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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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病室

 薬膳総合研究医療センター、国家管理運営関係者特別棟の4階の病室。

 そこが龍牙優のいる場所。

 アリスは病室の扉をノックした。

 個室になっているその病室から彼ではなく別の女性の返事が聞こえた。

 病室の扉が開き、現れたのは北坂雪菜。

 アリスの左腕でもあるエリスの部下の彼女で優の従妹だった。

「アリスさん、来てたの?」

「ええ、彼はどう?」

「お兄ちゃん? 健康そのもの」

 彼女の視線の先を見る。

 のんきにりんごを食べていた。

 のんきなほどに堕落っぷりな光景。

 彼は自らの状態を何一つ理解してない。

 その光景を見ていろんな気持ちがないまぜになり怒りがふつふつと湧き上がる。

「龍牙優!」

 思わず声を高らかに上げ、アリスは彼に掴みかかっていた。

「どうしてそんなのん気に入られるの! あなたは体は――」

 あまりの突飛な行動に彼も目を丸くし、驚きつつ「わ、わるい」と条件反射で誤っていた。

 雪菜でさえも、「ご、ごめん、アリスさん。私がそのりんご持ってきて。お兄ちゃんお腹すいてると思ったから」と謝った。

 謝るべきはこちらだった。

「ごめんなさい。すこし、疲れていて」

「あ、いや、こっちも状況を考えず無神経な行動を取っていた」

 アリスは唇を噛み締めながら悲しみを隠すようにして資料を手渡した。

「これ、退院したあとにあなたにしてもらう任務の通達書」

「ああ」

 優が手持ちの任務通達書を眺め、「ん?」と小首をかしげた。

「おいおいたったこんだけか? 俺の体を気使ってるなら平気――」

「平気なわけ無いでしょ!」

「ど、どうしたんだよさっきから‥‥おかしいぞ?」

 同様を隠そうと必死なアリスだったがどうしても態度に浮き出てしまう。

「ごめんなさい。本当に疲れてるだけだから‥‥そこに書かれた通りの任務をしてくれるだけでいいから。あなたは『魔法競技ランク戦大会』にでなくちゃいけないでしょ? エリスや雪菜といった『共生学園』の潜入組はみんなそう。だから、そういうメンバーは内部動向調査のみに回してる。だからパトロールや捜査はなしでいいから」

「わかったよ‥‥」

「本当なら、大会にも出したくないけれど‥‥状況が状況だから仕方ないわ」

「めずらしいなそこまで気を利かせるなんて」

 アリスは悲しさを押し殺し苦笑いで答えた。

「馬鹿言わないでよ、私はいつだって優しいわよ。でも、安心したわ。平気そうね」

「ああ」

 アリスは彼は返事をしたとき思う。

(うそばっかり。額のその汗はなんのよ。明らかに痛みをこらえてるじゃない。私たちの前だからって)

 アリスは彼のその仕草は長年の付き合いですぐにわかった。

 だから彼が痛みを我慢しない環境を生み出すためにも――

「雪菜あなたも仕事があるから。あと、優。今日あなたは無断欠席にはなってないから安心なさい。ちゃんと、学園長にあなたは大会開始の間まで休ませる通達をしたわ」

「なっ! おいおい、大会開始まで病室で安静にってか? メンバーも決めなきゃいけないし」

「そのへんは『学園の生徒会』がどうにかしてくれるみたいだから安心なさい」

「まじか‥‥本当それ平気なんだろうな?」

「上手く身分を隠し戦いを演じればいいのよ。あなたならできるって信じてるわ。じゃあ、私は会社に戻るわよ。行くわよエリス、雪菜」

 アリスは病室扉を開き出ていく。

「じゃね、お兄ちゃん。安静にしてるんだよ」

 そのあとに続けて彼女たちも病室を去っていった。

 ――優はしばし、扉を眺めたあと足音が聞こえなくなっていきついに痛みをこらえきれなくなりうずくまった。

 胸元がえぐられてくような痛み。

 包帯の上をギュッとつかみ息苦しさを覚えた。

 棚の上に置いてある薬を手に取りそのまま飲み込む。

 数秒後に即効性の痛み止め薬のおかげで痛みは徐々に引いていった。

「くそっ」

 優はあわれな自分に対して毒づくのだった。


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