アリス『シートコール』の無断訪問
アリス・クリスティア――国家特別暗部殲滅掃討委員会―――通称、『掃除屋』のトップ。
彼女が現在の役職に就いたのは運命といえた。
2142年のとある大きな事件。
その年まで国家特別暗部殲滅掃討委員会―――通称、『掃除屋』のトップだった男、ディド・クリスティアの死亡・何者かによって暗殺された。『掃除屋』のトップの暗殺事件。
政府の秘密組織ということもありその事実は表立ってマスコミ関係者で騒がれることではなかったが政府内ではひどく騒がれた。
彼を殺した者は何者なのか。
すぐに作戦が開始され、その年までの世界対策統治管理責任者――遠井優、現在『掃除屋』の右腕――龍牙優の父親のもとに暗殺事件調査が行われたがそのあとに続けて起こった大きな事件。世界対策統治管理責任者が行方をくらました。
当初は彼が犯人だったのではと騒がれたが結局のところ彼の性格をよく見てる者が多くその疑いはすぐに晴れた。
その代わりに彼もなんらかの原因でディド・クリスティア暗殺事件の犯人に抹殺されたのではという疑いが深くなった。
結果は、事件の犯人はわからず闇にほうり捨てられた。
――アリスは過去の詳細を思い出しながら一つのビルの前に立っていた。
ビルの入り口の壁には会社名が記載されていた。
銀淵プレートに刻まれた名前は『シートコール』。
アリスはいつもの仕事用防刃防弾スーツに身を包み、サングラスをかけながら悠然と中へ侵入する。
カウンターフロアの係が目を止める。
「お客様、ここは関係者以外立ち入り禁止です」
「ここの社長に合わせてちょうだい」
「約束をお取りになっていらっしゃるんでしょうか?」
「いえ、約束はとってないわ。ただ、面会を願いたいだけよ」
「それは難しいお話です。わが社の社長は大変お忙しい方ですので無断の訪問および約束は受け付けておりませんので」
アリスは険しい顔つきでカウンターの係を睨みつけた。
カウンターのかかりは普通の一般人ならその眼光でひるみはするが余裕とした態度でにこやかに笑みを浮かべていた。
(普通の一般社員ではないってことね)
さすがテロ組織ということ。
「お客様、面会の内容というのはいったいどのようなものなのでしょうか?」
「なぜ、一社員のあなたに話さなくてはならないの?」
「こちらも業務ですので面会の取り持つ際に内容によっては早急に手配できるようにいたします」
「‥‥‥‥」
悪い話ではないがアリスは釈然とせず話そうとはしなかった。
「今日はいいわ。帰らせてもらうわ。ただ、次回以降の面会の予約だけさせてもらえる。内容は業務について」
「さようですかわかりました」
アリスは受け付け社員に何やら書類を手渡される。
「では、こちらに名義を記入ください。それから面会の重要な希望時間及び曜日と連絡先もご記入をお願いいたします」
白枠組みと白線が一本敷かれた紙。
なっら、文字は記入はされておらずアリスは大丈夫と判断し記入をする。
「では、承りました。希望日時に面会の取り付けが決まり次第ご連絡いたします」
「わかったわ」
アリスは広いホールを見渡してから出入り口まで向かいあるきだした。
その背を見送るカウンターフロアの社員の目が研ぎ澄まされ手元の受話器を使いとある場所に電話をかけた。
「社長、怪しい女が一人まいられました。対処の方はどういたしましょう?」
『わかった。数人監視につける。女の同行を見逃すな』
「了解です」
通話を終えるとカウンターの社員はカウンターフロア内にあるエレベーターから降りてきた一人の社員に声をかけた。
『共生学園の制服』を身につけた『潜入社員』の一人。
「あなた、ちょっといい?」
「なんス?」
「さっき、銀髪のスーツの怪しい女が来ました。彼女の追跡をお願いできますか? 社長からの命令でもあります」
「はぁ? なんで私が? あんたがいけばいい話ッス」
「わかりませんか? 私は受けつけ役を引き受けて手が離せません。見たところもう非番のあなたにお願いを申しあげます」
「ちっ、了解ッス」
そう言われ彼女は急いで走りだし、外へ出る遠くに一人目立つ銀髪の美人の後姿が見える。
「あれッスか」
たしかに怪しい女だと直感的に感じ取り『シートコール』の学園潜入社員は行動を起こす。赤く長いワンテールをゆらし、豊かな胸を動かしながらあとをつける。
悠然と廃街中の歩道を歩く彼女を物陰に隠れながら追跡しながらいてわかったことが『シートコール』の学園潜入社員である彼女にはある。
彼女は普通に駅側へ向かっていた。
「旧川崎駅方面? どうしてそんな場所に向かうッス?」
隔離され廃墟とした街中である駅は当然のごとく運転などしてはいない。
向かうとしたら隔離されてない側――ここから北東先にある街。
しかし、彼女が向かうのは北西の反対――『旧川崎』といわれるこの町の駅。
彼女は街中にある地下通路の階段を使いあるいで行く。
駅デパだったその個所を歩いて行きながら彼女は足を止めた。
「ねぇ、そろそろ出てきたらどうかしら? 追跡者さん」
「っ!」
『シートコール』の学園潜入社員は気配を完全に押し殺しうまく追跡してたと思っていたがばれていたという事実に衝撃を受ける。
「どうしてばれたッス? うまく気配を押し殺してはずッス」
「あれが? なら、もう少し追跡の訓練をしなさい。ばればれよ」
「そうッスか」
『シートコール』の学園潜入社員の赤髪の彼女は大鎌を手元に出現させる。
異空間から取り出した大鎌を振り、臨戦態勢のそぶりを見せる。
――アリスは微笑んだ。
「なにわらってるッス?」
「力量も測れない若造が私とやるって言うんだからこれが笑わずにいられるの?」
「なめるんじゃないッス!」
『シートコール』の学園潜入社員は動き踏み込み切迫する。
大鎌を殴るように横から振りかざすがその刃をアリスは素手で食い止めた。
「なっ!」
刃が凍りつき始め『シートコール』の学園潜入社員は気付いた。
「『亜人』ッスか」
「そういうあなたもでしょ?」
アリスは大鎌事彼女を持ち上げ弾き飛ばす。
「っ‥‥‥‥」
『シートコール』の学園潜入社員は一息つけ、気迫の声を上げると体が変貌を遂げる。
赤黒いオーラが放出され彼女の頭部から日本の角が生え、目元から顎先にかけて赤い入れ墨のような文様が浮かび上がり、衣装もボロマントを背負った学生服姿に変わる。
「死神ね、一度手合わせ願いたかったわ」
アリスは驚きもなく至って平常とした顔つきをする。
『シートコール』の学園潜入社員の怒りに火をつけるその表情。
飛び出しざま『シートコール』の学園潜入社員は大鎌をもう一度切迫して上から今度は試みて振り下ろしたがアリスには通用しない。
人差し指と中指で『亜人』とかした力で風呂下ろした刃を止められもはや言葉が出なかった。
『シートコール』の学園潜入社員は気付いた。
彼女とは力の差がありすぎたことに。
「今度は私の番ね」
そう一言、アリスは漏らし彼女の背後に回り込む。
『シートコール』の学園潜入社員の眼には消えたように映り込んだ。
「氷結鎖刃」
アリスの右手のひらから氷の鎖が無数に放出され至近距離から『シートコール』の学園潜入社員は攻撃をくらう。
体中を鎖が切り裂いていき『シートコール』の学園潜入社員は間合いを取って逃れる。
しかし、あとを追ってくる鎖。
「暗黒炎!」
鎌を振りかざし闇色の炎が鎖をすべて溶かし吹き飛ばす。
鎖の先にはもうアリスの姿はない。
アリスは移動をしていた。
『シートコール』の学園潜入社員の再度背後に。
「終わりよ」
「っ!」
「氷牙風斬」
具現した氷の虎の頭部が砲弾のように発射され『シートコール』の学園潜入社員を竜巻の波に乗せて切り刻んだ。
その竜巻には氷の破片が散りばめられており、体中を切り裂くのにはとてつもないダメージを与える。
地にたたきつけられた彼女は動くことがかなわない。
「あぐぅ」
「あなたは何者か聞きたいところね。その制服は『共生学園』のもの。あなた名前はなんて言うのかしら?」
「名乗るわけ‥‥ない‥‥ッス」
「あら、そう」
ホルスターからアリスは銃を取り出す。
白銀のコーティングが施された銃。
デザートイーグル。
アメリカ合衆国ミネソタ州のミネアポリスにあるM.R.I.リミテッド社が発案し、イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社(IMI)とマグナムリサーチ社が生産している自動拳銃。
威力と反動性が強く、女性には扱いが無髄などという噂のある拳銃だが、アリスは長年愛用してるこの銃を容易に扱いをこなせる腕を持つ。
それを理解してる『シートコール』の学園潜入社員は血反吐を吐きながら死を覚悟し目をつぶった直後に一発の銃声が響いた。
死んだそう確信を抱きながらも痛みは襲ってはこない。
疑問に目を開ける。
「ぐぅ」
アリスは肩口を抑えながら遠方を見た。
「いやはや、寸分のところで助かりましたね。カークライン」
「ちっ! グレンダ」
新たな敵の出現にアリスは苦渋の決断をし、逃走を図る。
しかし、アリスの前に新たな軍団が立ちはだかる。
どれもが金属バッチをスーツの襟もとにつけている。
アリスはすぐに理解できた。
「『シートコール』の団体ってわけ」
「いやはや、察しがいいです。御明察です」
アリスは逃亡が難しいと判断をし、銃を構える。
「いやはやこの人数相手におひとりでやろうという意思はいさぎよいです」
「だったらにがしてもらえないかしら?」
「いやはや、それはできない相談ですね」
アリスは背後を振り返って射撃のラインをグレンダと言われた彼女へ変更をする。
背後では団体がアリスに持ちえた機関銃の銃口を向けた。
「いやはや、こちらはあなたのことを調査済みです。私たちのことをお調べに来たのでしょうが掃除屋現トップアリス・クリスティア」
「ばれてしまったってわけね」
「いやはや、さすが一人で乗り込む強さはおもちの様ですが無謀でしたね。あなたは拘束させてもらいます」
「そう簡単に私を拘束できると思わないことね」
その時だった。
辺り一面が霧状の冷気に支配されていく。
次第にアリスの姿を視界でとらえにくくなる。
「いやはや、見事です。全員一斉射撃です」
グレンダの指示が飛び団体が一斉に射撃を開始。
辺りが銃弾のあらしとなる。
アリスはそれをすべて自らの足を氷漬けにして地面を氷漬けにすることでスケートリンクをすべるようにして移動をしていく。
「ぐぁ」
「ぐへっ」
逆に『シートコール』メンバーは足場を崩し転倒をしていく。
「逃がしません!」
アリスの体めがけてグレンダは自らの右手に作りし雷水の槍を投擲した。
「がぁ!」
アリスは強い痛みの衝撃を受ける。
腹部に陣割と血がにじみ出し大きく開いた穴を見て視界が薄らぎ始める。
しかし、足を止めるわけにはいかない。
背後からはいくつもの銃弾が飛んできてよわりきった体を痛めつけた。
「それでも‥‥逃げて‥‥やるわ」
最後の力を振り絞り踵を返すように背後を振り返り、地面へ向けて光球をぶつけた。弾けた閃光の球があたりを真っ白に染め上げ『シートコール』のメンバーが目をくらませた。
その隙にアリスは逃亡をした。
視界の晴れた先でグレンダは消えたアリスの存在を悔しげに思いながら逃亡ルートを見すえ指示を出す。
「すぐに彼女の追跡を続行しなさい!」
『はっ!』
グレンダは弱り果てた仲間の潜入社員をみてなさけないと思いながらもアリスに賞賛する。
「いやはや、さすがはトップを這ってるだけあります。アリス・クリスティア」




