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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
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アリスの苦悩

『掃除屋』がある国家の系列する新秋葉原の国家秘特許ビルの『国家特別暗部殲滅掃討委員会』の社長室。

 アリスは結局はすぐに彼を追いかける行動をしなかった。

 負傷した体では足手まといになるとそう判断した。

 それでも、自分の代わりに行かせた人物がいた。

 その人物からついに通達が来た。

『――状態です。状況は最悪です。こちらの部隊も敵と交戦中。相手もこちらが動いたことに感づき旧川崎駅で待ち伏せをくらいました』

「相手を速やかに殲滅し、部隊長候補を必ず一人はひっとらえなさいよ」

『了解です』

 通話が遮断されてアリスは優が飛び出した時のことを思いうかべた。

 幼馴染だからこそ彼の性格はよりわかる。

 何事も常に解決しないと気が済まない性格であり優しい性格が彼。龍牙優だ。

 その彼は雪菜が捕まったとあれば飛び出してしまうの無理はなった。

 (あの状況で私もオープンコールは間違いだったわね)

 優と同じように任務へ無断で乗り込んだ人物が2名ほどいる。

 無論、彼女ら2名のことも知り得ている。

 でも、この報告の内容が来ることは理解していた。

 彼女ら2名もまた、北坂雪菜と親友という立場であった人物。

 いくら仕事でそう言う立ち位置にいたとはいえ情がわいたのだろう。


「とりあえず、私の出来ることをするべきよ」


 すぐに地域パトロールの係『見周り組』と呼ばれるところに連絡をかける。

 彼らは主に周囲の治安維持政策をし、とくにヤンキーなどの未成年の抗争を取り締まる係である一方特殊な犯罪も中には取り扱ったりする傾向がある。

 そして、そこはすぐにこちらに連絡をよこす手筈となる組織の連絡船でもあるのだ。

 私はその組織の人物と会話を交わし、机に置いてあった紅茶を一口飲んで心を落ち着かせる。


「川崎駅で雪菜の目撃情報ですって!?」


『はい、つい数時間ほど前です。彼女らの目撃証言が得られてますが友達といたらしく両方とも見逃してよいかという形になって――――未成年の抗争かも怪しく、ただの魔力練習ではという話になってしまい――』


「バカ! 怪しいと思いなさいよ! あなたったち新しい情報受け取ってなかったの! 北坂雪菜はとらえられてるって!」


 叱責し電話を打ち切った。

 彼らが言う友達が加倉井杏里なのは明白。

 杏里は敵側なのだ。

 その情報すら行きわたっていなかったというのか。


「本当に役に立たないわ」


 顔全体を両手で覆いかぶせ知恵熱がこもる頭を悩ませた。


「どうすれば‥‥‥‥」


「おー、アリスさん。悩ましい顔を浮かべているな」


「伊豪さん!?」


「ちょっくらいいか?」


 部屋に新たに入室してきたのはハンサムな渋い顔の三十路の男、

亜人種能力調査官長兼警察特殊急襲部隊長の伊豪正宗。

 めったに来ることのない人物の来訪に衝撃を受ける。

 

「どうしたんですか? 伊豪さんがこんなところに来るなんて」

「ウチの警察関連の所属組織の2名が無断行動をとったらしくってそっちで何か情報がないかと思ったのさ」

「その件ですか。わたしもその件に関しては知っておりますが二人が今どこにいるのかは知りえません。詳しいのは薬膳さんじゃありませんか?」

「薬膳か。あいつとは話が通じないからここに来たんだ」

「‥‥なるほど。こちらも知りたいです。彼女らがもしかしたらウチの社員と遭遇してるかもしれませんし」

「DDか」

「はい」

「君のところの社員、例の右腕が独断行動するとは私も驚いた」

 伊豪は顎をさわりながら遠くを見すえるようにアリスの方を向いて机にあった資料を手に取った。

「これで全部なのか関連資料は?」

「はい」

「なかなかよくまとめられてる。そういえば聞いたか? DDは可能から『シートコール』の偽造パスを受け取って向かったらしい」

「えっ!? それは聞き及んでいませんでした」

「そうか。可能に聞いてみるといい。そうだ。あと私がここに来たのはもう一つあるんだった」

「はい?」

 伊豪は一枚の書類を提示した。

『釈放許可書類申請書』

 特例中の特例で警察が唯一囚人を釈放できる申請書類。

「ッ! 伊豪さんこれはどういうことですか! 彼女たちは確かに交渉いたしましたがまだ情報が不十分なうえに釈放はまずいです。彼女らの身に危険が――」

「警視庁と国防省長官の命令でもある。『シートコール』の元社員を利用し社内へ私と君で侵入しろとの命令だ」

「っ! な、何を言ってるんですか!」

 さすがのアリスもこれには動揺した。

 上が何を考えてるのか理解できない。

 ここで彼女らを釈放はリスクが大きすぎる。

 危険が増えるだけにしか過ぎない。

 彼女らの安全を考慮していない。

「さっそくだが、一緒に囚人の部屋の地下階まで来てもらいたい」

 上からの命令ではアリスもさすがに断れない。

「わかりました」

 伊豪と一緒にアリスは地下へ向かう。

 その表情は苦悩を重ねた決断の立ち上がりだった。

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