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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
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デパート襲撃事件の終息

 宇佐鳶友美とリーナ・久遠・フェルトにとって北坂雪菜は大切な親友。

 だけど、その二人にとって親友であることともう一つの理由が北坂雪菜に対してある。

 それがあるために二人は北坂雪菜を逃す行動を買って出る。

 実力は自身があった二人だったが相手は格が違った。

「うぅ‥‥‥‥」

「まずいですぅ―」

 傷だらけの二人は息切れを起こしながら体を精一杯に立ち上がらせ魔法を途切れさせないように魔力放出を維持させる。

 手元の武器が魔力で構築された物体である以上魔力放出を途切れさせれば素手で戦うことになる。

「友美ちゃん、あと魔力はどのくらいです―?」

「あと少し‥‥リーナちゃんは?」

「同じです―持って5分」

 緊迫した二人を悠然と見すえるテロ組織だろう男女組。

 二人の思考ではその男女が目撃者の排除を執行して行った殺戮行動だということは推測できている。

 このデパートの客全員を殺すまでこのメンバーは殺りくを繰り返す。

 ここで止めねばならない。

 二人は気を抜けない立ち位置にいることは一目瞭然だった。

「まったくよわいデス。案外強いのかと思いましたが最初の威勢だけよかっただけデス」

「弱い奴は殺す私に近づく奴は殺す」

「かなでにとっては任務執行して目立てばそれでいいけどね―いえい」

「‥‥うざってー」

「始末つけるんだなだな」

 相手の一人も負傷を負わせられずただやられっぱなしの二人に九重重蔵の両手が二人の首をつかみ上げる。

 相手のダメージ蓄積量が一割にして二人のダメージ蓄積量は9割。

 勝ち目はない。

 二人とも死を確信を抱いた。

(任務のためとはいえ無茶をしたです―)

 リーナは目をつぶり相棒の友美だけでも逃がそうと最後の魔法を行使しようと右手に魔力光を宿した時だった。

 九重重蔵の眉間に一発の銃弾が――九重重蔵は何が起こったもか理解できずままに二人をつかむ手から力が抜け解放された二人。

 重蔵の体は後ろへ倒れて大きく音を響かせ砂埃が舞う。

「じゅ、重蔵!」

「っ!」

「なにごとかな?いえーい」

「ざけんな!」

 残ったメンバーが困惑気味に狼狽をし、目の前の気配を感じ取って散る。

 先ほどまでいた場所に大きな穴が穿たれ爆発をきたす。

 ジャックは自らに接近する何者かの気配を感じ取って両手に雷光を宿らせ武術の防御の構えをとった。

 ――が、相手の速さのが上でありたやすく懐に何者かの拳が入り込んだ。

「がはぁ!」

「龍波!」

 拳から放たれた光線がジャックの体を貫通しジャックは喀血してその場にうずくまりながれ絶命をする。

「ジャック!」

 指揮をとっているアルミリアは現場の急変に指揮をうまく回せない。

 あたりは突如として現れた霧により視界を奪われていた。

「あんたは最後だ」

 背後からの声に振り返ったが誰もいない。

 アルミリアは背筋が凍る思いで無作為に斧を振り回した。

「ぐぅ!」

 微かな感触にやったと確信を抱いたアルミリア。

 目の前で倒れ伏した存在に近づいて驚愕に目を泳がせた。

「そんな」

 殺したのは仲間のクードス。

 彼の頭がぱっくりと割れ中身が見えてしまっていた。

 血の海が辺り一面に広がっていく。

 その間――御厨かなでもまた恐怖に身を凍らせながら視線を周りに集中させた。

 仲間の悲鳴、絶叫、倒れる音。

 かなでは調査隊の中で3番という位置づけだったがそれは強さを示す称号とかでは何でもない。

 ただの数字にしか過ぎない。

 調査隊の中ではかなではよわく先にやられるだろうことを思っていたがそれはなく先にやられたのは別の仲間たち。

 その味わったこともない恐怖に失禁をしてしまう。

「うぁ‥‥あ‥‥」

「なぜ、泣く?」

「ひっ!」

 聞いたこともない男の声が背後から語りかけられかなでは死を確信する。

「きみは人を殺しただろう? なぜ泣いているさっきまで笑ってたじゃないか」

「わ、わたしはただめいれいさせられてやってるだけ‥‥いえ‥‥い」

 いつもの口癖も震えうまく言葉にできずかなではついに座り込んでしまう。

 自ら漏らした小便の海に足をつかせ自慢の衣装は水浸しになっていく。

「あ‥‥あぁ‥‥ごめんなさい‥‥わるぎは‥‥命令させられて‥‥目撃者を殺すしか‥‥本来は‥‥ターゲットだけを‥‥」

「ターゲット? それは誰のことだ?」

「ウルスガラディーン‥‥」

 恐怖からすべてを暴露するかなでに男の声と気配が亡くなったと同時に強烈な一撃が首筋にうけ、かなでは意識を途絶させた。

 新たな倒れた音についにアルミリアは逃亡を図った。

 霧の中を駆け出し、来た道を頭の中で推測しながらかけ出す。

 足元にその時銃弾が跳ねた。

「っ!」

「待て。人を殺しておいて逃げるのは良くないな。君の仲間の一人は泣いていたというのに君の行動は反省が見られない」

「は、反省デス? 私はただあの方のために執行するだけデス。反省なんて‥‥私は悪くないデス」

「‥‥そうか、なら――」

 アルミリアの前にその青年は姿を現した。

 寝癖頭が目立った黒髪に少し袈裟気味に赤いメッシュが入った赤い瞳をもつ男性。

 その瞳は吸血鬼のそれだが片側だけでオッドアイの様になっていた。

 もう片方は蒼い瞳。まるで龍の目の様な――

 アルミリアは腹に鈍痛を感じて徐々にそこが熱を帯び始めることに感じ始めた。

 胃からあつい液体が這いあがり鉄の味が口から充満し吐き出す。

 自らの腹には炎の剣が貫通しており、男の眼と再度視線を合わせた。

「もう少し理解のある子かと思ったが残念だ。あっちの彼女の方が理解はあった」

 アルミリアはいつ間にか晴れた自分の場所の周りを見た。

 倒れた仲間たちの姿。

 そして彼が目で刺す彼女のみ傷を負った個所は見られない。

 眠ってる。

「彼女に君たちが何者か聞くことにするよ」

「あくま‥‥で‥‥す」

 アルミリアは血の海に倒れ伏して命の灯が消える。

 優は倒れた最後の敵を見すえ、視線の先で倒れて眠る宇佐鳶友美とリーナ・久遠・フェルトを見た。

 途中からあんしんから下意識を失った二人の姿に頬笑みを向けた。

「よく頑張ってくれたな」

 二人の方によって抱きかかえると奥からいくつもの足音が聞こえた。

「やっと到着か」

 先頭を切ってやってきたのは優が一度顔を合わせた彼女だった。

 会わせたという表現は正しいかどうかは定かではない。

 いうなればすれ違いざまに見ただった。

 赤髪の美女が近づき優へと敬礼する。

「おつかれさまですDD。お二人は預かります」

「ああ。あと、そこの一人行きてる敵は交渉次第で情報を引き出せる。犯罪者ランクB指定だ」

「了解です」

 彼女がそう言って指揮系統を根回し連れてきた部下にそれぞれ死体清掃を手際よく行わせ、敵を捕縛し搬送する作業や担架に二人を乗せて救護する姿を見た。

「なぁ、あんた他の人命救助の方はどう案ってるんだ?」

「無事確認できてます。それから私の名前はエリスです」

「あ、そう言う名前か」

 エリスの目がどぎつくすわり、大きく嘆息をする。

「共生学園の生徒はみんな無事救助済みです。他の個所でも伊豪隊長が活動を行い救助した知らせをうけてます」

「伊豪さんが?」

「はい。ですが気がかりな情報があります」

「あん? 気がかりな情報?」

「ボスからその辺は直接聞いてください」

 そういいながらエリスはそそくさと部隊を動かし撤退作業に移る

 物数分で死体を回収させてしまった『掃討班』の手際のよさに舌を巻く。

「あなたも早く戻らないんですか?」

「あ、ああ」

 優は辺りを見回して悲しげに眼を伏せた。

 多くの客の被害の跡が辺り一面に残っていた。

 ひどい事件となった。


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