証拠品の所持者の謎
――――次の日の朝。
朝日の日差しを感じ優は目覚めた。
「う‥‥‥‥」
「あ、目覚めたみたいですね」
目を覚ませば目の前にはエリスの顔があった。
顔をあげて起き上がり記憶を探るように額を抑える。
「あれ? 俺なんで眠って? いつっ」
後頭部にとてつもない痛みが走り手で触れて顔をしかめる。
周囲を見渡せばそこはどこかの病室らしかった。
点滴薬が腕につながっており、体中が治療を受けたあとのように包帯だらけだ。
「あまり動かない方がいいですよ。傷はひどかったようですし」
「‥‥そうか、俺やられて‥‥」
考え込んでしばらくして思い出す。
シェルシードを倒した直後に現れた謎の集団のことを。
優はエリスはいるがアリスと雪菜の存在を探す。
「ボスと雪菜は?」
「ボスはシェルシードに関連する資料から上と会議しています。今回のテロに対しての対策会議です。ユキナは現場に落ちていた物的証拠を伊豪さんのもとへ運んでいます」
「そうか」
物的証拠なんて落ちていたことが驚きでもない。
おおよそ、ジャグリングナイフのことだというのはわかった。
「なにがあったのですか?」
「‥‥シェルシード、あいつを倒した直後のことだ。突然3人組の集団に襲われた。かなりの手練で高等魔法を得意としていた奴らだ」
「あなたほどが不意を突かれるなんてよほどですね」
「ああ、かもな。やつらの連携には恐れいったよ」
「そうですか‥‥しかし、本当に3人だけでしたか?」
「ん? どういう意味だよ?」
「現場から検証した際に、少なくともあの場にはあなたとシェルシードを含めて計8人の痕跡がありました」
8人というその単語を聞いて疑問を浮かべた。
優が気絶した直後に見たのは確かに3人組のみだったはず。
では、後からもう3人現れたとでも言うのか。
「いや、俺が見たのは確かに3人だけだった。――そうだ、シェルシードの遺体は!?」
もっともな重要な案件を思い出す。
あの場で襲撃を受け、重要な遺体を奪われていないことを切に願いながら質問した。
しかし、現実は無情だった。
彼女は首を横に振った。
「シェルシードの遺体はなく、敵側に回収されたと言えます」
「くっ」
優は己の失態をはじ、拳を強く足に打ち付けた。
優の悔しがりをよそにエリスの携帯が突然となりだした。
「はい、はい。わかりました。すぐにそちらへ向かいます」
相手はおおよそアリスだろうことはわかる。
彼女の表情は訝しみ、まるでありえないものを目撃したかのような疑いをかけた瞳を細める。
「どうした?」
「証拠品から奇妙な結果が出たとのことで私にその犯人の墓を捜査して来いと通達を受けました」
「奇妙な結果? 墓?」
「ジャグリングナイフの使用者はもうこの世にいない人物でした」
それは我が耳を疑う彼女の一言だった。
「では、私はそのまま仕事に向かいますのでこれで」
「あ、おいそれってどういう――――」
優の質問に対して無視をしながら仕事に向かていくエリスの去った方をただ呆然と見守るしかなかった優だった。




