった」

「うにゃははは」

 大仰にため息をついて頭痛を覚える。

「‥‥‥‥雪菜ちゃん嬉しいのはそれだけじゃないとおもい‥‥ます」

「ですよー。たぶん、ここ最近優さんと同じことを出来てるのが嬉しいんじゃないかと」

「はあ? どういういみだ?」

「お兄ちゃーん」

「だから、お前の兄じゃねえっての――ってもういっても無駄だよな。はぁー」

 優は雪菜を支えながら、目の前のふたりが気分が沈んでるのが見て取れた。

 大会を初戦で敗退したのだったことを思い出した。

(そういえば、このふたりは本戦に出られないんだよな。杏里も場の空気を読んで宴会場にはいかないと言って来てはいないし)

 この二人も当初は「本戦出場者ではない私たちがくる義務はない」ということを言っていたが上司であるテロ対策係室長、婁紀彰による指示で容疑者の監視を義務付けられ宴会場出席を余儀なくされた。

「‥‥‥‥私たちぃ‥‥今回役‥‥立ててなく終わってしまいました。‥‥‥‥この場にいる資格ないはずですのに‥‥みんなやさしい」

「ですよねー。本当にー」

「そんなことねえさ。二人は十分に役に立ってる。今回だって二人が戦ったおかげで生徒会メンツが容疑者だということを絞れたんだ。十分な働きをしてる」

「でも‥‥」

それでも何かを言おうとする友美の頭に手を置いた。

「十分感謝してるのは事実さ。だから、役に立ってないとか言うもんじゃない。あとは大会の優勝の暗殺阻止はこちらにまかしてくれればいい。君たちは君たちなりにできる対処を頼む。それで充分役に立ってるから」

 優なりの励ましの言葉を述べた。

 それが彼女たちの心を落ち着かせたようだった。

 酒の効果もあってたぶん泣き上戸に入ってたふしもある。

「すこし、休むといいさ。そこに席がある。座っとくといいよ」

 優は遠目に見た席を指し示し3人を座らせた。

「ユウさん」

「エリス、どうした?」

 エリスの目がリーアに向いていた。

 彼女は周りの会話から抜け出し携帯を片手にどこかと連絡をしてるようす。

 あとを追っていくアリスの姿があった。

「俺が向かう。エリスは彼女たちの監視を頼む」

「わかりました」

 優は急ぎ、出て行ったふたりを追いかけた。


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