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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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薬膳の報告

 薬膳総合研究医療センター。

 表向きは医療関連の団体が運営してる総合医療の最先端を行く『亜人』と『人間』の全種族対応の病院である。

 しかし、その裏向きの実態は国家が管理する研究機関。

 あらゆる犯罪者のDNAを研究したり、特殊な『亜人』、『人間』の死体を使った人体実験を行っている。

 アリス・クリスティアは薬膳総合研究医療センターの一般者向けの道を使わず裏の道、関係者立ち入り禁止の扉がある方を利用した。

 裏道は森林に囲まれた普段は使われてないような駐車道のような道。

 その奥にプレハブ小屋を守るようにして鉄の格子扉が見えた。

 電子ロック式の扉。

 タッチパネルにIDをかざし『認証しました』との音声が流れると扉が開場される。

 中に入るとすぐに扉は締まった。

 プレハブ内は薄暗く、単なる医療倉庫となっていた。

 各種使い捨てられた医療器具の残骸や今後新たに使われるであろう医療器具の箱の山。

 プレハブ内をまっすぐと突き進む。

 そう、プレハブの中はまだ外郎となっている。

 プレハブと並立した建物の関係者の出入り口がやっと見え、その扉を開けた。

 認知センサ-がここにも設置されており『認証、ID番号109、アリス・クリスティア様ですね。お疲れ様です』音声モニターの声が流れアリスはついに大元の裏向きの建物、表向きと建物とは別棟の国家が管理し、薬膳狂音が自治運営管理してる研究医療の病棟へとはいった。

 実際、この場所は犯罪者や特殊なものたちの研究だけではなく、犯罪者の重病患者の治療、国家関係者の治療、特殊な病を患った者たちを収監してる病棟。

 待合ホールのような空間はほぼ空虚となっている。

 アリスは階段を登って2階にたどり着くと部屋がいくつも並んでいる。

 どこも研究室のような佇まい。

 右手側に曲がり進んでひとつ大部屋に入った。

『研究所長専用研究室』

 無断で入り、アリスは薬膳を見つけた。

「ん、こまるなぁー。かってにはいってこられちゃぁ?」

「話があるの」

「はなしぃー? 私にかな? いひひ」

 病弱そうな表情ながらにその体は豊満で美脚なスタイルを保っている。

 笑いには少々病弱さがしっかりと滲み出てはいる。

 彼女は赤い液体の入った試験管を試験管立てに差し置き、こちらを向いた。

「エリスからもらった死体についてよ」

「んーあぁ。これかぁい。いひひ」

「ライラ・ミシリア。彼女のDNAは一致したの? 彼女は生きてるの?」

「んーその質問に対してはYESだねぇ。でもぉ、このあなたからぁもらったぁジャグリングナイフの指紋はこのしたいの彼女のものと一致するわけでぇなんともぉいえないんだよねぇ彼女が生きてるかぁなんてぇ」

「市局に提供された遺伝子サンプルは本当に彼女のもの?」

「それはただしぃさぁ、彼女の両親のちとぉその遺伝子サンプルは一致してぇ99.7%彼女の遺伝子さぁ」

 この『世界』と『異世界』が合併した時期から、世界は変わり大きな犯罪が起きった時の対処として市局に常に住人は遺伝子の提供、つまり血液を提供することが義務付けられている。

 死人の遺伝子とわかったのはそういう意味であり、その情報が出た。

「分離した結果さ。彼、伊豪も結果に驚いてはぁたけどぉ間違いないと断言してたねぇ、能力も彼女の主体の属性も一致。仮に生きていて成長したらという仮の値の能力値と証拠サンプルの能力余波の能力波も99%一致」

 義務的口調で受け答える彼女。

 ミスはない。

 そう、確信的言い方。

「でもぉ、このジャグリングナイフの採取された指紋の検証結果をまとめれば彼女わぁ生きてるんだろうねぇいひひ。聞いた話だとぉアノ、シェルシード・リュバンとかいう犯罪者の男の遺体を回収されてったそうじゃないかぁ敵さんはぁ。過去にもあったよねぇ」

 過去の事件――それはテロ組織『シートコール』の時の話。

 金融機関、財政の会社などいろんな会社がその『シートコール』に関わったことで崩壊させられた。

 しかし、その意味は『サード』という男が世界を乗っ取ろうとした計画の一端に過ぎない意味で壊された。

 そのせいで、数多くの人が迷惑を被り中には自殺したものも出てしまった。

 解決はしたとしても彼の正体は分からずじまいで彼に手を貸していた大元の組織もわからない。

 『テロ』がおわったとはだれもおもっていない。

「今回の件も薬膳さんは『シートコール』と関連があると思う?」

 アリスはつい聞いてしまった。

 嫌な予感は胸を締め付けるように漂っている。

 それは確実性を帯びているし、何よりも死体回収されたという点は余りにも同じ。

 特に今回もまたなんらかの『大元の組織』がシェルシードに加担していた。

「んー、どうだろうねぇ。捜査は私の専門外だしぃでもぉ、ありえるんじゃなぁい」

「そう‥‥」

 確かに彼女に聞くべきことではなかっただろう。

 でも、彼女も思ってるという可能性を抱いた。

 確率は高い。

『シートコール』と関わりが今回はある。

『テロ』がまた引き起こる。

「それから今回のライラ・ミシリアの遺伝子情報が出たけど『アルベルト・イーガー』彼のなにか証拠はあった?」

「それはぁ、なかったねぇ。彼女の遺伝子情報のみだったよぉ。あ、でもなかったというのは訂正かなぁ。彼女は人間でありながら『亜人』の能力がァあったわけだしぃ」

「彼の実験の痕跡は彼女の中に残ってるということ。報告書にもあったわね」

 ライラ・ミシリア。今後は彼女のことは容疑者として考えたほうがいいだろう。

 でも、身の上は絶対に偽ってるのは確実。

「薬膳さん。私の推測だけど彼女は生きてるのであれば身の上を偽ってるでしょうし整形もしてると思うの。その死体は誰かってこともあるわよね?」

「それはそうだねぇ」

 薬膳は面白かしく一枚の書類を手渡した。

「それがこの死体の結果さぁ。能力までは調べられてないけどぉ限りなく遺伝子は彼女のものだねぇ。骨格からして明らかに女性だしねぇ」

「じゃあ、彼女が二人いたとでも言うの?」

「可能性としてはそうなるのかもねぇ。でもぉ、私は科学者さぁ。そんなのは信じないぃ。考えられるのは遺伝子を上手く操作して偽ったしたいということだねぇ」

「そんなことできるの」

「私の知る方法だと無理だねぇ。でも、それを可能とする人物ならいるねぇ」

「だれ?」

「ユリハネ・メルティシア」

「え?」

 アリスはその名前に聞き覚えがあった。

 確か、数年前に『魔法競技ランク戦大会』の優勝者だった少女の名前だ。

「彼女は今では優秀な異世界学の特殊な科学者で全面的な部門を得意としてぇるんだよねぇ。特に遺伝子力学の彼女の定説は実に素晴らしく――」

「力説はいいわ。その彼女は今どこにいるかわかる?」

「彼女は3年前に姿を消してるんだよねぇ」

「どういうことよ?」

「行方不明なんだよ。国家の管理する研究機関に所属してた彼女はひょっこりと国家の重要な情報を持ち去って消えたんだよねぇ」

「重要な情報ってなに?」

「国家関係者のリストと科学情報」

「っ!」

「世界を覆しかねない機密情報を持ち逃げした彼女はぁ行方知らずなんだよねぇ」

「私はそのことを知らされてないわよ」

「だってぇ、この件はあくまで始末ではなく捜索という形になったからねぇ掃除屋の担当から外し特部の案件になってたのさねぇ」

「じゃあ、上はもう気づいてるの彼女が関わってることを?」

「さあねぇ」

 アリスはその後口を閉ざした。

 どう言えばいいのかわからない。

 でも、有力な手が掛かりを上に隠されてたことに憤りを感じていた。

「この件は深く独自で調べる必要がありそうね。そうだ、話を戻すけど仮に彼女ライラ・ミシリアは生きてたとしたら推察すると顔を偽ってたりするはず。なん以下彼女の特徴的なことってない?」

「それは調べてもわからないし無理だねぇ。ただぁ」

「ただ?」

 薬膳はあるひとつの小型小銃を出した。

 それは『シートコール』との事件での戦争の際に優が使っていた武器と酷似していた。

「改良を加えた小型の遺伝情報読み取り機器さ。この中に彼女の遺伝情報をインプットしてるから銃口を当人に向ければこの銃が魔力で発光する仕組みになってるよぉ」

「それを使えというの? 過去にそれを使用した我が社員は魔力の大きな乱れを生じさせたのよ」

「それはわるかったよぉ。けどぉ今回は大丈夫さぁ。ただ遺伝子情報を読み取るだけの武器」

 まったくあきれるほどに過去の過ちをなんとももわない言いぶり。

「とりあえず、渡しとくねぇ」

「渡されても使いませんよ」

「いひひ、いずれつかわざるえなくなるとおもうけどねぇ」

 そう言われるとぞっとした。

「ふぅ、とりあえず、ライラの件はいいけど伊豪さんはどこ?」

「彼ならぁ、さっき現場に戻ったねぇ」

「能力の結果について正しかったのか聞きたかったけどまあいいわ。薬膳さん話でだいたい理解したし」

「いひひ、私の結果に間違いはないよぉ。んで、まだききたいことはぁるんでしょぉ?」

「彼、龍牙優の容態は?」

「外傷は全然問題なかったよぉ。けど、伊豪がぁこれを渡せと言われたわぁ」

 アリスは彼女の言葉はしっかりと聞き逃してはいない。

 彼女は今『外傷は』といった。

 ということは――

 伊豪からという資料を薬膳から手渡されアリスは顔を青ざめた。

「なによこれ‥‥能力が‥‥」

「能力値がマイナス。今の彼は一首の能力欠乏症の状態さぁ」

「なんで? 彼は平気なの?」

「平気だよぉ。どういうわけかぁ彼の中にある『亜人』の血がかれを生かしてくれてるみたいでねぇ。ちなみになんでそなことになってるかというとねぇ彼にかけられた呪いのせいだねぇ」

「呪いですって?」

「アビスポイズン、かけられた者を散々に力を奪い取っていく能力さぁ。奪われて力は術者にあたえられてくのねぇ」

「じゃあ、彼の力は全て」

「そう、呪いをかけた術者に行ってるねぇ。その術者がかれの能力に耐えられてるかぁどうかはわからないけどぉでもぉとんでもなく相手側も痛みに襲われつるはずだよぉ。かれの能力は普通のやつには扱いが難しく耐えられる容量や質じゃないからねぇ」

 そう。かれの力は『ドラゴン』と『ヴァンパイア』。

 伝説の『亜人』と最強の『亜人』の能力が混じりあった混沌の力。

「しかし、このアビスポイズンは禁忌の魔法だってぇ伊豪が言いながら驚いてたねぇ。まぁ、私にはァ魔法は詳しくないけどぉ能力による身体的異常はわかるからねぇ。その魔法がとんでもないものだというのは理解できるしぃ」

「あなたの意見はどうでもいい! 治せるのこれは?」

「治せるけどぉ従来の闇魔法の治し方じゃあ今回は危険だねぇ」

「え」

「アビスポイズン、はどうやら生きた魔法らしくってねぇ常に活動を活発化しており彼の体を蝕んでいて心臓にその呪いは伸び始めてるみたいでさぁ」

「し、心臓ですって‥‥」

「心臓に到達するまではおよそ1週間くらいだねぇ、その間にじゅつしゃをころさないといけないけどぉ術者が常にその呪いを操作できることも難点だねぇ」

「じゃあ、ど、どうすればいいのよ!」

「術者をきづかずころすしかなぁいんじゃぁなぁい。あと、呪いは生きてるといったでしょぉ? だからぁ下手に彼にその呪いのことを話したりすれば彼がたとえば動揺したりしちゃったらぁそれは呪いに影響が走りぃ早まる可能性もあるねぇ」

「まって、彼に呪いのことは話してないの?」

「うん、今のはなしぃきてたでしょぉ? これは内部に入ってるからァ目では視覚できない。厄介よぉ」

 アリスは資料を手にし、薬膳の研究室を出ていこうとする。

「どこにいくのさぁ?」

「彼の見舞いよ」

「そういいながらぁ、彼に休職を言いわたす気じゃなぁい? 言っておくけどこの呪いはかけられた本人が術者を倒すしか解く方法はないしぃ仮にほかの誰かが倒せばァ呪いはぁ一生溶けないわよぉ」

「な、なんですって!」

 アリスは険しい表情で薬膳の方を振り向いた。

「休職はなしにしたほうがぁ彼のためよぉ」

 アリスは苦渋をいながら薬膳の部屋を出ていった。

一時掲載。

加筆掲載を夜中にいたします。


加筆掲載いたしましたので完了です。

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