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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
121/123

蘇生した男

轟いた一発の銃声に女性たちの悲鳴がただ虚しくその地下空間に反響した。

倒れたエリスたちへリーアの放つ魔法が吹き飛ばす。

倒れた彼女たちを見下し足元の御厨かなでをつかみあげる。

「あなたたしか『シートコール』で雇われてた戦士でしたわね」

「うぐぐ……」

「私たちに楯突いたらどうなるか知っていてこの世界の政府に寝返りましたの?」

「私は私のやりたいようにやるんだよイエーイ」

「ユリア」

 かなでは放り投げられそれを見事に掴んだユリアがかなでの腹部を素手で貫く。

「がふっ」

「上の命令でシートコールの戦士は全員殺せと下っていますの。だから、申し訳ありませんわね」

 かなでが痙攣を起こしてユリアの手の中で命を落とす。

 その光景をアリスは身動きを封じられてる状態で見せつけられ魔力が感情によって高ぶり暴発を起こす。

「っ!」

 極所な猛吹雪が巻き起こる。

 アリスが台風の目でもなってるかのように全体に氷の礫が風に乗って吹き荒れていく。

「私の部下を二人も殺した大小は重いわよ」

「あら、私は殺したのは今の一人目ですわ。男の方は自滅したんですわよね?」

「っ! 彼を追い詰めたあなた方が原因よ!」

 拘束具が凍結したことで砕かれる。

 拘束から逃れたアリスは一踏み込みでリーアに迫り、右手に特大の雹を生み出しリーアに向け放つ。

 だが、彼女もその攻撃を意図して自分の周りに闇色の透明な膜を張り巡らしていた。

 魔力の防壁だった。

 雹は防壁にあたって粉々にくだけアリスの横っ腹をリーアが蹴り飛ばす。

 バウンドボールのようにアリスの体は地面をはね優の死体の横に並ぶ。

「うぅ……」

「愛する部下と一緒にそこで寝てればいいんですわ」

「うぁ……あぁ……」

 声にもならない泣き声をあげる。

 アリスのもとにほふく前進で雪菜もどうにかにじり寄った。

「アリスさん、お兄ちゃんはまだ死んじゃいない」

「……え……」

 雪菜は耳元でアリスにささやいた。

 あることを。

 アリスは動揺をし彼をじっと眺めて衝撃を受けた。

「まさかそのためにわざと……」

 雪菜はその答えにただ首を頷かせただけ。

「でも、早くしないと次の部下が」

 アリスの言葉通り次に加倉井杏里にその手が迫っていた。

「……私……どうにかする」

「雪菜ちゃん、それはダメ。あなたではあの3人を相手にするのは無理がある。死に逝くだけよ! 私も完全な状態なら相手にできたけど今の私でもあの子達を相手取るのはやはり無理だった。一瞬の意表をつけたと思ったけど……」

「……でも……何事も……やってみないと……わからない!」

 アリスの言葉など聞かずに雪菜が傷ついた体を無理に立たせあげ何もない空間から刀を出現させた。

 魔法によって異空間から転送したのである。

 その刀は例のアリスが使っていた刀を改造した――白冬氷雪桜。

「ん? あらら、まだ牙をむく子猫が一匹いましたわ」

 リーアがうざったらしい口調で雪菜の方に気づいた。

「リーア様、あの子ぉ私にぃ狩らせてちょうだいちょうだい」

「ああ、たしかあなた彼女にいっぱい食わされてましたわね」

「因縁に決着をつけますます」

「どうぞ好きになさいな」

 ムチをしならせユリアが接近する。

 雪菜も踏み込みユリアへ向かうかに思われたがムチの攻撃を回避しその横を通り過ぎてリーアの背を取る。

 その時に童子と加倉井杏里が跳ね起きてウィンナを吹き飛ばしリーアを挟み撃ちにかける。

「その考えはお見通しですわ」

 童子と杏里の背をウィンナの短剣が突き刺さり剣が爆散。

 煙の中に散っていく二人とユリアに足を絡め取られて叩き伏せられる雪菜。

「さてと、シートコールはこれであと一人ですわね」

 最後に残った湖之故鼎は目を覚まさない。

 リーアは暗黒球を作り出し発射に迫った。

 ――直後。

「あがぁあああああああああああああああ」

 ユリアに雷光が落ち、雪菜はユリアのムチから解放される。

 ユリアはピクピクと体を痙攣させ黒焦げになっていた。

 命はあるようだがこれ以上の戦闘は断念せざる得ない体である。

 リーアはそのユリアに雷光を放った人物に目を見張る。

 見張るという以前に衝撃を受けた。

「自殺したんではないんですか?」

「自殺したんじゃねえ。回復してたんだ。

「回復? あはは! 随分長い回復でしたわね。その間にでもたっぷりとお仲間をいたぶらさせていただきましたけどね」

「……みたいだな。回復してる間に随分やってくれやがったみたいでリーア・メルティシア。もうお前を許すことなく殺せる」

「さて、それはどうかしら? あなたの体はまだウィンナの呪いに蝕まれてるわけですしそう簡単に行きませんわよ」

「呪い? あはは」

「何を笑っていますの?」

「呪いならもうねえよ」

 おもむろに立ち上がった優は胸元をはだけさせ見せびらかす。

 例の呪いの傷があったハズの胸元には一切そんな刻印はない。

「どういうことだぁ! オレはしっかりと刻んだ呪いはまだ解除して――」

「リフレインさ」

 リーアはその魔法の名前を聞いたことがあった。

 古代より伝わる禁忌の魔法。

 しかし、成功したものはいない。

「リフレイン? 古代の禁忌魔法でしとぁね。でも、あの魔法は成功者はいなかったはずですわ。再生魔法、最強の蘇生魔法と言われたあの魔法は結果的にどの術者も失敗をし死んでる」

「成功した人はいねえ。でも、怪物ならいる」

「まさか……あはは! そういうことですわね! さっきの自殺もドラゴンのチカラで全てを回復させた!」

「…………」

「まさに全身が龍というわけですか?」

「俺は龍じゃねえよ。俺は掃除屋だ」

「はん、化物ですわね。まさか、ドラゴンの力を蘇生の魔法で応用するとは。いや、ドラゴンそのものに身を費やしたと言えますわね」

「なんとでもいえ。俺は仲間を殺した奴に報復するなら体を怪物にしてでもやってやる」

 途端に優の姿は変貌を遂げ始める。

 体全体がウロコに覆われ、ウロコが鋼鉄に変化し次第に龍のような造形を模した鎧へ。

 しかし、僅かな箇所だけであり腕と足そして胸元と首周りだけにその鎧が装着されてる。

 プロテクターに近い装備。

「ボスから聞きましたけど龍の血で生かされているそうですが元々は吸血鬼の血からも持ってるそうですわね」

「ああ、だからどうした?」

「いえね、一度悪魔と吸血鬼最強の亜人はどちらか試したいと思っていたんですわ。たぶん、世界の最強の吸血鬼と悪魔でしょうしね私たちは」

「…………ふん、俺は自分が最強なんて一度も考えたことはない。ただ、仲間を守りたいための力を振るうためだけに力を使う」

「あなたの考えはどうでもいいですけど、こちらはあなたを連れ帰ることを上と約束してますから無理にでも眠ってもらいますわよ再度ね!」

 リーアが腕を広げ闇の魔力槍を化現させる。

 優が異空間から白銀の剣を取り出し構え両者が踏み出し武器が交差し地下に莫大な風檄が吹きすさんだ――――


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