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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
前章 潜入調査開始――――テロ組織『シートコール』との戦争
16/123

デパート襲撃

 店を出て歓楽街を闊歩する。

 先ほどお茶をしたということもあり、飲食店は避ける形をとったらそんなことになっていた。

 歓楽街というだけあり、いろんな店が軒並みを連ねている。

 一つの大型デパート――通称110ビルの店にいた。

 このビルももとは109ビルとか言われる有名な名所だったが時代の変貌を伴い新渋谷地に新たなに建設をされた名所となっているデパート。

 ランジェリー店の中で下着をみる4人に優は付きそいながら店の外で待ち、壁に背を預け周りに目を向けていた。


「誰かついてきてんな」


 何者かのスト―キング行為に優は気づいた。

 店をでてからである。

 明らかに素人っぽいその動きに優はあきれ果てた。

 右側の奥の柱の影に感じる微細な気配。


「ったく、もう少しうまく隠れろっての。助言をしたくなるレベルだぞ」


 ビクリとこちらを窺う人影にそっと近づいて行く優。

 優はとある気配をも確認する。


「なるほど。どういうわけか俺は疑われてたってわけか」


 優は気づきながら柱の陰からほど近い場所は分かれ道になっている。

 分かれ道には向かい側の道がある。

 真ん中部分が空洞上になって一種のホール型の道。

 優がいる場所から向かいの道に3人組の存在が見えた。


「あいつら確か悪目立ちズか」


 勝手に名称を決めつけた優の視線の先にいる存在の彼女たちは優の視線に気づき急ぎ撤退をしていく――と思われたがこちらがわに逆に近づいてきた。

 優は衝撃を受けて急ぎその場から離れ、店の中に入った雪菜たちを呼び戻しにかかる。


「雪菜!」


「お、お兄ちゃん!? ど、どうして入ってきてるの!」


「早くここから出るぞ!」


「なに!? ちょっとお兄ちゃんまだみんなが――」


「みんなはどこ――」


 そう言った瞬間に更衣室のカーテンが開かれ下着姿の杏里が姿を見せた。


「え」


「はい?」


 茫然とする両者――

 次第に杏里の目が大きく見開かれ始め――


「キャァアアアア!」


 絶叫がとどろく。

 あとから叫びを聞いた二人も姿を見せた。

 ピンク色の下着に身を包んだ友美と黒の大胆な下着に身を包んだリーナの姿。

 きわどい恰好に優は顔面を赤く染め上げ硬直させる。


「優さん?」


「優さんってばエッチな人です―」


 涙目の友美とのんきにこちらを見下ろすリーナ。

 優は急ぎ店を飛び出し謝罪を述べながらかけ出す。

 優に続けざまに衝撃が起きた。

 体は誰かにぶつかって弾き飛ばされ顔を上げる。

 そこには悪目立ちズが携帯カメラを起動させながら優の姿を激写していた。


「変態特待生激写! 貴重だねぇねぇ」


「まじ変態じゃん」


「特ダネですです」


 まずったとしか言いようのない優の顔は顔面蒼白。

 彼女らの目的に優は気づいた。


(こいつらの目的は俺をはめることか)


 3人はおおよそ誰かに命令を受けミユリをかばうだろう存在である自分の何かしらの学校を退学させられるような特ダネを持ってくるように言われたのだろうと推測がたった。

 近づくことで優を同様に追い込ませて店の中にはいらせるのも作戦のうちである。

 柱の陰からそっと顔をのぞかせた人物はミユリ。


「あんたもみたでしょ、ミユリねぇねぇ」


「あんたが好きな奴も結局変態じゃん」


「マジでお似合いカップルですです」


 優は自分の立場に気付いた。

 どうやら学園での優の立場はミユリを援助しようとしたところで悪くなった様子だった。

 しかも、ミユリの目でわざわざ優を悪い存在に格付けさせるように離させようとする行動。


(こりゃぁ、いじめ問題の解決がむずくなる。対象者に接近を拒まれでもすればこちらも犯人になる)


 ストーカーという犯罪者扱いを受ける可能性が十分である。


「市井さん、二宮さん、三矢さん。3人ともお兄ちゃんに何か用?」


 そこへ助け船が舞い込んだ。

 店から出てきた4人。

 その先頭に立って助言するように雪菜が言葉を3人へかける。


「お兄ちゃん? ねぇねぇどういうこと?」


「まじわからんじゃん」


「質問ですです」


 狼狽する3人の意表を突くように雪菜は言葉を返した。


「そのまんま私の従兄、龍牙優に何か用かって言ってる。お兄ちゃんは私たちの買い物に付き合っただけ。さっきは私が店の中に呼び出しただけだけど、何か文句あるの?」


 3人の表情が気まづい感じになる。

 いくら証明写真があっても現場の被害者が否定すればそれは意味をなさない。


「そっちの3人は下着を見られたじゃない? ねぇねぇ」


「そうじゃん」


「ですです」


 3人――友美、リーナ、杏里が首をかしげながら答えた。


「私たちは異性の感想を聞きたくって披露しただけでーす」


「そう‥‥です」


「ですー」



 ますます状況に3人の立場は悪くなり、悔しげに毒づくと3人はミユリを引き連れ去っていく。

 最後に市井って呼ばれた彼女がこちらを振り返り――


「覚えてろって感じだよ。ねぇねぇ」


 姿がほどなくして見えなくなり優は4人へ頭を下げる。


「助かった」


「何言ってるのお兄ちゃん。このくらいの援助当たり前。お兄ちゃんは学園をよくしようと奮闘する特待生。そんな特待生を助けるのも私たち『共生学園』の務め」


「そうでーす」


「雪菜ちゃん‥‥いうとおり」


「ですよー」


 4人の心やさしさに涙が出そうだった。

 その時だった。携帯が振動し優は電話に出る。


「もしもし、アリスか?」


『優! 今新渋谷の110ビルにいるでしょ!』


「あん? そうだけどそれがどうした?」


『どうしたじゃないわよ! 今すぐそこから逃げなさい! 今そこに犯人が――』


 アリスの電話口からの言葉の後にビル内で銃声と爆音がとどろいた。

 そして客の絶叫。


「なんでーす!」


「なん‥‥ですか?」


「わからないよー」


 4人してホールの道側に移動し舌の階層を手すりに身を寄せ覗きこむ。

 他の客も同様に同じ行動をとって慌てふためきだした。

 優も急ぎ電話をおざなりにし、ホール下を覗き込むと――


「てめぇらは全員皆殺しだぁ!」


 一人の極悪そうな『亜人』ウルフの存在がいた。

 体中につけた重火器の存在。対抗する警備員が次々と殺されく惨状。

 それからアナウンスが流れる。


『ただいま、館内にて傷害事件が発生しております。ただちに、館内職員の指示に従い安全を――』


「アリスどういうことだ!」


 館内アナウンスを聞いて優は血相を変える。


『現在指名手配犯中の男『ウルスガーラディーン』。連続吸血鬼殺人犯よ。彼がその新渋谷で買い物中に警察官と遭遇し逃走を図ったの! そして行き先がそこ! 現在ビル内は逮捕を考え警察官シャッターを閉鎖してしまってる!』


「なにっ! あんな凶悪犯と同じ場所に閉じ込めたのかよ!」


『警察もそれだけ逮捕に専念したいってことよ』


「馬鹿が! 一般市民を殺す気かよ!」


『そこでお願いがあるわ』


 優はその続きにすぐ感づいた。


「わかってる。だけど、多くの人の目があるのにこんな‥‥それに俺は今雪菜たちと一緒なんだ」


『ユキナと!? まずいわね』


「つーか、アリスどうして雪菜のこと話してくれなかったんだよ!」


『あなたを緊張感を持たせるための考慮よ。理解してるんじゃない? 社会人が安心を求めてはだめ。DD『掃除屋』の第3条忘れた?』


『掃除屋』憲章、第3項目『すきを見せるな、油断を怠るな! 油断をすれば死が訪れる!』


 いつだって即時対応の心がけを忘れることあらずの意味を込めた憲章。

 歯噛みしながら雪菜たちを電話しながら見つめる。


「アリス、ヤツの資料を送信しろ。始末をつける」


『了解よ。おねがいするわDD!』


 優は携帯通話を遮断し、制服の胸ポケットに携帯を仕舞い込んで雪菜たちに振り返る。


「雪菜、杏里さん、友美ちゃん、リーナさん、4人とも今すぐに逃げろ! 奴は俺が足止めをするから」


「お兄ちゃん、あの化け物と戦うの?」


 雪菜の心配そうな目を見て優は微笑む。


「大丈夫。なれた仕事さ。雪菜わかるな避難通路が絶対確保されてる。それに乗じて避難しろ。それとこいつを渡しておく」


 優はマイクロチップを手渡す。


「なにこれ?」


「これは国家関係者に特別支給される全店舗の隔離閉鎖の解除チップ。これを使え。そうすれば店の中にいる客は逃がせる。お前が誘導するんだ店にいる客を! 俺が奴を引きつけてる間に」


 優は従妹である雪菜を信じそれを手渡した。

 雪菜も並の人ではない。遠井家の親戚として生まれた雪菜も護身術程度は日頃から身につけている。そして、『共生学園』という学校に入学したのもそう言った環境下で育った賜物。


「あと、一つ言っておく。一人とは限らない。奴の闘争は推測すれば手助けされたものに違いない。気をつけろ。さぁ、いけ!」


 優は携帯の振動を感知し雪菜たちに呼びつけさせ命令を行使。

 雪菜たちは心配げに優の背を見送りながら急ぎホールから駆け出し他の客に大きな声で呼びけた。


「みなさん、こちらに来てください! 避難通路まで行きます!」


 客たちが一瞬困惑気な表情をしたがすぐに今すがるしかない状況はそれしかないと判断し雪菜に従い走りだした。

 その声を聞きつけ一番下の階にいるオールバックにしたドレットヘアに座った目、そして額に着いた十字傷に腕に蜂の入れ墨をした男――ウルスと呼ばれた殺人鬼が行動を起こす。

 頭上を見上げ足を踏ん張り飛び跳ねる姿勢。

 そうはさせないと優は上階から下階にいるウルスへ一発の魔弾を放った。

 魔弾がウルスの頬をかすめる。


「だれだぁてめぇ?」


「たんなる一学生さ」


 そう言いながら携帯を開き、奴の情報を確認しインプットする。

 過去に多くの吸血鬼を殺害し、人間も殺害してる極悪連続殺人鬼。

 中ではテロ組織介入してる見込みを見られ対テロ組織係が対応をしウルスの所在地を捜索していたらしいい。


「学生が舐めてんじゃねえぞ!」


 ウルスが飛び跳ねると同時に優は手すりに足をかけ飛び乗りだした。

 一気に下の階まで降下する自らの体。

 優は体全体に魔力防壁の膜を作ってウルスと正面衝突。

 優の威力が増しウルスごと地上に落下。

 優の拳の跡がウルスの胸元に刻まれ優はウルスの上から飛び退く。

 ウルスが体を起き上がらせ血反吐まき散らしながらにやりと極悪な笑みを浮かべた。


「がははは! いいぞ! 学生相手になってやる!」


「相手になるかな」


 優も拳を構え踏み込んだ。

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