脱獄
「――――なるほど、作戦はそれでいいと思うがうまくいくのか?」
特別任務対象部。通称、『特部』。
特別の任務を対象に対処する警察の一組織であり、政府管轄の秘密組織。
これは異世界とつながりを持ってからできた部署。
その彼女たちは主に活動をするのは特殊的な捜査。
『掃除屋』が主に異常な犯罪を取り締まるのに対して彼女たち『特部』は特殊的――例えば、とある令嬢の護衛やとある組織の情報を集めるなどといったことを行う。
警察が政府が関わる犯罪に介入できない組織である一方で彼女たちは政府管轄の警察組織であるという理由からそう言った犯罪も取り扱える組織集団。
特にそう言った主だった犯罪を行うに当たり彼女たちは策案や行動を主に自分らで行う。
優の場合は主に策案は別の部が担当してるために作戦を考えることが得意ではない。その考えで彼女らに任せる配慮を取った。
「うまくいきますよ―。今回『掃除屋』の右腕たるあなたがいてくれるのですから―」
「そう、期待を持たれても困るんだがな。まぁ、あまり期待しないでくれよ。それで、いつ行動に移す?」
優は扉の方へ徐々に歩み寄ってそっと天井を見上げる。
天井には首輪と繋がる赤外センサー装置。
もし、囚人が脱獄行動をとった際――牢獄から抜け出せば天井の装置が作動し首輪に信号発信を送り爆発することを見切っていた。
「天井のセンサーをどうにかしないと脱獄も難しいぞ。それに、この拘束具もだ」
体につけられた拘束具。
足枷、首輪、手枷。
それぞれが魔力無効付与、爆弾仕込まれた異界金属の丈夫な拘束具。
無理に外してもセンサーにひっかかる。
「そうでした。そのことを懸念していましたー。策をもう一度やり直しです―」
ショックにうなだれる声が聞こえ優は嘆息気味に首輪と天井を見上げる。
「仕方ない」
神経を研ぎ澄まし目をつぶる。
体に宿る魔力を徐々にほとばしらせる。
拘束の魔力無効化の力が阻害するように体中に電流が走るがその電流が優の魔力に結合するように飲み込まれていく。
「多少寝たおかげかなっ!」
瞬間、天井の装置に電流が走り「ピピッ」と音を鳴らし首輪が「ガシュー」と音をたて外れる。
「なんですか―今の音?」
「解錠した」
「はいー?」
リーナが素っ頓狂な声を上げ何が起こったのか理解してはいない。
優はずれた首輪を軽くもう一度首に絞め、いつでも取れるように細工を施す。
手枷、足枷も同様に取り外せており、同様の細工を施した。
「リーナさん、先ほど考えた作戦を今から行うからそっちも準備しといてくれ」
「はいー?」
その理解してるか理解していないかの間抜けな返事はなんだろうか。
「準備を頼むと言ったんだが聞こえてたか?」
「枷をどうやって外したんですか―!」
間を開けたびっくり仰天した声が監獄内に轟いた。
顔をしかめながら耳を押さえて答えるのがおっくうではありつつも優しく答える。
「この程度は魔法でどうにでもなる」
「魔法って魔力無効化が‥‥」
「俺の魔力を抑えきれるほどこの枷は頑丈じゃなかったってことでしょう」
「‥‥そんな理屈ありませんよ―!」
わめき散らすリーナを無視して優は扉の窓から外をうかがう。
監獄にはまだだれ一人入ってはこない。
まず、第1の策の実行には第3者が監獄内に入ってこないと始まらない。
「ちょっとー聞いてるんですか―龍牙さーん!」
「リーナさん、今は仕事中だ。俺のことはなるべくDDと呼称していただきたいんだけどな」
「うぐっ‥‥申し訳ありませんよ―」
なんだかふてくされたような声色。
優頭皮を掻き毟りながら面倒だなぁ―と思いふける。
「リーナちゃん‥‥おちついて‥‥作戦‥‥進行できるなら‥‥いいと思います‥‥だから‥‥優さん‥‥どんな行動して‥‥関係ないんじゃない‥‥ですか」
「そうですけど―、少しは説明くらい欲しいです―。魔法で魔力無効化の枷をどうにかしたなんて―矛盾してるし―」
「そう‥‥でも‥‥今は‥‥脱獄だけ‥‥考えるべき‥‥だと思うよ」
友美がうまくリーナをなだめてる間に監獄内に第3者が入ってきた。
(やっと来たか)
息を殺し、扉により近づいて反撃態勢をとる。
「おい、ヘッセンドルス! こいつ仕事無視で寝てやがる。のんきに寝やがってこっちだって疲れて眠いってのに! おい、起きろ!」
入ってきた長髪にピアスのがらの悪いホストクラブ系男子ががたいの良い監視役の男、ヘッセンドルスを蹴りつけている。
しかし、ヘッセンドルスは起きる気配すら見せない。
「――ったく、勝手に鍵拝借するぞ」
ホストクラブ系男子は両手にはスープの皿をもっている。
食事を運んできた様子。
この時を待っていた。
扉に窓は付いていてもその窓は開け閉めできるわけではない。
扉の下にも刑務所の様にわずかの隙間があるわけではないので囚人に食事を与える際には絶対に扉を解錠しなくてはならない。
扉の解錠もするのも相手が爆弾つきの拘束具をつけてるので反抗できないだろうと相手は絶対思い入ってくる油断を突く作戦。
そう、入ってきたと同時に相手ののど元へかぶりつくのだ。
扉がゆっくりと開き男が入ってくる。
手には鍵と爆弾機動スイッチ。
「よーし、うごくなよ」
男がスープの入った小皿を置き、出ようと背後を剥いた直後、優は男の首を手錠で占めにかかった。
「―――っぐぁ‥‥この!」
突然の本校にあわてた男はすぐに機動スイッチを押した。
「爆発‥‥しな‥‥うぐ‥‥ぐがが」
ついにもがき苦しみ出し意識を失った。
男を放り捨て優は鍵を奪い去って拘束具をすべて再度解錠した。
「ふぅー、これで自由か」
優はそっと、男を見て先の言葉を思い出す。
「朝食ということはもう朝がたということか」
「優さん‥‥どうかされたんですか? ‥‥はやくだして‥‥ください」
「わるい。今すぐ出す」
優は急いで隣の牢屋の扉を解錠し、中から二人が出てくる。
二人とも拘束具つきで先の優と同様の姿。
「二人ともじっとしてろ」
優はそっと右手を掲げて「稲妻よ」と言葉を発した。
リーナ達が入ってた牢屋の天井のセンサー装置に電流がほとばしり「ピピッ」と音を流し「ガシュゥー」と続けて拘束具から音が鳴る。
重々しい音で地響きをおこし、拘束具が地面に落ちて二人が自由な姿となった。
「本当に魔法でやったんですね―」
なにか関心と疑いを交えたような瞳でリーナが睨む。
「なにかおかしいか?」
「いえ、もしかしたらあなたは『シートコール』とつながりがあり解錠の仕組みをあなたの魔法では出来ることを知っていたんじゃないかと考えたんですよ―」
「俺が敵だと疑ってるのか‥‥」
無理もないことか。
普通に考えれば魔力無効とはすなわち魔法を使うことを阻害する。
拘束具にはその機能が備わっていたのに優は容易に魔法を使い自らの拘束具を説いたとなれば疑いに目を向けられる。
「なら、俺がシートコールの一員じゃないことを証明しよう」
「何をする気ですかー?」
優は監視役の男をつかみ上げて平手打ちをかました。
「ちょっと、何をする気ですか―!?」
ヘッセンドルスは痛みの衝撃で薄く眼を開きケ尾を上げた。
「貴様、脱獄を――」
そのあとの言葉をヘッセンドルスは言えなかった。
かわりに喀血した。
なぜなら、自らの腹部に優の腕が貫通していた。
「き‥‥さ‥‥ま」
「自分の人生を恨んで安らかに逝け」
「ぐふ」
貫手を抜き去り優は平然とヘッセンドルスを炎の魔法で炭と化させた。
「俺は今シートコールの仲間を殺した。これで、疑いは晴れたはずだ」
あまりにも狂気的な行動に二人の顔は青ざめ引いていた。
優にしてはどうってことのない反応。
仕事をこなしたまでにすぎないのだから。
「わ、わかりましたー。あなたを信じます―」
ただ、そうリーナは彼に歯向かえば死を予期し反抗精神を見せないようにと信用することを返事した。
一度15時くらいに投稿をしておりましたが加筆を加え再度1時に投稿しております。
ぜひ、習性の新規話になりますので読者の方お読みくだされば幸いです




