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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
123/123

政府の真実

最終話です!!!

長い間お待たせしてしまい申し訳ありませんでした!!!

これで第1、第2部の前後編となった国家秘密組織者の特待生は完結いたします!!!!!!!!!!!

 凶暴な竜と化した愛する者の姿を見て絶望をする少女――北坂雪菜は地に伏せたまま体が縫い付けられでもしてるかのように動けなかった。

 その姿にただ魅入る。

 まるで、魅惑の魔法にでもかかったような――

「グゴォオオオオ」

 人の言語とは思えない雄叫びをあげ彼は殺した少女の亡骸へ顔を近づけそのまま牙をむき「ガブリ」と音が聞こえそうな感じで咀嚼する。

 肉が裂け骨が砕ける嫌な音が響く。

 あれは兄ではない。

 そう自分の中の従兄の存在と違うことを目の前にして結論付けた。

 でも、実際は同一人物である。

「お兄ちゃん、おにいちゃぁあああああん!」

 叫んだ。叫んで叫んで思いを伝えようと手を伸ばした。

 だが、彼が答えに出したのは手ではなく、その尻に生えるように伸びた尾っぽ。

 勢いよくふるわれた尾が鬼気せまり雪菜に襲いかかる。

「ユキナ!」

 雪菜の体は誰かに抱きとめられ宙へ浮いた。

 そのまま抱きとめたものと一緒に2転3転し、無事体は停止した。

 抱きとめ、雪菜をかばったのはアリスだった。彼女は尾による攻撃をもろに受け背から致死量に値する出血である。

 彼女だけではない。目の前には友美やエリスやリーナ、そのほかの友人たちが同じように倒れていた。

 数人は息をしてはおらず涙があふれその友人たちを名前を呼び揺さぶった。

 だが、起き上がらない。

「みんな、おきて、起きてよぉおお!」

 背後では獣の雄叫びが上がる。

 ついには外部からテロ対策係が現れ、政府の物たちが総動員で入室してくる。

「これはいったいどうなってるっ!? あれはドラゴンだと。僕の計算上あの手の古代生物が世に現れたのは何世紀も前だ。なぜ、ここに。とにかく各自魔力装置を直ちに緊急バックアップを!」

「さぁて、ではぁ、私たち医療チームは負傷者ぁの回収よぉ。まったく、伊豪は死んじゃったのねぇン」

 各々、可能の中心とした電子工学のチームが魔力供給装置の対応に当たり、薬膳を中心とした医療班チームはドラゴンなど無視で雪菜たちの援助に当たる。

 ドラゴンはこちらを睥睨し攻撃を仕掛けてくるがそれを食い止める数十人の人たちの群れ。

 それはテロ対策係と掃除屋の部下。

「緊急時において、私が命じる。ただちのあのドラゴンの鎮静化に当たれ」

 もともとの仲間であった、彼に対してひどい仕打ちのように銃弾や魔力の雨が降り注いでく。ドラゴンは泣きわめくように体をのたうちまわらせる。

 雪菜は医療班に治療を施される前に飛び出した。

「やめてぇええええええええ!」

 ドラゴンの前に立ち、政府の敵とでもなったかのような眼光でドラゴンをかばった。

「お兄ちゃんなの、お兄ちゃんなんだよ! 攻撃しないで」

 源蔵も雪菜の登場に顔をしかめて、攻撃の手を止めるように部下に命令した。

 だが、その時だった。ドラゴンが身震いし一瞬のすきをついて口腔から火炎を放射した。

 あたり一面が爆炎につつまれ、装置が爆発し炎上する。

 一気に雪菜の体を脱力感が襲う。

「なに‥‥これ‥‥」

「しまった、魔力供給装置が!」

 可能陽一は額から血を流しながら装置を相手に毒づく。

「ぎゃぉおおおおん」

 今度は体全体を使いドラゴンはふるい起し爆炎が風となってあたり一帯を焼けるような灼熱の大地に書き換えた。何人もの隊員たちが巻き込まれ、意識を失っていく。

「北坂雪菜、そこをどけ! それはもう君の知ってる従兄あにではない」

「いや! お兄ちゃん、お願い目を覚まして! 私だよ! 雪菜だよ!」

「グゥウ」

 ドラゴンの瞳が一瞬揺らいだのを見た。

「お兄ちゃん、私だってわかるでしょ! もう、戦いは終わったんだよ、だからもどって! ね?」

 おとなしくなった彼を見て雪菜安堵した。けど、政府の対応は違かった。

 雪菜ならそのまま元に戻してもらう方法をないかと考えてもらおうと思った。

 政府はその逆にドラゴンへ今度こそとどめを刺しにのどもとへ特大の魔法と銃器の火力が与えられた。

「い、いやぁああああああああああああ」

 ドラゴンがそのまま倒れこみ、死んでいく。

 雪菜は悲壮に満ちたまなざしで彼の死に際をみるしかない。

 絶望を胸に感じるときに神様に願いをした。

 従兄を誰でもいいから、私の愛する人を助けてと。

 それにこたえてくれたのかはわからない。天空から一筋の光が舞い落ちた。

 それはドラゴンを包み込む。光は消えてけば――次第に、ドラゴンは人の体へ戻り寝息を立てて眠る優の姿へ。

 その傍らには長身の黒髪の男性の姿。

 背後からだから雪菜にはわからないがその後ろ姿はどことなく優に似ていた。

「き、貴様は!」

「源蔵、息子をうまい具合に利用してたな。だが、息子を利用するのも我々だ。我々「革命」の理だ。貴様らの理ではない」

「全軍、一斉に掃射! 」

 源蔵が慌てふためいたようにその男への攻撃命令を出した。

 だが、男に魔法も銃弾もあたりはしなかった。どれもが見えない壁にでも当たってるかのように霧散してく。

「俺にはどんな攻撃も通りはしない。あれは‥‥そうか‥‥掃除屋はアリスが‥‥」

 雪菜は振り向いた男の容姿をみて絶句した。その男の姿は優をおとなにさせたらこんなになるのだろうかというような顔立ち。そう、似通った顔立ち。だか、どこか渋みがあるという顔つき。黒髪に袈裟状の赤いメッシュの髪形も同じであるところを見るにまさに似通いである。

 しかし、この男を雪菜は知っている。ずいぶんと小さい頃に数回顔を見合わせていた。

「おじさま‥‥」

「ん‥‥そうか‥‥水月の‥‥はは」

 一瞬だけ顔をわせればすぐに彼は何食わぬ顔で火の中を歩き始める。

 火の手はその彼を遠ざけるようにモーゼのように道を開いてく。

 そのモーゼの道を彼は歩きながら伊豪の死体とユリハネの死体を肩に担ぐ。

「ちっ、ったくよぉてめぇらは。ユルハネに関してはちょっとばかり構成が必要か。源蔵、攻撃しねえのか?」

 源蔵が茫然としていた。それもそのはず先ほどのあのような現象を目の当たりにさえすれば攻撃しても無駄なことは悟っているのだろう。

「ふふっ、じゃあな。息子に伝えろ。俺に会いたきゃあもっと強くなれとな。異世界で待ってると」

 それは源蔵のほうに見ずにまるで雪菜へ見て伝言を頼んだように突如として出現した光の輪の中へ彼は消え去った。

 そして同時にアラブっていた火の鎮静化していた。


 *******


 数週間後。

 龍牙優は目を覚ました。

 最初に目の当たりにしたものは白いタイル張りの天井。そして、鼻につく薬品臭。顔をしかめて体を置きあがらせるとあちこち痛く顔をしかめた。

「ここは、病院?」

 あたりには病院の個室ベットという感じの白い内装と小物のみという殺風景な部屋。

 上体を起こしてみた感想はまさにそう。

 入口が開くと一人のセミロングにかわいらしい髪留め、端正な顔立ちに小ぶりな唇とスラッとした鼻梁。各種パーツが整ったまさに美少女と表現するが相応しい美少女が入室してきた。一瞬誰だろうと小首を傾げたがすぐに彼女が「お兄ちゃん」と言った一言で誰かわかった。

「雪菜!? おまえなのか!」

「よかった、よかったよぉ、お兄ちゃん3週間も目覚めなかったんだよぉ」

「3週間‥‥」

 そのあと、看護師と医者がやってきて適度な検診が行われあと2週間は入院という形となった。

 そのあとは傍らの椅子に腰かけた雪菜からの戦いの後に何が起こったかなどを聞かされて悲しみと自分の犯したことに罪と反省を悔いた。

「くそぉ、かなでや童子、それに鼎まで死んだなんて‥‥」

「葬儀は正式には行えない‥‥話‥‥。ほかのみんなはもう仕事に復帰してそれぞれの役職に当たってる。とくにリーナさんは今回の件で昇進しテロ対策室あらため国家特別暗部殲滅掃討軍事企業の『第2掃討班』の班長になってる。その補佐官に友美ちゃんがいる、ちなみに第1はエリスさんが班長。私はその補佐」

 聞くところによるとここ3週間の間に政府でもいざこざは勃発。どうにも大きな役職の人間の数人が大きなテロ組織団体「革命」とかかわっていたことが公となった。特に伊豪正宗もその一員であったことが大きい。

 それから役員の死亡も大きな要因であり掃除屋とテロ対策係室は合併化された。

 それもそのはず――

「まさか、婁憲明が死ぬとは、伊豪が敵だったなんて。それに合併とは驚いたが、その第2の班長? リーナが?」

「うん‥‥あと、事件に伴い学校は閉鎖」

「なに?」

 一番衝撃的だった。ということは亜人との共存を主立てたあの学園はもう存在はしないということである。

「じゃあ、ほかのみんなはどこに?」

「それぞれが、政府支援のもとで一般の学園に転向されたって話」

「そうか」

「それからなんだけどね」

「なんだよ」

「これ」

 雪菜は便せんを手渡す。

 開くとそこにはきれいな字で書かれた優宛の手紙だった。

 ただ一言、「私は異世界へ行ってきます。後のことは任せたわよ優。アリスより」と書かれたものだった。

 先ほどからアリスの話題が出なかったことに違和感を感じていた。

 それにはそういうわけがあったのかと今更ながら理解していた。

「これってどういうことだよ!」

「そのままの意味だよ。現状掃除屋のトップはエリスさんがやってるけどエリスさんはお兄ちゃんが目覚め次第お兄ちゃんに委譲しようとしてる。けど、政府はそれを認めてない。政府はなぜならお兄ちゃんを殺そうとしてる」

「は? なんで」

 ふと、便箋の中にはなにかがまだ入ってることに気づいた。それはUSBメモリーだ。

「これは」

「はい、お兄ちゃん。私はお兄ちゃんがどんな決断してもついてくよ。ううん、ちがう。それはみんながそうだね」

 雪菜は意味深な台詞を吐き手渡すのは昔のノート型PC。

 傍らに先ほど抱えていたものは何か悟った。

「どういういみだよ?」

 ノートPCに刺してUSBに保存されたフォルダを開き、ファイルには「政府極秘プロジェクト」なるファイル。それを開いて内容を見て声をひきつらせた。

 数々の犯罪的証拠と非人道的所業。そして、この世界の闇がびっしりと記されていた。

「革命はこれを知ってたのか。政府が純粋な異世界人の死体や生き血を利用して魔力供給装置を作っていた。それだけじゃない、異世界人を異世界へ返さないという」

 ずキッとした頭の中であの戦闘の記憶が呼び起こった。そうだ。

 ユリハネはすべてを語った。

「現代の多くの亜人は全部が純粋亜人じゃない。第3世代以降の人と混血種が多い。それも政府が魔法という技術を広めようとした結果の産物。そして、これが闇。お兄ちゃんもその政府の道具だったんだよ。政府の異世界にいずれ進行し破壊し侵略するための最強の核兵器とさせるための実験だった。今の世の中で亜人の犯罪が多かったのはすべて政府が発端」

 衝撃にうろたえる中で雪菜は言った。

「雪菜ね、おじさまに会った」

「何!? どこで!?」

「お兄ちゃんが龍になって倒れた時におじさんはお兄ちゃんを元に戻したんだよ」

「っ!」

「最後にこう言ったの。『俺に会いたきゃあもっと強くなれとな。異世界で待ってる』って」

「んだよ、それ‥‥まるで、世界の正義気取りかよ」

 いや、そうなんだろう。彼は間違えた方法ではあるがそうして政府に反抗していたんだ。

 優を助けたのも政府の犯行の材料の一つに過ぎないのだろうと言えることこの上ない結果が想像付いた。

「待てよ、親父は‥‥そうか‥‥そういうことになってたのか‥‥」

「おじさまは敵なのか味方なのかは分からないけどお兄ちゃんはここにいたら危ないと私思う」

「‥‥‥‥」

「さっき、医者は2週間とか言ってたけどそれは政府に与える猶予だと思う。逃げるなら今のうちだよ。エリスさんたちにはもう連絡してる」

 まるで、どうするのとでも言いたげなまなざしが雪菜の瞳は語っていた。

「アリスは俺がどう判断するかわかってて先に行ってんだろうな」

「うん。まず、お兄ちゃんの体を治すのは大事だとも言ってたし政府からあらゆるものを奪うことも算段しないとも言ってた」

「それって武器だろ?」

「うん」

「あはは」

 笑いがこみあげてくる。痛む体を動かしてベットから立ち上がる。

「お兄ちゃん?」

「逃走ルートは?」

 輝くような笑顔で雪菜は強く申告した。

「もう、頭にインプット済み。ついてきてね、お兄ちゃん」

「はぁ、だからよぉ、さっきから言うまいかと思ってたがさすがに言わせてもらうぜ。俺はお前の兄じゃねえよ」

 そうして、優は病室を抜け出した。

 数時間後、政府は優の逃亡に気づく。

 それはだが、遅く彼らはもう異世界へと飛び立っていたのである。

 彼らはこれからも戦うであろう。

 行く難幾人もの敵がいようと自分らの前に立ちはだかるならば自分らの道を正すために。

 そう、掃除屋の信念の最後は――自分の道を示せ。



国家秘密組織者の特待生はこれにて完結です。

ですが、あくまで1、2章の完結ですのでいずれ、第3章はどこかで書こうかと検討しております。ほか作品が落ち着き次第続編を書かせていただきます!


今までご愛読いただきありがとうございました!!!!!

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