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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
43/123

最終局面

「オールクリア、OK。進むぞ」


 徐々に進んで現在『シートコール』ビル50階。

 とりあえず、途中までスムーズに階段で上がった後はエレベーターに乗ってなんとかばれずにここまで来た。


「優さん、前きてますよー」


「あ、わるい。ボーとしてた」


 捕虜役をしいてるリーナに怒鳴られてしまうほど顔にボーとしてたのが出ていたらしい。

 いかんしっかりしないと。

 前から歩み寄ってくる屈強な男。

 いかにも、戦闘にいち早く配備されそうな人材だ。

 すれちがいざま、お辞儀をし二人を連れてそそくさとその場で離れようとする。

 あと数部屋先が目的の装備保管室だ。

 一度目にしてるので覚えている。


「ん? ちょっと待てそこのおまえ」


「っ!」


 男がにじり寄ってくる。

 冷や汗が流れ固まる。

 屈強な男が襟元に手を伸ばし――


「襟が曲がってるぞ」


「あ、ありがとうございます」


「しっかりしろ。じゃあ、俺は外出任務があるからこれでな」


 男が去ってから盛大な一息をついた。


「すっげぇ―緊張したぜ」


「それは‥‥こっちの‥‥セリフ‥‥ですよぉ」


「そうですー」


 友美が涙交じりにリーナがあきれまじりにつぶやく。


「わるい」


 謝りつつも歩をすすめ捕虜の武器保管室に到着。


「誰もいないな」


「みたいですねぇ―」


 周りを一応確認してみると無人の様子だった。

 この場所に誰もいないということは先に外で戦闘を行ってる『組織』の仲間はまだ捕まっていないということだ。もしくは、死亡もしていない。

 中は倉庫のようになっておりいくつもの棚が横一列の等間隔をあけ並んでいた。

 その棚の上に籠がいくつもあり紙の札が貼ってある。

 時刻と囚人の名称が書かれていた。中には囚人死亡という表記まで書かれたものがいくつもある。



「あり‥‥ました」


 友美が狂音からもらい受けた武器を見つける。

 シグ・ザウエルP226Eの形に酷似した白銀に赤のストライプの銃。

 白色のレイピアと緑白銀のロングブレード。

 それぞれに特殊な異界の技術が取り込まれた新型武器。


「俺も自分の手持ちの武器を見つけた」


 優も常に自らが所持していた武器を見つける。

 コルトM1911改造式とバタフライナイフ異界技術仕込みいりの改造武器。

 これで武装は完了できいつでも中から攻め込むことは可能。

 魔法無効化装置があれば魔法は使えないことがあるので武器は必要がある。

 それを推察したリーナによる勧めで武器を回収に来たわけだが――

「このあとはどうするんだリーナさん? あんたの作戦はここまでしか聞いてない」


「そうですねー」


「おい、だれかいるのかぁ?」


 誰かの声が聞こえすぐに身を隠す。

 まさかの侵入者に心臓をばくつかせ息を殺して相手の背後に棚伝いに身を隠し移動していく。


「二人ともここにいろ」


「うん」


「わかりましたー。優さん気をつけて」


 二人はこくりとうなずき、そのまま棚に身をひそめながら籠の間にある隙間から奥を見て男の動向を探りながらその場にとどまった。

 徐々にこちらに来ている男の背後へ優が瞬時に回り込み男の視界をふさぐようにして顔を覆い頭部をつかむ。

 そのまま、首筋にナイフを当てた。


「黙ってろ。しゃべれば殺すいいな?」


 男は3度うなずき優は効きたいことを質問する。


「この会社の社長は今どこにいる? 叫ばずにゆっくりと答えろ」


 男の首筋にナイフを当てながら答えさせる。

 ゆっくりと紡いだ言葉。

「誰がしゃべるかくそがっ! だれ――」


 男の顔を負う優の左手は発熱する。

 灼熱の炎のように男の顔を焦がし始める。

 男は悲鳴を上げようとしたが声が出なかった。

 ナイフが発光し男の声をナイフ伝いに魔法でしゃべれなくしているのだ。


「いいな、今魔法を解く。おとなしくしゃべれば次は痛みはないだろう。しかし、もし騒いだりこちらの意思とは無関係なことをしゃべればその顔は吹き飛ぶぞ」


 痛む顔と恐怖の汗を垂らしながら男は素直にうなづき魔法を解除する。


「1階だ。約2名の捕虜を裏切者だったと思われる社員が搬送してきた。それの出迎えに向かわれてるはずだ」


「そうか、サンキューな」


 用がなくなり顔を覆った手に雷を宿らせ男の脳に電気ショックを与え気絶させた。

 一時的なマヒ程度。

 しばらくすれば起き上がる。

「てなことらしい、二人とも聞いてたな」

「はいですー」

「うん」


『警報発令警報発令! B-1、2区画囚人が脱獄したもよう! 警報発令警報発令、囚人が脱獄した模様、ただちに社内の捜索に移り囚人の確保を要する!』


 突然の警報。

 どうやら脱獄がばれたようだった。

 でも、落ち着いた気分で優は二人を見た。

 あせったように二人はわめき散らす。


「ど、どうするんですかぁ!?」


「どうするのー?」


 友美は激しく狼狽するのに対してリーナも落ち着きはらった声でも顔には焦りが浮かんでいる。

 ここに現れる性格。


「まず、おちつけ。そう簡単に捕まりはしない。予想が正しければ――――もうそろそろ」


 外のしかもかなり下の方からの爆発音と同時にビル全体が揺れる。


「次はなんですかっ! もういやですぅ」


「お仲間さ」


「え、えぇ!」


 友美が疑問を受けた瞬間だった新たな警報が鳴った


『警報発令警報発令! 1階ホールにて敵の侵入を確認。ただちに社員全員対処するべし。ただちに対処するべし』


「だろ」


「だろって‥‥‥‥1階ってさっき捕虜がどうので『シートコール』のボスがいるとか言ってましたよねー」


「そう‥‥です」


「推測だが、たぶん『掃除屋』主体で今は作戦が動いてる。

 下に来た裏切者だったと思われる仲間とその男が言ってたがたぶんそいつらは『こちら側』に寝返ってる司法取引した囚人だ。

 そして、そいつらが連れてきた囚人ってのはおそらく囚人じゃない偽装作戦で乗り込んだアリスと誰かさ」


「じゃあ‥‥仲間‥‥助け‥‥‥来たんですか?」


「まぁ、そんなところだろう。俺が捕虜になってた時監視役の男が外で戦いがあるみたいなことを口で言ってた。

 おおよそ、外部で仲間が構想してるのはあらかじめ知ってた。それにリーナさん、友美ちゃんだって外部からの救援者だった」

「そう‥‥です。でも、私たち‥‥無断で‥‥ここに来たんです」


「なに?」


「私たち―、病院で安静にしてろと言う上からの命令を無視し雪菜ちゃんを無断で助けに来たんですー。

 けど、催眠状態にあった雪菜ちゃんと加倉井に私たちやられてー」


「それで捕まったわけか。なるほど、君らは別の舞台とかいうわけじゃない独断組だったのか。どうりで、仲間の救援が遅いわけか」


 先ほどから実のところ仲間の救援が遅いことを疑問に思っていた。

 彼女たちが救援組ならば仲間の一部が内部に乗り込んでるだろうことを予測していたが一向にその気配はない。

 なぜだろうか。

 やられたかなど憶測を考えていた。

 たしかに、敵の中には最強クラスがごろごろいた。

(あのサードとかいう男もそこが知れない迫力はあったしな)

 生唾を飲みこむ。


「一つ‥‥いい‥‥ですか」

「なんだ?」

「そこの仲間に雪菜ちゃんのこと聞いてませんけど‥‥居場所わかるんですか?」

「ああ、襲われたときに魔力の追跡装置みたいなのをくっつけてたんだ。だから、あいつだけはどこにいるか理解してる。

 けど、今のあいつは正気じゃないからあったら即戦闘だ」

「そう‥‥ですよね」

 気を沈ませる友美の頭を撫で「大丈夫だ。あいつはすぐおもいだす」と彼女を勇気づけさせる。


「さぁて、下に行くぞ」


「ですねー」


「雪菜も下にいるから二人とも心しておけよ」


「「っ!」」


 黙り込みながらもにこやかな笑みを浮かべた。


「覚悟‥‥できて‥‥ます。雪菜ちゃんに‥‥私‥‥のこと‥‥思い出させ‥‥ます


「由紀奈にお灸をすえなきゃ気が済まないですよー」


 リーナと友美は勢いに乗って囚人用に扮装していたローブをはぎ取った。

 その下には制服を着用済み。

『共生学園』の制服は魔法訓練や戦闘訓練が授業のカリキュラムとしてあるので制服には対刃対銃繊維になっているし、

 対魔法障壁用――異界特殊物質であるコーティング繊維も使用されている。


「あ、おい」


「どうせもうパニック状態ですー。バレるのがオチですよー。だったらこのまま行きますー」


「まったく、危険度ますぞ」


「私たちは乗り込みに来たんですよー」


「‥‥はぁ、確かにそうだったがよぉもう少し考えてスムーズに行動したいんだがなぁ」


「そんな簡単に事は運びませんよー」


 元気がよい感じはこっちまで勇気づけられる。

 彼女は精神が強いことを認識させられる。


「それから、これ」


 リーナはさっき回収した一つの銃を渡した。

 シグ・ザウエルP226Eの形に酷似した白銀に赤のストライプの銃だ。


「おい、これはお前らのじゃないのか?」

「薬膳狂音さんがあなたにと」

「俺に?」

 

 銃を彼女へ注文した覚えはない。

 どういうことか疑問に感じる。


「もうしわけないですー。そのー、私たち病院を無断で外出する際に薬膳さんと交渉してこの武器で戦うようにと。その武器には相手のDNAを採取する機能がついてるらしいんですよー」


「そういうことか」


 なるほど。

 そういうのならば仕方ないのかもしれないがこれは一応持っておくと決め込み腰のホルスターへしまい込む。


「一応、もらっておこう。彼女の作った武器は時に『国家組織』を助けてきた。今回も役に立つだろうしな。まぁ、DNA採取はおいておくとして」


 苦笑いしながらあのマッドサイエンティストの顔を思い浮かべてぞっとする。

  

「さぁ、最後の戦いと行くとしようぜ!」


 ドアを蹴り破って最終局面を迎えるように優、リーナ、友美の順に列をなして駈け出した。

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