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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
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避難誘導

 雪菜たちは駆け出した。

 雪菜は愛する従兄を気にかけながらも立ち止まっては足手まといになるのは理解してるので言われたままに避難経路場所まで一目散にかけ出す。

 続々と続く他の客。

 この場にいれば死が垣間見えている。

 地響きが止まず建物崩壊がみられる。

「やばいで―す。この建物崩れそうでーす」

「‥‥魔法‥‥使ってるから‥‥地響き起こる‥‥けど‥‥構造的には衝撃を吸収‥‥してる‥‥はず‥‥ですぅ‥‥」

「友美の言うとおりです―。しばらくは持つはずです」

 背後で3人の親友たちの会話を聞き耳たてながら雪菜は苦虫をかみつぶしたような顔をし天井を見た。

(衝撃吸収なんていうけど、そんなの甘いよ! あちこちひび割れてるじゃない!)

 天井に見える蜘蛛の巣の様にできたヒビの数々。

 崩れるのも時間の問題。雪菜の目算で後数十分。

「あった!」

 廊下をかけ、しばらくして目の前に避難経路ランプを見た。

 扉の取っ手を回したが開かない。

 優から渡されたマイクロチップを取り出し、電子の取っ手にあるわずかな挿入口へチップを挿入しようとした時だった。

 銃声が響いた。

「撃てぇ撃ちまくれええ!」

 一斉に南側を振り返った。

 雪菜たちがいる個所を中心にL字に分かれ道がありちょうど一本線の個所のルートで銃撃戦を繰り広げる警備員の姿があった。

「雪菜いそぐでーす! なにかやばいでーす!」

「わかってる」

 早くマイクロチップを挿入しようとするがどちらも形が小さく挿入口も小さいので入れにくい。

「やっ――」

 挿入口にマイクロチップがわずかに入りかけたときに大きな地響きが起きる。

 わずか指で押さえていたためにマイクロチップが抑え込み口と指にはさみこまれた状態で変なふうに横にスライドされピシリとひびが入る。

 そのまま挿入口に入る。

「雪菜?」

 青ざめた雪菜の表情を見て杏里が小首を傾げた。

「まずいかも」

 扉を開けようと取っ手を回すもあかない。

「扉があかない!」

「なんで―すそれ!? どういうことでーす!」

「‥‥雪菜ちゃん‥‥どういうこと?」

「敵来るよ―!」

 他の客も慌てふためき雪菜へ「早く開けろよ! あかないってなんだよ!」とかわめき散らす。

 チップにひびが入ったために認証がされない。

 優が言ってたとおりあのチップは脱出の要だった。

 避難用通路も警察は閉じてしまっている。

 まさに隔離された空間。

「ぎゃぁあああ!」

 背後から悲鳴。

 みんながバラけ出した事態に雪菜は即座に気付き自分も扉から離れた。

 金属が壊れだすような音がとどろき扉がヘシャゲわずかに出口の隙間が出来た。

 しかし、扉の前には薄気味悪い少女が一人いた。

「『シートーコール』第4調査隊隊長、御厨みくりやかなでとーうじょーう! いえい!」

 赤と黒を基調としたゴスロリシックな衣装に身を包んでかわいらしい顔立ちをした少女。年齢は10歳くらいに見える。

 銀髪に青い瞳をもつ少女が振りまわす傘。その少女はピースサインをしながら変なポーズを決める。

「なんだよあいつ! すげぇ痛いうえになんであんなことできるんだよ!」

「『亜人』なの? でも、合金製の『亜人』でも壊せない扉でしょ避難用通路の扉は!」

 ギロリと少女――御厨かなでがざわめきだす客へいつの間にか接近し、客のに三人をかさを振り回し弾き飛ばす。

 客の一人の首をわしづかみ傘を胸元へつき立てた。

「あなたですね-かなでのこと痛い女とか言いましたの。かなではー優れた女性なんですよ―いえーい! かなでは目撃者に容赦はしませんよーいえーい!」

 無慈悲にあがく男性客の胸元を貫通するかさの柄。一気に客の悲鳴と逃亡。

 しかし、その逃げ道にまたしても数名の男女が表れる。

 恰好も様々。ローブやカジュアルな衣装、ヒマワリをあしらうようなドレス衣装にパンクファッション。

 ローブをまとった人物が客へ右手をかざすと一気に客たちは燃え上がる。

 カジュアル衣装の男性が中空へ手をかざし客に雷光が降りそそぐ。

 ヒマワリ衣装の美女が地面に手を付けば客たちが干からび始めミイラのような姿に。

 パンクファッションの男性が客一人一人を殴殺し始める。

 最後に残ったのは雪菜、友美、リーナ、杏里を含めてわずか7人。

 友美とリーナは雪菜の前に守るようにして立ちはだかる。

「雪菜ちゃん‥‥早く逃げて‥‥ここは私たち‥‥足止めします」

「そうですー雪菜は逃げるです―」

「何言ってんの! 二人とも一緒に逃げよ! なんでそんなことしなきゃいけないの!」

 二人が渋りながら何かをためらう姿を雪菜は見た。

 二人の表情は今までに雪菜が見たこともないような怖い様相で相手を睨んでいる。

「杏里も同意でーす! 雪菜はこういう人たちに対抗する知り合いを知ってるはずでーす! その人たちに援助を求めてくださーい! この人たちの人相を伝える役目がありまーす!」

「それならみんなで――」

「雪菜ちゃん‥‥他のお客さんも‥‥連れて逃げて‥‥それに杏里ちゃんもだよ‥‥一緒に逃げてね」

「それは聞けないで―す。杏里も戦いまーす」

「逃げて!!!」

 今までの友美から想像できないほどの怒声が響いた。

 杏里もさすがに目を見開いて――

「わかったで―す」

 雪菜の手を引いて殺気の場所へ引き返すように足を進め始める。

 しかし、進行方向上にはヒマワリ衣装の女がいる。

 そのヒマワリ女が魔法を放とうとした時に雷球弾が飛んでくる。

「ちっ!」

 ヒマワリ衣装の美女が飛びのきながらリーナを見る。

「あなた‥‥」

 女は何かを言おうとしたが口をつぐんだ。

 二がした体一般客を。

「やりますわーみごとデスわね」

 一瞬にして敵の注意をひきつける攻撃。

 他の敵たちはといえば友美の魔法金縛りのバインドを行使させられ身動きが取れずにいた。

 雪菜たちは生き残った3名の客を引き連れ見えなくなる。

「さぁて友美ちゃん『特部』として本気を出しますよ―」

「了解‥‥リーナちゃん」

 二人の身につけていた腕時計は同じものであった。

 それが光り出すと同時に二人から膨大な魔力があふれ出す。

「そういうことデスか。その時計で魔力を封じ込めてたデスね。あなたがたなにものデス?」

「『特別任務対象部』リーナ・久遠・フェルト」

「同じく‥‥宇佐鳶友美」

 空間からそれぞれ手には魔法を武器の形にした魔装武装を展開する。

 友美の手には光のロングブレード、リーナの手には雷のレイピアがそれぞれきらめく。

 敵たちも二人の力を認め名乗り出す。

「第1調査隊隊長、アルミア・リーシェルタ」

 ヒマワリ衣装の美女、アルミアが右手に武器に魔力を宿す武装魔法の斧を展開する。手首から斧の握り部分までツタが絡まっている。

「第2調査隊隊長、クードス・バウアー」

 ローブの人物がハスキーな男性ボイスで答えて一歩前に出る。

 彼の手には宝玉のついた布地の手甲を装着してある。

 すぐに魔法タイプだと認知する。

「第3調査隊隊長御厨かなで! いえい!」

 先ほど力強さを見せ傘で客を一網打尽に殺戮パーティーを見せたゴスロリ少女が変なポーズを再度取る。

「第4調査隊隊長ジャック・雅・D」

「第6調査隊隊長九重重蔵」

 ジャックと名乗ったカジュアル衣装の男と重蔵と名乗ったパンクファッションの男がそれぞれ打撃タイプなのか拳を突き出すように構えた。

 おして、その指揮官であるアルミリアは笑みと同時に宣言する。

「仕事の邪魔をする方は排除させていただくデスよ」


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