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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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武器回収 前編

 優、エリス、雪菜はアリスの命令で新秋葉原に向かっていた。

 異世界出現によって大きな抗争事件が勃発した2120年頃に秋葉原という都市は一度崩壊した。

 その秋葉原は現在隔離され、優たちが向かってる秋葉原は2145年に再興された新設された秋葉原。

『新秋葉原』だった。

 昔馴染みの秋葉原をそのまま復興させたアキバなので大して様相は変わらない。

 到着して、馴染み深い電気街口改札を出る。

 そのままMUDXビル方面に向かい、エスカレーターを上がり歩道橋を突き進む。

 歩道橋の奥に進めばMUDXの敷地内だ。

 しかし、その施設内部に入るのではなく優らは奥にあるレストラン脇に隣接された階段を下り、裏道を少し進んで左にそれる。

 コインロッカーや駐車場などや大型の雑貨店舗が軒を連ねた箇所を歩き、大通りへ出た。

 そのまま、今度は大通りを右に曲がって進み、交差点を渡り向かいの道へ――

 右の道をまっすぐと突き進んでいき又しても裏道へ入る。

 そこからさらにまた曲がってひとつの小さな店舗の前に立つ。


「ここですね」


 趣はいたって普通のジャンク屋だった。

 しかし、取り扱ってるものはICレコーダー、監視カメラ、防犯ブザー、盗聴器、録音レコーダー、使い捨て携帯など、普段一般人が使わないようなものが取り揃えてあった。

 ジャンク屋にしては偏りが見られる。

 アリスの命令はブツの回収。

 そのジャンク屋に例のブツが置いてあるとは思えない。

「なぁ、エリス俺らはブツを回収しに来たんだろ? なぜ、ジャンク屋だ? こんなところに銃火器が置いてあるようには見えないが?」


「表向きは防犯グッズショップということですよ」


 エリスに付き添い優と雪菜は中に入る。

 雪菜に至っては初めて見る店で好奇心溢れた瞳を輝かせ「なにこれなにこれ!」と子供みたいにはしゃいでいた。

 優はのんきすぎる雪菜に任務中だろとか注意する気にもなれない。

「店員さん、予約していたものですけど」

 エリスは早々に一人店員を見つけ政府の証明証を提示する。

 すると、店員が目を見開き慌てて頭を下げた。

「あ、も、申し訳ありません。おもてなしもでずぅー。政府の方がこんなにも早くいらっしゃるとは思わねぇでしたです」

 独特な喋り方を男の店員。

 ガタイは大きくスキンヘッドな目つきの悪い中年のおっさん。

 けど、ひと目でわかる。彼は歴戦の猛者の風格があった。

 もう二人ほど、奥に店員がいた。

 二人とも女性である。


「お客様だあ、巻、地下に案内しろだあ」

「わかっただあなた」

 彼らは家族で経営してるようだった。

 見た目の年齢的にもそのような感じがある。

 奥さんらしき茶髪の女性店員がこちらへどうぞと案内をする。

 奥へ進めばショーケースがひとつ見えた。

 ショーケースの中には武器があった。

 立ち止まって見とれてるうちに雪菜とエリスは奥へ消えていく。

「トランプナイフ、ダガーナイフにバタフライナイフ。ヘェー案外武器屋ってのは間違いないのか」


「なぁ、あんたも政府の人間なのぉ?」


 優が立ち止まり武器に見とれてると一人の女性が声をかけた。

 ポニーに結わえた髪と泣きぼくろが特徴的でナチュラルメイクを施した美貌とスタイルを持ち合わせたここの店員だ。

 ここの店員家族の娘だということは一目見て理解した。

「君はあんがい図太いんだね。これでも俺は政府の人間だけど」

「あはは、マジなんだ。そうは見えないから気軽に話しかけちったよ」

 なんだかコギャルっぽさが滲み出る独特な喋り。

 あの夫婦の娘とは思えない。

 優の訝しむ目線に気づいたように「ああ」と彼女は言う。

「あたしはここの生まれなわけ。だから、あたしはこっちの喋りなんだよ」

 なるほどと納得した。

「でも、マジで政府の人間? さっきの二人もそうだけど若くない? あたしとそう年齢は変わらないように見えんだけどさっきのふたりは」

「たぶん、俺もあんたと同い年だと思うぞ」

「あははは、それってあたしを老けてるって言いたいわけぇ? ひどくない?」

「俺の年齢は16だ」

「うっそ、マジで?」

 目をぱちくりとさせて疑いの眼差しを向けてくる。

 優は仕方なしにこういう一般の場で提示させる証明書を見せた。

「はぁー、本当に政府なんだァ。しかも、年齢も16だ。なにしたらそんな役職にその年齢で付けるわけぇー」

「企業秘密だ」

「お兄――じゃない、優先輩どこにいる? 行きますよ」

 奥から優樹菜の呼び声が聞こえて優は慌てる。

「しまった、あいつらどこに行った」

「あ、それならあたしが案内するよ」


 優は彼女のあとに続いて奥に進むと地下の階段に続く通路の前で雪菜が憤慨した面持ちで待っていた。

「どこいってた?」

「ちょっと立ち見してたんだよ。エリスは?」

「もう、下行ってる」

「そっか。ああ、そうだ案内ありがとう」

「どういたしまして。あ、そうそうなんなら下まで案内するよ。どうせこんな店マニアックなやからしか来ねえから手空いてんだ」

 彼女はそういうや率先して地下を先行して進む。

「優先輩、女ひっかけて何してる?」

「変な言いがかりだなおい! ここの店員だっての」

「でも、女性」

「ナンパなんてしてねえよ。仕事中なのわきまえてるっての」

 あられもない疑いに優はさすがにカチンときた。

 猜疑心の目から逃れるように優もいそいそと地下へ降りた。


前後編となります。


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