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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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『魔法競技ランク戦大会』の裏事情 前編

 放課後、優は学園長に呼ばれ学園長室へ向かう。


「失礼します」


 優は学園長室の扉をノックしてあける。

 一人、学園長室に客が先にいた。

 その客の目が向き少し圧倒気味になるが深呼吸をして気持ちを落ち着かせて、学園長の反応を待った。


「龍牙さん。やっと、きたましたね。こっちにきてちょうだい」


 学園長室は、いわゆるどこにでもある学校の応接室と変わらない風景。

 壁に立てかけてある歴代の学園長の写真立てに本棚や書類を収納するための棚。中央にソファと机が向かい合うようにして鎮座し、その応接席を見守る形で学園長の席が存在している。

 けれど、今この『共生学園』の学園長こと、齢70すぎの優しい笑みを浮かべる老婆、九条美代は応接席のソファに座り客と話をしていた様子。

「こちらは?」

 優は客の方に目を向ける。

 ぴしっと着こなしたスーツにどことなく威厳が感じられる渋めな顔。

 政治家という雰囲気が似つかわしい70すぎの男。

「こちらは『魔法競技ランク戦大会』の運営委員長をしている佐藤さとう林道りんどうさんよ」

「どうも、林道です。君の話は九条学長から聞いてるよ。特待生の龍牙優くん。いや、もしくは『掃除屋』のDDとお呼びすべきかな?」

 優はすぐに彼が政治家であることを信じた。

 彼女がどこまで説明したかわからないとしてもこちらの素性を話すことを許可してはいなかった。

 あくまで第3者に伝える内容は『特待生』としての身の上にしてくれという話だった。

 なら、彼がこちらの素性に気づいたというのはおおよそ、政治家関係者であるのならば納得いく。

「今はその呼称は控えていただけると助かるんだが‥‥」

「ああ、そうか。すまんね。では、今は『特待生』として接するべきかな?」

「そうしてもらえると助かる」

 優は相手がお偉い人物であろうと構わず私語で対応するように学園長のとなりに腰を下ろした。

「で、話ってなんだ? 林道さんに会うだけって感じじゃないだろ?」

「ええ、話というのは――」

「私から話そう」

 林道が口を挟み込み一枚の書類を取り出した。

「再来週、『第20回魔法競技ランク戦大会』が行われることはご存じだね龍牙くん」

「ああ、そりゃぁな。学園ではその話題で持ちきり出し俺も幾度かテレビの放送で拝見してる。有名な大会だ」

「なら、話は早いね。大会は毎度のことながら『共生学園』の敷地の一つである第5スタジアム――通称、共生ドームで行ってるが今回この20回大会はちょっと、変わった場所で行うこととなっている」

「あん? どこで行うってんだよ?」

「都市大型施設、マジックオフィシャル」

「っ!?」

 優は息を飲んだ。

 驚愕した。

 都市大型施設、マジックオフィシャルと呼ばれるその場所は世界に最初に異界が出現したとされる山中の中枢区。

 現在は隔離され、地下に膨大な魔力を収束する機械などを蓄えたり、世界の魔力を循環させる地脈の中心部の一つもされる場所。

 立ち入り禁止区域と呼ばれる場所だった。

「おい、正気か! あの場所が壊されたら――」

「実はだね、今回君がここにいるのは事前に調べて知っていたんだ」

「は?」

 何を言ってるのかよく分からず首をかしげる。

「君のような『国家組織』の人間が学園と関わりを持ってる人材を私たちは今回の対処で必要としていた」

「話が見えねえんだが?」

「君の上司とは話はついてる。今回君に頼みたい案件がある」

「仕事の話ってわけか」

「そうだ、これは『特待生』と『掃除屋』の両方としての立場の君に頼みたい」

 どうりでこの林道は最初から暗い表情なわけであり、知っていた素振りを見せていたわけである。

 優をまっさきに『掃除屋』のコード名で呼称したのはそこにあったのだろう。

「で、頼みってのは?」

「大会の場所を変えた意味もそこにある」

「まぁ、話流れで検討はついてる。もったいぶらず話せ。いくらでも対処してやる。アリスと話ついてんなら」

「助かるよ。実はこれが届いてね」

 林道が取り出したのは一枚の紙。

 そこにはこう書かれていた。

『大会をの場所を『マジックオフィシャル』に変更をしろ。さもなくば運営委員の上役をひとりひとり殺していく』

 犯行予告文書。それはまさにそうだった。

 パソコンのワード文書で作成したのだろうと思われる文書。

 文字の形状からしたらMS明朝の36サイズというところか。

 初期設定サイズでそこまで手を混んだ印象は見受けられないので悪戯だろう。

「これはあきらかないたずらかと思いました」

 話にはどうやら続きがあった。

「私どもは無視し、通常通り大会の開催場所を提示、しかしその翌日――」

 優も思い出していた。

 一昨日の新聞で小さな記事だったが60代男性がホテルで病死したとかなんとか。

 しかも、大会関係者という文字もあった。

「殺されてたわけか」

「はい、警察の話では毒殺でした」

 毒殺ということはホテルマンになりすまし毒を持ったのだろうことは容易に想像つく。

 こういう政治家の死は大きな記事にされることは決してない。

 なぜなら、現代においてそういう人材の死亡というのはパニックを引き起こす要因となる。特にマスコミが騒いだりなどで。

 しかも、大会の上役が死亡ということが知れると大会自体に中止の話が持ち上がることとなり生徒の不満や民衆の不満を買うだろう。

 『魔法競技ランク戦大会』は年に1度の一斉一大イベントだ。

「上役の死亡記事はどうにか別の役員の死亡という形で偽造工作できました。そのあとにまた一人また一人と殺されていきました。さすがに現状3人も死んだいまとなっては記事の偽造も難しく大会場所を変更させざる得ませんでした」

「それは理解した。けど、俺に頼みってのはその犯人を捕まえろってことか? でも、もう何もしない犯人を捕まえるのはそれで構わないけど‥‥」

 そう思い優は発言をした。

 犯行予告文を完了させた運営委員に犯人ももう手を出さないのは明白だと思う。

 しかし、違ったようだった。

 林道は大きく首を横に振った。

「犯人を捕まえろってことじゃありません。犯人を殺していただきたい。そして、この大会の安全を保証していただきたいんです。こちらを見てください」

 更に出された一枚の紙を見て優はその紙を掴みとった。

「なんだこれ‥‥」

『大会中、キサマらの運命は終わると知れ。大会と世界は私たちが乗っ取る舞台となる。大会を無事開催できなければ『共生学園』の生徒を全員殺す』

 日時を指定されていない犯行声明文に冷や汗が流れ出した。

「現在『テロ対策室』が対応を行い犯人の目星をつけておりますが当分かかるそうです。ですから、『掃除屋』に依頼をさせていただきました。この大会を無事再会しなければ『共生学園』生徒も殺されます。この学園生徒には私の孫娘も降ります。なんとしても殺されることは避けたい」

 なるほど、犯人探しか。

 やはり、今回大会の観客側に回ることは正解だった。

「それから、今回大会の趣向を凝らしてる部分があります」

「ん? どういうことだ?」

「今まで大会は『学園』の私有地で行われておりましたが今大会はおオフ型の施設ということもあり選手の少なさは施設管理職員の方からも問題となりあちらからの要請で生徒を全員参加及び外部からの出場選手を設けることを提示させられました」

「っ! バカか! テロを悪化させる行為だそれは!」

「わかっておりますがしかしこれは金銭の問題です! あの場所は大型なだけでなく資金を相当つぎ込んでもいる分に使用するとなると資金面が十分に必要であり少数程度の大会に提供はできないと。世界対策統治管理責任者の方にも要請いたしましたがどうにもできず‥‥」

 なんたることだろうか。

 自体を悪化させる趣向のこらし方だ。

 外部からということはその中にもしかしたら犯人が紛れ込んでる可能性もある。

「まだこのことについては発表しておりませんが明朝にでも発表されることでしょう」

「マジかよ‥‥」

 優は絶句するしかなかった。

前後編の話ですので現在これで前編となります。

後編はあすもしくはあす以降となります。

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