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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
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プリズン

 アリスと伊豪は地下階層の牢獄――国家秘特許ビル囚人収容施設『プリズン』に来ていた。

 交渉契約を持って行かされた極悪犯罪者の巣窟と呼べるその場所。

 白い空間に包まれ各部屋――ホワイトボックスと呼ばれる部屋に囚人が収容されていた。

 壁伝いに並んだ部屋の間を歩きながら見渡す。

 わずかにホワイトボックスの窓から見える囚人たちは待遇がいいからかやけにおとなしい態度を示すものもいれば殺気をみなぎらせいつでも寝首を狩ろうと眼光をするどくさせてる者もいる。

「ここです」

 『プリズン』の管理官が一つの部屋の前に立ち止まった。

 囚人名、御厨かなでと名義が記載されていた。

 そして、その隣に並んだ部屋の囚人名、茨木童子、湖乃故鼎。

「また、あんた? かなでに何の用かな―、いえーい!」

 あいもかわらないうざったい口癖を吐く彼女にアリスは目を細め、口を開いた。

「あなたたちに手伝ってもらいたいことがあるわ」

 その言葉を聞いてぴくりと隣の部屋の二人も反応した。

「手伝いだぁア? こちとら手伝う気でいたのにこの仕打ちだぁア。いまさら手伝う気にはなれないなぁア」

「そうっすね」

「聞かなかったかしら? あなたたちはまだ収容期間がある。1週間後にはしっかりと解放されるわ。それまでの辛抱といったはずよ」

「きにいらねえなぁア。あたしらは仲間になったはずだぁア」

「仲間? 勘違いしないことね。あなたたちはこちらの仲間ではない。あなたたちはただの交渉相手よ」

「ちっ! あの男はどうしたぁア? ここにきてからいちども顔をあわせてないぜぇエ」

「彼は忙しいの」

「‥‥なるほど。その顔なにかあいつにあったなぁア。それで私たちに助力か」

「詮索をするな小娘」

 童子のアリスの言葉に伊豪は割り込むように童子を睨みつける。

「だれだぁアあんたぁア?」

「警察の者だ」

「警察だぁア? ぎゃははは! あの無能な組織のかぁア? こりゃぁ傑作だぁア」

 伊豪は挑発を受けてなお冷静に顔をしかめる。

「無能か。対かに言えてる。現状警察は無能どもの集まりにすぎない。だからこそ『掃除屋』や『テロ対策係』などの国家秘匿組織が立ち上がりきさまら囚人どもを捕縛する任務を請け負ってるわけだ」

「へぇー、やすいちょうはつにはのらないってわけかぁア」

「挑発とは私には思わない。そんな無能より無能な囚人の言葉は特にな」

「なんだとぉオ!」

 童子が窓際に顔を押しつけ噛みつかんばかりに食ってかかる。

「それよりも何の話っす? 手伝いってどういうことっすね?」

「単刀直入に言うわ。あなたたちに潜入スパイを行ってもらいたい」

『っ!』

 3人が息をのんでアリスと伊豪を見た。

 しだいに馬鹿げてるとでも言うように笑いが上がった。

「なめられたものだなぁア。あたしらが自分らの立場を理解してないとでもぉオ? サードはアタシらが侵入した時点で即抹殺するぜぇエ」

「そうっすね。絶対」

「かなでも言ってる意味わからなーい。いえーい」

 拒絶の反応。

 予想通りの彼女らの反応にアリスは嘆息しながらこう言葉を付け加えた。

「それなら心配ない。もし、あなたたちがあちらの仲間となるような手がらをたてて戻れば殺されることはないんじゃない?」

「ああん? どういうみだぁア?」

「どういう意味っすね?」

「かなでも詳しく願っちゃおうか。いえーい」

 緊迫する空気。

 会話するだけでも疲れそうなくらいだった。

「あなたたちはこれから私たちに簡単に外れるように施された手錠をかける。そして、私とそこの彼、伊豪さんを囚人として『シートコール』へ献上するように向かう」

「ははっ、なるほど、確かにいい手がらをたててる。仲間に戻っても申し分ない手がらだ。サードもあんたらのことは熟知してるだろうな。とくに女、お前のことは聞いたぜぇエ。『掃除屋』の社長なんだってなぁア」

「‥‥そうよ」

「――ってことはだぁア、そこの男も相当な手誰と役職の人間だぁア。そいつらを献上させてやればあいつらもわたしたちがまだな仲間だと信じるわけだぁア」

「その通りよ」

 童子は顎をしゃくりながら考え込んだ。

「でも、あたしらはそう簡単に手伝う気にはなれねぇなぁア。それなりの条件をつけなくっちゃ」

「条件?」

「そうだぁア。無断釈放」

「――できないな」

 そこに伊豪は否定の言葉を挟む。

 アリスはそれを止めようとしたが伊豪の目が黙らせた。

「あぁん? 立場をわきまえてもらいたいのはそちらだ。おまえらは一度囚人となっているこれは交渉の話ではない。命令だ。この命令に従えば貴様らはすぐに釈放される。しかし、監視つきの釈放だ」

「ちっ、あくまで命令。くくっ、交渉ではないとぉオ?」

「そうだ。下手な真似をしてみればすぐに抹殺執行せよという命令まで貴様らには出ている」

「‥‥わーったよ。従ってやるさ。かなで、鼎。おまえらもそれでいい名だろぉオ」

 かなでと鼎は頷いた。

 この3人の立場ではどうにも童子が一番上だ。

 童子、彼女は一体『シートコール』でどのような立場にあったのか。

「一つ聞かせてちょうだい? 茨木童子、あなた『シートコール』での役職は? どうにも第3調査隊隊長のかなでよりも上と見るけれど」

「そんなこと聞いてどうする気だぁア?」

「潜入において有利に働くカギがあるかもでしょ」

「執行部隊長補佐さ。執行部隊は『シートコール』では戦闘で借り出されてた面で非常に優秀な立場だぁア。だから、その二人より優秀なんだぁア。鼎にいたっては単なる一執行部隊隊員にすぎないからなぁア」

「あなたがたがなぜ『潜入スパイ』にえらばれたの?」

「サードの奴が戦闘が流可能性を見越してからだぁア」

「そこまで予測を? ただ、次号を内部崩壊させる作業でしょ?」

「あんたらが嗅ぎづけてたのを気づいてたってことだろぉオ」

 アリスはサードという男に畏怖した。

 こちらの隠蔽的工作はばっちりだったはず。

 なのにサードは容易に理解をして戦闘を見越していた。

 学校内で『掃除屋』がまぎれてたのを知っていたというの。

「まって、あなた執行部隊長補佐といったわね? じゃあ、加倉井杏里を知ってるの?」

「‥‥あのおんなか」

 童子の顔が一気に暗くなる。

「なに?」

「あの女はやばいぜぇエ」

「え?」

「あいつは殺人マシーンさ。それとあいつは加倉井杏里って名前じゃねぇエ。本名は――」

 そうして語られた名前にアリスは聞き覚えがあり目を見開いた。

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