『魔法競技ランク戦大会』 開幕
------大会当日。
結果的に今回の犯行声明を出した、犯人について解決どころか目星すらできなかった。
大会で使われるスタジアムは東京ドームふたまわり分の広さを誇るようなスタジアムであり、この世界全体を支える精密機器が眠る遺跡とも言うべき場所。
マジックオフィシャル。
楕円形のドーム型のスタジアムの天井部分には液晶画面がある。
いわゆるサッカースタジアムのような形である。
実況席も大会のバトルフィールドとして扱われる芝生の位置からは天井の付近に位置するが液晶のテレビと反対側のほうだ。
『さぁ、やってまいりました! 年に1度の大大イベント!
『魔法競技ランク戦大会』。
共生学園の生徒らが自分の魔力や技量を駆使しランクトップを狙う戦いです!
今大会で優勝すればさまざまな権力を獲得できるうえに賞金までつきます!』
実況の放送があたりに流れて会場席はおおいに盛り上がる。
サッカースタジアムみたいなようにあたりを囲うように人の群れができているが観客席一番手前には白色透明の強度ガラスが仕切られていた。
それは魔法が被弾した時の防衛装置。
『今大会ではイレギュラーが数多くあります! まず、今大会優勝候補たる唯一の男子特待生に加え外部からの参加者も募集をした大会となっているのです!
――――とすみませんこうして名乗るのを忘れておりました! 今大会実況をやらさせていただくマークウェイと―――』
『ユリハネ・ハーウェンスです』
そのあとに続いたのは涼しげな女性の声だ。
あれ? どこかで聞いた名前と声だ?
『ユリハネさんはこの共生学園のOGであり第15回の大会優勝者です!』
『はい、ワタクシも本学園ではかなり楽しくさせていただきましたわぁ』
『そうですか。しかし、ユリハネさんはこの『魔法競技ランク戦大会』の15回目の時の覇者ですがその際は一体どのような感じで試合に臨んだのでしょうか』
『昔の話なので覚えてはおりませんわぁ』
『――あはは、そ、そうですか』
実況者が困ったようなた笑いを上げるのが聞こえる。
『それはそうと、聞いた話ですとユリハネさんは学園卒業後は医者になったとかいう話で――』
『ええ、医療の方面に進みたくて。でも、あの時期はワタクシども『亜人』は人間の医療施設に携わるのは禁止されていた時代でしたしわねぇ。それを考えての行動でのちの将来を医者にしてほしいとの申し出でしたわぁ』
『なるほど。ちなみに話は変わりますが今大会ではユリハネさんはだれを有力候補だと思いますか』
『やはり、龍牙優君のチームじゃないでしょうか。彼は学内でも指折りの実力者ですし人気もありますから』
『おお! やはりそうなんですね。噂だと彼は特待生として入学してますね。本当なんですか?』
『はい、特例での特待生ですね』
『ほほー、興味深い人物ですね』
などと長い長い実況の会話が続いて――――
時刻が迫る――――
場所は会場内のある一室。
選手の控室だ。ベンチが三つにロッカールームがあるという質素な部屋。
そこのベンチにはウィンナ、ユリア、優の三人が座っていた。
彼らはまるでチームになってない。三人は敵対心を持っていがみ合っていた。
いや、ユリアのみは敵対心ではなく嗜虐心かもしれない。
「そろそろ、入場だなぁ」
ウィンナの言葉に優は黙り込む。
勝手な申請によってチームを勝手に決められている状態で試合に望むのは厳しいにも程がある。
けど、決まったことにいちいち愚痴を言うようなほど子供じゃない。
「作戦はどうするんですか?」
苦手な敬語を使い、先輩である彼女ら二人に立場としてむずかしいがうまく使う。
ウィンナは席を立ちあがり部屋の扉を開けた。
「最初は予選だ。気楽にあたしたった一人で勝ち抜いていく」
「あん」
優は悪態をつきながら席を立ちあとに続く。
「冗談だよな?」
おもわず敬語を忘れて聞いてしまう。
「へいきですよぉん。ウィンナは実に実力を兼ね備えていますよぉん」
そう言う以前にユリアは自然に立ちあがって優の尻を蹴りつけていた。
優は痛みに顔をゆがませながらもスタジアムに入場をした。
『それでは、選手の入場です!!』
会場の盛り上がりに合わせて選手が列を作って次々と入場をするのだった。




