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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
72/123

A戦第1試合 予選 リーア・メルティシアVS宇佐鳶友美 前編

 代表予選Aチームの初戦はリーナのチームVSエリスのチームとなる。

 いくら殺し合いではないといえどもけがを負わせることはあり、雪菜は強い志を持って挑むことを決意する。

 あくまで、これは学校行事であり下手な真似をすれば敵が何かを仕掛けっかねない。

 試合が始まる直前のことだった。





『雪菜、すこしいいかしら? エリスも』


 いつもと違う格好をしたアリスが試合会場の選手待合室広場に現れた。

 ここは上位階級のものならば選手以外の一般者でも立ち入りが許可されていた。


『なんでしょうか?』

『これを』


 アリスが渡したのは『テロ対策係調査報告書』と書かれた書類。

 その書類はウチの社と仲の悪い、秘密組織社の報告書類だった。

 エリスが手に取って一枚一枚確認をしてからため息をつき、優樹菜にその書類を回した。

『一体どうしたんです?』

 首をかしげながら二人の冷ややかな重たい空気を感じ唾を飲み込んで書類に目を通した。

 そこに記載された内容は、大会の運営委員会に犯行声明を出した奴らの推定される思惑だった。

『彼ら、もしくは彼女らは大会で大々的な何かを起こす。その一つとして大会委員会長の佐藤林道氏、共生学園長、九条美代氏を殺すつもりよ。タイミング自体はそこに記載されてるとおりあくまで、推測の域らしいけど――』

『優勝後――』

『ええ、多くの記者がインタビューをされて表彰台で登れば彼女と彼がいてテレビで全国中継されている。大々的にその映像を流すのでしょうね。自分たちの驚異を示すチャンス。優勝者が殺したとなればそれこそ恐怖よ』

『なら、やはり大会自体中止を――』

『マジックオフィシャルを借りてるし、上が首を横にふらないわ。それにもう始まってしまってるのをどうにもできない』

『たしかにこれは仕方ないですね? それで、どうしろと言うんでしょう?』

『書類を読んだならわかるはずよ。下手な行動をとらないこと。わざと負けるみたいな行動をとったり力を下手に抑制すれば奴らを刺激する。奴らは大会が順当に進むことを望んでる。もし、そのようなことをすれば計画を早めるわ』

『それを言うならボス、誰かがテロ組織の以外のものが優勝した場合でも同じでは?』

『わかってるわ。でも、それはありえない話なの。優勝候補者全員の中にテロ組織メンバーが絶対一人入ってる。それが婁紀明の部署でわかった推論結果よ』



 雪菜はだから手を抜かず戦う決意をした。

 リーナや友美も大会の裏事情を知ったはずで全力で向かうはず。

 雪菜はそっと後ろを振り返った。

 作戦の打ち合わせをしてるリーアとエリス。

(リーア会長)

 アリス入っていたことが事実なら彼女が『テロ組織』の一員だ。

 でも、本当にそうだろうか。

 彼女は今まで学校の生徒会長をやってきた人物。

 そんな人が何故という思いもある。

「雪菜、行きますよ」

「いきますわよ、北坂さん」

 雪菜は二人に声をかけられ入場ゲートを通り抜けていった。


 *******


「――ということだから、理解したわね?」

「ああ、わざわざサンキュー」

 アリスが去っていく後ろ姿を眺め手元に残った書類を再度読み直す。

 ここは選手控え室。

 ちょうど、自分専用の控え室に向かう道中の廊下でアリスト出くわし、『テロ対策係調査報告書』なるものを手渡された優。

 頭皮をかきむしり、毒を吐きつつ専用控え室に入る。

 この専用控え室を持ってるのは優だけだった。

 試合に出るタダひとりの男というわけで女子と同じ更衣室を使わせたりするわけにも行かないという大会運営委員会の心優しい配慮。

 優は専用の控え室、物置の用具室みたいなところで着替えを始める。

 防刀防弾の魔防コーティング式された超高度繊維であまれた通常の制服とは人味も違う試合専用制服。

 会場内ではヒーリングシステム、試合が終わって選手が怪我をしてればすぐに治癒を施す特殊なバトルフィールドで行う。

 この設備を大会側が整え準備するのに苦労したと聞く。

 通常、場所はその設備が準備されている学園内所有のスタジアムで行われるはずが今回はテロの犯行声明を受けた大会側がマジックオフィシャルという場所に急遽変更をした。

 それによっててんてこ舞い。

 本来、夕もこのような控え室ではなくもっとロッカーなどもしっかり準備された控え室が与えられるはずだった。

 ぼんと書類を用具が入った段ボールの上に置いて着替えを完了し控え室をでる。

 そのまま、選手待合室広場近くにあるトレーニングルームに向かう。

 そこで、軽い準備体操を行おうと考えた。

「ん?」

 待合室の電光掲示板モニター。

 そこには予選の選手のトーナメント表があった。

「ミユリのチームもCの3回目の戦いか」

 Cの試合には多くの大会優勝者が関わっていた。

 特にあのエルフのシャーリーとドワーフのアイシャの両名がいる。

 それに加え、童子と鼎、外部の選手から御厨かなでも出場を与えられた。

 無論、かなでが出場してるのも仕事のためである。

「ミユリたちは平気なのか」

 ミユリのチームは優勝候補枠ではないが準優勝候補枠に当たるという。

 特に彼女たちのチームには大会運営委員会長の孫娘がいて、注目のメンバーとしてなっていた。

 優は待合室の騒がしさに気づく。

「あいつら‥‥」

 彼女たちが騒がしいのは予選の初戦からAの方で行われる優勝候補者同士の試合である。

 リーナ、友美、杏里のメンバーのリーナチームVS雪菜、エリス、リーア・メルティシアの試合。

 かなり熱い戦いになるので期待の試合。

 A,B,C,Dはそれぞれで20組以上いて最低でも初戦は10回以上の試合が行われる中で注目の一戦だろう。

 Aチーム初戦が始まる。

 優も選手の待合広場であるテレビでスタジアムの映像を見つめつづけた。

 ウィンナやユリアはどこか別の場所に行っており、今はいない。どこに行ったのかは不明であった。最初は尾行をしたが振り切られてあきらめ、控え室へ行こうとしたところアリスト出くわした感じだった。

 こうして今は壁に背を預け待合広場にある映像を見るという状態であった。

 映像の音声から声が聞こえ始める―――

 しかし、優は試合を見ることもなくその場から離れる。

 優は背後を振り返り電光掲示板に映る試合状況を再度確認した。


「くそっ!」


 優は毒づきながら、トレーニングルームへ入っていった。


 ******


『それでは第20回『魔法競技ランク戦大会』Aグループ、一組目の初戦を開始します!』


 A戦会場が盛り上がる。

 会場は各種バラバラで4つのスタジアムを使用している。

 それぞれでA戦、B戦、C戦、D戦が行われてるのだ。

 そして、現在、早くも開始したA戦会場―――

 いろんな人種の人たちその注目の試合を見つめていた。

 外交官、大会関係者、国家営業部署、国連etc。

 どの人も威厳ある顔立ちをしている。

 しかし、こういう人物たちがいる観覧席はVIP扱いの観覧席が設けられていた。

 一般席ももちろん多くの種族に人種が居る。

 だが、その空気に当てられ緊張のみなぎった形で無理に盛り上がりを見せてる印象があった。

 雪菜、エリス、リーアは選手のスタジアム内の控え場所、屋根つきのあるベンチのそばで立って作戦の練り合いで最初にだれが出るかの模索を話し合う。


「予定通りに」


「そうですわねぇ」


 リーアが最初の先鋒を任されて芝生を踏みしめて中心まで歩みを進める。

 対して、同様に選手控え場所にいるリーナ、友美、杏里が作戦を話し合う。


「‥‥‥‥‥私が行くよ」


「わかった。任せましたよ―」


「お願いするッス」


 Aグループ初戦の先鋒を試合するのはリーアVS友美となる。


『初戦の選手が決まりましたようです! 第一試合目からなんと! 前大会優勝者という逸材のリーア・メルティシア選手だぁあああ!』


 リーアはレイピアを鞘から引き抜き構える。

 そして、光の魔法によって光輝をまとわせて武装魔法を展開。


『対しまして、今大会初出場ながら学内実力を示す期待の新人! その実力が計り知れない宇佐鳶友美選手です!』


 友美がチャクラム(円環刃)を出現させて光をまとわせて武装魔法を展開。

 雪菜は片眉を上げる。

(友美ちゃん、いつもの剣じゃない)

 ここにきて新型の武器できた友美に危険性を感じる。


『両者、準備はいいですか! それでは、試合開始!』


 リーアと友美は互いに足を踏み込み攻撃を仕掛けた――――

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