任務内容―――麻薬密売人
優、エリス、雪菜は武器を回収後、会社に戻ってきた。
会社の社長室で優は新たな任務のために来たわけだが‥‥。
「エリス、雪菜は下がりなさい」
「了解です、ボス」
「了解しました」
アリスから一枚の資料を手渡され雪菜、エリスはそれぞれの役職の仕事に戻っていく。
なんでも、御厨かなで、茨木童子、湖乃故鼎、アーリン・カークライン(加倉井杏里)もそれぞれの仕事に戻ってるとか。
「聞いたと思うけど、例の『魔法競技ランク戦大会』、その大会の運営側に犯行声明が届いたわ」
「ああ、運営会長の佐藤林道氏とは話したぜ。それで、奴らの思惑とかはわかったのか?」
「今のところまだ不明。奴らの規模も何一つわかってはいない。こちらとしても対応を早急に行ってる。けど、そこである一人の人物に心当たりが出てきたの」
資料を手渡される。
相手の現れるルートに写真。そして、『掃除屋』に回った経緯がずらずらと記された資料。
「こいつの名前は、『シェルシード・リバン』。この男はここ最近密輸に手を出した、なんでもその密輸したものは麻薬みたいなの。しかも、コイツの役職は『施設管理担当者』の一員よ」
「っ! おいおい、マジックオフィシャルの管理担当の一人が麻薬の売人ってマジかよ」
「ええ。しかも、この人物に麻薬を勧めた人間がいるみたい。ただそれが誰かはわからないけど早急に彼を捕縛する必要があるわ。そして、彼は今回その麻薬を大会参加者にばらまこうという計画を目論んでることを『テロ対策係』は目星をつけた」
「随分とやっかいな話だな。で、その麻薬の売人にシェルシードを仕立てたのは今回の犯行声明文を送りつけた犯人と関係があるって線を考えてるわけか」
「ええ、しかも――資料の二枚目を見て頂戴」
言われるまま資料の二枚目をめくってみる。
「その麻薬は名前が『モンスターコーン』といわれてるものよ。亜人専門の麻薬でその麻薬を服用した亜人は暴走しては、依存症にすぐなりやすい。彼をつけ狙っては薬を要求する事件が多発。そして、彼に近づいた警察官も何人かいたけれど――――」
「消息不明ってわけか」
「そう。彼の事件に関わった警官は突然と消息が途絶えるらしいの。そこで、ウチに対応してくれって回ってきたわけよ」
「なるほどね。しかも、テロと密接な関係があったっていうのも大きな要因だろ?」
「まあね。ちなみにだけど麻薬自体がコーンフレークみたいな形状をしてるらしくて服用しやすいし、何かに混ぜてもばれやしないみたいよ。しかもここ最近、その麻薬を巷のレストランの料理にシェルシードは混入させてるの。だから、あなたも気をつけて」
「なっ! レストランって‥‥そりゃぁ、また‥‥」
「だから、おかげで服用者祭りで警察はシェルシードよりも服用者に手が回って相手にできないのも現状らしいのよ。まったく、警察は何をしてるんだって呆れた気分よ」
「密売人よりも保持者に手が回ってる状況って‥‥」
たしかにアリスの気持ちはわかる。
警察がダメすぎて何もいえないだろう。
「そもそも、シェルシードも服用者よ。しかもこの麻薬は身体向上機能もあるから尚のこと厄介よ。まぁ、シェルシードが服用者なのはわかるでしょ?」
「まぁな」
シェルシードが服用してるのは言うまでもなく彼はあくまで被害者だったのだ。
何者かによって仕立て上げられたわけだから。
彼もまたその麻薬の毒に侵されてしまった。
でも、所持は所持。捕縛しその麻薬を渡した人物を突き止めなくては。
頭を抱えて悩ましげな表情のアリス。
実に頭を抱えたくなる問題だろう。
今回の案件はなぜならばもう一つ問題がある、服用者――いわゆるシェルシードの客の見分け方だ。
本人は見ず知らずに服用した――レストランの混入物を誤って服用した人物かそれともシェルシードに自ら率先して買い付けて服用してるのかそれが問われる問題。
買い付け者――客には厳しい処罰を与えられるがそれ以外の人物、誤って混入物を口に含んだ人物に至ってはそうはいかない。
現在の医療文明や解析の技術は発達したから見分けることは容易だがそれはあくまで医療器具を使った検査の仕方。
今からの任務では自らの視覚で判断をおこなわねばならんのだ。
「――――ったく、そういえば、二人の仕事はなんなんだ?」
「二人? あ、ああ。雪菜にエリスね。あの二人は掃討担当よ」
「今日は死体回収班に回らせてるのか」
「エリスはもともとそっちが本担当だしね」
掃討班―――別名、死体回収班。最も忌み嫌われるものの係。字からよく間違われやすい仕事だが掃除屋の中ではあまりやりたくない職だ。
「雪菜、今日はかわいそうだな」
「雪菜『うへぇー』って言ってたわ」
「あはは、気持ちはわからないでもない。でも、エリスが教育係についてるからなれるのも早くなるだろう」
「そうね。意外と最近早く終わって帰ってくるしあの二人」
「ま、俺の方は教育担当終わったからな先月で」
そう、茨城童子。湖乃故鼎。
あの二人の教育は先月で終わりを迎えている。
吸収力もすざまじいほどよかったので二人はすぐに職場でその力を発揮し見事に独り立ちし今では単独で数々の殲滅任務を行っている。
といっても未だに監視対象者であることは変わらず、GPS付きのチップを心臓部に取り付けており無理に外そうとすれば爆発する仕組み。
「さ、あなたもさっさと行きなさい」
「へいへい。アリス」
「ボスよ! ボ――――」
最後に言われる前にそそくさとその場を出て仕事場に向かった。




