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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
27/123

事業解明

  ――――放課後。

 ミユリも安全に完治しクリーエルと一緒に仲良く登下校をした中で――

 優は例のスパイ二人組と約束をとり屋上に来ていた。

 屋上はいたって普通の学園と変わらない。

 鉄柵に囲まれた空間がただひっそりとその場にあるだけ。

 通常は立ち入り禁止のこの場所に優は無断でピッキング行為を行い侵入をする。けれど、前回もそうだが無断で屋上に来る行為に慣れてしまっていた。

 屋上の扉を開け二人組と一緒に入った。

「ここなら人はあまりこないから話が出来るな」

 外の風に当たりながら夕焼けの空を見上げる。

 きれいなオレンジ色の空が照らす。

「まず最初に反政府組織『シートコール』って言う存在が行う事業って言うのはなんだ? 何が目的でフェン支社を嵌めようとし、過去にはハーフェス社をおとしめたんだ?」

 『反政府組織』という単語。それはいわゆる『テロ組織』を意味している業界用語。

 ここ最近では『テロ組織』は確かに頻繁に増えてはいる。しかし、大きな組織は、目立った感じはありはしなかった。

 最近の『テロ組織』の構成員は10人程度の構成員が限度である。しかし、デパート襲撃事件においてとらえた御厨かなでという少女からの証言では自分らだけ以外にも大勢の仲間がいるということ。

 彼女が知ってるだけでも構成員の数は1万人以上。

 『シートコール』の企業詳細も午後の授業の合間にネットで優はあらかじめ調べた。従業員数は確かにその規模以上にあった。

 全世界に支社が存在する『シートコール』の従業員数はかなりの数。

 『亜人』も『人間』も従業員にいるので規模がでかいのは容易に気づくことが出来る。

「最初にしては質問がぁアおおいなぁア」

「いいから答えろ。交渉をしたんだ」

「わかってらぁア。そう急ぐなよぉオ」

 二人の少女、鬼の少女――茨木童子、バステトの少女――湖乃故鼎に詰め寄った。時刻は16時を回ってる時間。


「急がせてもらわないと困るんだぁア。こっちは用事がある」

 優は携帯を開きメールを確認しながら返信を送った。

 宛先は北坂雪菜。

『デパートの件で友達が話あるとかいうので一緒に帰ろう。部活終わり次第もう一度連絡するね』

 雪菜たちは仲の良いようで例の4人ともが同じテニス部に所属するメンバーだった。例のことが気にかかる4人は話を聞きたいとのことだった。

 デパート後はなにかといろいろあり優も身体検査を雪菜たちも軽い治療を行ってはいたがそのあとに事情聴取をうけたとかで2日ほど学校を休んでいる。

 そのあとは会う期日はあったにしても優も『シートコール』というテロ組織の実態が出てきたので学校内でも忙しく学外でも忙しく雪菜たちと会う機会が作れずにいた。

 しかし、今日は1歩前進が出来たために1時間程度余裕があるので話を設けるくらいはできると返事をし一緒の下校を了承した。

「用事だぁア? くくっ、それはあたしらを放っておくほど重要な用事かぁア?」

「放っておく? 馬鹿を言うな。お前らはしっかり仲間に護送を依頼してる」

 童子たちは心底不愉快そうにして嘆息をしながらも話を切り出し始めた。

「人って人種は大きく分けて何人いるかぁアわかるかぁア?」

「は? なんの話だ? それが事業とどう関係がある? しっかりと答えろ」

「まぁまぁ落ちついて質問に答えろってなぁア」

「‥‥‥‥」

 優は質問について深く考えた。

 人って人種それはどういうことか?

 人種すなわち人の種類。

 それは『人間』と『亜人』のことかと推測する。

「人間と亜人の2種類だろ?」

「2種類はあってるなぁア。けど、内容が間違いだぁア」

「あん?」

「人って人種は強者と弱者その2種類だぁア」

「‥‥また古典的な答えだな。それで、それがどうした? たしかに人には強者と弱者が存在するのは俺も認めよう。しかし、だからと言って『シートコール』が行う事業とどう関係がある?」

「あら、知らないことないっすよね。『シートコール』の事業内容?」

「それは知ってる。人口を半分に減らす。なぜそうする必要がある?なにをたくらみそんな行動を起こす」

「ああーその部分しかしらねぇのかぁア」

「仕方ないってことっすね」

 二人して面白おかしく笑みを作る。

「言いから話をしろ。立場を理解してるんならな」

「はぁー、いいけどなぁア。あんたにはどうすることもできねぇエぞぉオ『掃除屋』の特待生」

「‥‥どういう意味だ?」

「話をしてもいいさぁア。けど、心して聞くんだなぁア」

「なに?」

「シートコールの社長の名はサード。事業の詳細は支配社会制度をつくることだぁア」

「支配社会制度だと? なんだそれは?」

「『弱者が強者を支配する制度』さ。世の中ぁア、屑な強者がわんさかとはびこってるのは知ってるかぁア。『サード』はそいつらを弱者の手で支配させることをもくろんでるんだぁア」

「ますますわかんねえな。それがどうして人口を半分に減らす話につながる」

「ここまでいいてわからないのかぁア? 弱者の手で強者を支配するすなわち殺すんだぁア」

「なんだと?」

「『サード』が選定した弱者は『シートコール』の従業員。その従業員がさらに屑を選定するんだぁア。その屑な強者どもを『シートコール』さまからの支援でいただいた力で殺しまくるんだぁア。そして世界を支配していくんだぁア。企業を壊して言ったのも選定作業の一端だぁア。使えないと判断した弱者企業はぁアとことんつぶす。つぶされた企業は結局は強者に服従を誓いすぎた企業だったわけだしなぁア」

 まるで現実味を帯びない会話なのにどこか真実味を帯びて聞こえる。

 そんなことを可能にしてしまうそんな可能性に優は体が震えた。

「『サード』って野郎は本気でそんなことを考えてやがんのか?」

「言ったはずだぁア。『支配制度社会』を作るのがぁア目的。あたしらも選ばれた人間だったがぁア。こうしてあんたに負けた以上選定の不合格者になったからなぁアいつ殺されてもおかしくはない」

「そんなの身勝手だろ! 『サード』にそんな権力はない!」

「だが、あるんすね」

「なに?」

 鼎の一言に優は意味不明だとばかりに目を細め怒りににじませながら彼女の胸倉をつかんだ。

「どうしてそういう? 個人が勝手な判断で他者の命の選定など許されることではないんだ」

「く、くるしいっすね‥‥おちつくっすね『サード』って言う男はそれほど魅力的な奴なんすね」

「魅力的だと? どういう意味だそれは?」

「おいおい、交渉したはずのあたしらを殺す気かぁア?」

 優の背後からその肩を童子はつかみぎりぎりと骨がきしむ音を響かせた。

「すまない」

「かはぁ‥‥げほ、げほ」

「特待生、どうにも事情がありそうだなぁア? どうしたってんだぁア?」

「お前らに語る気はない」

 優は過去を振り返っていた。

 自分の父が失踪後に起きた後継者争い。

 支配を支配がよび、死んでいった命。

 その争いの原因で母が病気で死んでいった過去。

「他者の命は個人が支配するんじゃない。個人の自由で生死を決めるんだ」

「まぁ、そうだよなぁア。普通は。しかし、『サード』という男はなぁア言葉に迫力と威厳がある。しかも、実力も兼ね備えた化け物さ。いくら『掃除屋』であるあんたがつよくとも奴には勝てないぜぇエ。それは、計画を阻止できないことを意味してるんだぁア」 


 童子は自分もそれに魅入られた一人だと証言するかのように語る。

『サード』という人物がどれほどの支配力なのかは従業員の数からみてもわかるがそこまでの逸材がどのような姿をしてるのか想像できない。

「シートコール、おまえらはそんなところに臨んで所属したわけか?」


「まぁ、最初はそうだったけど事情も少しあった。中には見いられずに入社してる奴も多数入るがなぁア」

「どういうことだぁア?」

「かねさ」

「かね?」

「借金を肩代わりする代わりに従業員にされるわけだぁア」

「‥‥なるほど」

 あるいみ定番の支配政権だろう。

 金によって個人を縛る。

 ならば、やりようによっては策はある。

「それで、湖乃故鼎あんたも望んでか?」

 鼎に目線を向ける。

 鼎は悩むそぶりを見せてから答えた。


「どっちかというとそうなるかもッスねぇ。私の場合、家系でグルなんで、つられて所属してるって感じで別に私自身どうでもいいんすけれど従わないと殺されるんすね。

 だから従うだけっすね。といっても、湖乃故家はもう私だけっすね」


 要は力に支配された者って感じであった。

 だが、基本悪徳組織の役員集団の典型はそんなものだ。

 いくら年を重ねてもそんなのはかわらない。


「ふぅー、理解した。『サード』という男をつぶせばどうにかなるわけか」


「そう簡単いくわけねぇなぁア」


「っすね」


「どういう意味だそれは?」


「『シートコール』には社長『サード』以外にも力ある猛者は多く所属してるからなぁア」

「なるほど。確かにデパート襲撃事件でも決行実力ある奴はいたな」

 とは言いつつも優は圧倒していた。

 その一人を捕縛までしてるのが現状である。

「今回のことは再度護送先に伝達をしろ。今から校門まで送ろう」

「一度どこかに連れて行かれる感じかぁアやはりぃイ」

「お前らは『シートコール』の従業員だ。交渉した身ではあるがな。しっかりと情報をあますところなく政府に漏らしてもらう。その点身柄は保証しよう」

 そう言いながら優は校門まで送り届け校門先で待っていた『護送係』をなぜか引き受けてる『掃討班』のエリスに二人を引き渡す。

「では、頼んだ」

「そちらも引き続き注意を」

「了解」

 軽く会釈を交わしエリスにつれてかれる二人を見送り優は約束の下校時間まで口内の図書室で時間をつぶすことにして向かうのだった。

誤字修正確認

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